“王国”ブラジルと日本代表 過去11戦未勝利の歴史と「世界最強」に挑む意義

ドイツW杯以降は90年代の構図に逆戻り

 後半は決定機の応酬となる。日本は川口の好守で3点目を許さず、最後までブラジルに追いすがる。そして後半43分だった。中村の直接FKが右ポストを叩き、跳ね返りを大黒将志が蹴り込む。さらにアディショナルタイム、右サイドからのクロスを大黒が至近距離から狙うが──終了のホイッスルが鳴ると、日本の選手たちは天を仰いだ。2-2のドローに終わり、ブラジル撃破とはならなかった。

 ジーコ率いる日本は、この一戦で翌年のワールドカップ(W杯)への手ごたえをつかんだ。一方のブラジルは、気持ちを引き締めた。その結果が、ドイツW杯での完敗だった。

 ここから先は、90年代の対戦の構図に逆戻りする。日本にとっては自分たちの現在地をはかる機会でも、ブラジルのスタンスは紛れもない“親善試合”だ。それでも、12年10月には中立地ポーランドで敗れた。力の差は明らかだった。

 だからだろうか、翌年のコンフェデ杯で実現した真剣勝負に、日本は怯んでしまった。直接的な原因は、開始3分にネイマールに許した先制弾だった。エースのゴールにスタジアムは沸き上がり、日本はアウェーの雰囲気に呑まれていく。

 0-3の完敗である。キャプテンの長谷部誠は、「自分たちがトライできなかった。トライしなかった」と、消極的な姿勢を悔やんだ。

 

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