本田が進退問題浮上のインザーギ監督を擁護 「すごく悩んでいると思う」

「一喜一憂せずに勝った時ほど厳しく、負けた時ほどポジティブに」

 ミランのサポーターはかつての強さと栄光を求めるが、チームには黄金時代にピッチを彩ったワールドクラスのタレントは存在しない。アドリアーノ・ガリアーニCEOも移籍金のかからない補強に終始している。現役時代にゴールを量産し、スタンドを熱狂の渦に巻き込んだインザーギ監督もトップチームの指揮を執った経験はこれまでなかった。

 1月のリーグ戦で勝ち星なしという危機的状況に陥ると、地元メディアから解任の可能性が相次いで報じられたが、シルビオ・ベルルスコーニ会長は続投の条件として来季の欧州リーグ出場権を獲得できる5位以内を掲げているとされている。この勝利で8位に浮上したミランは5位フィオレンティーナとの勝ち点差は6となった。

 本田は批判が高まる指揮官を擁護する一方、前線でのバランサー役を託される現状に甘んじるつもりはなく、「自分目線で言えば、ただ都合のいい選手になるというのは求めていることが違うと思う」と語っている。

 今季12得点の元フランス代表FWジェレミー・メネズ、イタリア代表FWアレッシオ・チェルチという攻撃に重心を置くアタッカーと対照的に、本田はサイドでハードワークを求められている。昨年10月19日のベローナ戦以降、ゴールから遠ざかっている現状を鑑みれば仕方がない状況だが、攻守のバランスをひたすら見ることは背番号「10」に求められる本来的な役割ではない。攻撃の中心となるという気概を本田は示している。

「やはり選手全員が前を向くこと。次の試合もアウェーだけど、打開していく。今日の出来はチェゼーナだから助けられていると、選手、監督も全員分かっている。そこですよね。一喜一憂せずに勝った時ほど厳しく、負けた時ほどポジティブに」

 ミランの勝利は降格圏内に沈むチェゼーナの出来に助けられた面もある。出番なしという窮地に直面した本田は、今後の躍進を見据え、平常心を貫こうとしている。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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