ウェイン・ルーニーの逆襲 英メディアの中で膨らむ「限界説」を吹き飛ばせるか

過去ワールドカップ2大会で未だノーゴール

 

 トップ下にコンバートされた昨季は12ゴール。そして今季は大不振のモイーズ体制で17ゴール。確かにゴール数だけに注目すれば激減だが、最も適している1トップの位置をはずされ、減少したゴール数だけとらえて「全盛期を過ぎた」と言われるのは不当だろう。

 ホジソン監督は、今季のリバプールの得点王レースで1位、2位を独占、2人で52ゴールを記録したスアレスとスターリッジのコンビネーションをルーニー、スターリッジで再現しようと狙っているのは明らかだが、それにしてはペルー戦でのルーニーの位置が深い。

 スアレスとスターリッジの場合、その位置取りはほぼ2トップ。攻撃時には2人同時にボックス内にいるのが当たり前で、位置がかぶったスターリッジを押しのけるように、スアレスがゴールを決めるシーンも度々目撃した。そんな”前に出る、残る”どん欲さが今のルーニーには最も必要なものではないだろうか。

 ワールドカップ2大会8戦に出場して未だ0ゴール。ルーニーとってこの事実は堪え難い屈辱に違いない。そんなワンダーボーイがW杯で輝くには、何にも増してまず、ゴールに対するハングリー精神が必要だ。

 そこで、エクアドル戦でなりふりかまわず、ランバートを押しのけるようにゴール前1メートルの位置からスクランブルゴールを奪ったことは、ルーニー復活の第一歩、大爆発への吉兆と見たい。

 このゴールで新人時のハングリー精神を思い出し、本来のストライカーとしての本能が覚醒すれば良し。王国ブラジルで、今度こそサッカー界最大の祭典で大輪の花を咲かせて、限界説など吹っ飛ばして欲しいものである。

【了】

森昌利●文 text by Masatoshi Mori

※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
詳しくは、「LEGENDS STADIUM 2014 – FIFAワールドカップ公式動画」まで

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