なぜ柏木陽介の契約延長発表はACL決勝前だったのか 本人が明かしたその理由とは?

第2戦に向け「やる意味がない」の真意は?

 サッカー選手には様々なタイプがいるが、比較的に柏木は自分の感じたことを率直に言葉にするタイプだ。それによって、熱狂的で知られる浦和サポーターから厳しい視線を向けられたこともある。来季を巡っては、出身地のクラブであるヴィッセル神戸が獲得に乗り出したという報道もあった。

 そうしたなかで、すでにキャリアの最長期間を過ごしているクラブになっている浦和で戦い続けることを選んだ。ACL決勝というビッグゲームを前に、メンタル面での引っ掛かりは何もなくなっている。

 柏木は初戦を振り返り「内容がどうこうではなく、良い引き分けで帰ることができた」と話す。そして「全体に上手くて能力も高いけど、こちらがボールを持って動かす時間を作れば、相手も疲れていく」と、25日に控えるホームの第2戦に向けてのポイントを話す。そして「いけるという手応えがなければ、やる意味がない」と眼光も鋭い。

 敵地では“6万人の完全アウェー”だったが、今度は全く逆の“6万人の完全ホーム”が待っている。ここまでラウンド16の済州ユナイテッド(韓国)、準々決勝の川崎フロンターレとの対戦カードでは、初戦のビハインドをホームで跳ね返してきた。柏木はそれを「このACLで何度も逆転できたのは、みなさんの力があったからこそ」と感謝。さらに「またその力を借りて、最高の笑顔で終われるように頑張りたい」と後押しを呼び掛けた。

 アル・ヒラルは激しいハイプレッシャーを掛ける一方、そこを突破さえすれば中盤から後方のディフェンスにはルーズさが目に付く。柏木の左足が放つ一撃必殺のラストパスは、愛着のある浦和を10年ぶりのアジア王者に導くものになるはずだ。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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