明秀日立、33歳青年指揮官の秘策が的中 本番1か月前に体験した“疑似選手権”とは?

いわきFC、水戸のユースチームと練習試合

 萬場監督は「まだ歴史や伝統のないチームですが、日本一になりたいと思っています。そのためには、安定してベスト8に入れるようになること。この2日間の連戦を乗り越える準備をしてきました」と話す。そして、2大会前の初出場で経験を積んだことで、ある調整法を導入したのだという。

「(2017年)12月に入って、いわきFCさん、水戸ホーリーホックのユースチームと2日連続で練習試合をやらせてもらいました。そこで1日リカバリーに使って、翌日にはかなり厳しい紅白戦を入れました。これは、ベスト8に入るために(1月)2日と3日の連戦を乗り越えて、そこからもう1試合しっかりと戦うための準備です」

 まさに、“疑似選手権”と言える日程を体験させ、調整サイクルを選手たちの体に覚え込ませた。その効果は、大きな自信を生んだ。同点ゴールを決めたFW荒井慧伊大も「ずっと監督から連戦のことは言われていて、フィジカルもかなり厳しく追い込んできました。でも、明日にしっかり休めば大丈夫です」と胸を張る。

 東海大卒業後にJFLの佐川印刷SCでプレーし、その後に明秀日立に就任した萬場監督は、33歳の青年指揮官だ。鹿島学園、水戸啓明(旧名:水戸短大付)などの名門が揃う茨城で頭角を現し、「ベスト8に入ったら、勢いに乗って日本一を狙うと伝えてきた」(萬場監督)と野心十分の明秀日立。連戦の壁を乗り越え、準々決勝で上田西(長野)との一戦に臨む。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Football ZONE web

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