元“被害者”が証言「理不尽に剥がせる」 絶賛した代名詞…英日本人MFを「A代表に大推薦」

コベントリーの坂元達裕【写真:REX/アフロ】
コベントリーの坂元達裕【写真:REX/アフロ】

【専門家の目|太田宏介】坂元達裕がフルハム戦で見せた突破劇

 イングランド1部コベントリー・シティの30歳MF坂元達裕は現地時間10月24日、プレミアリーグ第8節フルハム戦に先発出場し、後半41分までプレーした。チームは0-1で敗れるも、この試合では切り返しからのドリブル突破で坂元が見せ場を作った。代名詞とも言えるその武器は一体何がすごいのか――。日本代表OBの太田宏介氏が自身の経験を踏まえ解説した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

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 伝家の宝刀を抜いたのは前半34分だった。右サイドでボールを受けた坂元は、利き足の左足でクロスを上げるモーションを見せたかと思えば、そこから鋭く切り返し縦に突破。スピードを上げてブロックに来ていたDFを置き去りにすると、そのままポケットまで侵入し右足でクロスを上げてチャンスを演出した。

 坂元の切り返しを駆使したドリブル突破は分かっていても止められない。「僕も何回もやられたのを映像から思い出しました」と太田氏。そんなかつての“被害者”が、サイドのDFは何を優先的に考えるかを踏まえ、まず突破シーンにおける判断力の高さをこう説明する。

「対峙するDFとしては簡単に右足を上げるだけではクロスをブロックできないと分かりますから、やはりしっかりとコースを遮断できる位置に入りたい。しかし、実際にその位置に入って行くと切り返され縦に突破されます。

 坂元選手はそうやって対応してくる相手の重心を最後までしっかり見ることができ、なおかつ瞬時に自身の動きを変えられる素晴らしい判断力を持っています」

 とはいえ、判断力だけで突破劇が完成するわけではない。日本サッカー界が誇る天才レフティーを引き合いに、相手を無力化させる坂元独自のスタイルがあると語る。

「もちろん、坂元選手ならではの間合いの作り方や切り返してからの初速のスピードも突破に大きな役割を果たしているのですが、それ以上にポイントなのは脱力感なんです。

 クロスを上げようとするまでの動きの中に一切力が入っていない分、ディフェンスとしてはどうしていいか分からなくなります。中村俊輔さんと対峙した時は『もう本当に左足で上げるよ』という動きをしっかり見せられて、そのうえで切り返しをされるので、これはこれで嫌でした。ただ、坂元選手の場合は俊輔さんほど動きの中に“上げるよ感”がない。なので、ディフェンスとしてはそもそも構えることができず、キックモーションに対し来るぞって身構えた瞬間にはもう逆を取られているわけです」

 そんな日本代表レジェンドとも一線を画す武器の持ち主であるなら、やはり森保ジャパンで見てみたくなる。一芸に秀でたタイプが少ない今の代表であるなら、なおさらだ。太田氏も坂元の代表招集に期待を寄せる。

「僕は坂元選手をA代表に大推薦したいです。今の代表には引いた相手を崩せなくて手詰まりになる課題があります。そんな場面で坂元選手みたいな『1対1で理不尽に剥がせる一芸』を持った選手がいると、ポケットを1人でえぐって状況を一変させられる。ぜひ呼んで試してほしいですね」

 森保ジャパンでウィングが激戦区とはいえ、アジアカップ本戦を見据えると確かな武器を持ったジョーカーもチームにしっかり準備しておきたいところ。プレミアで存在感を発揮し、代表に選ばれるか今後の活躍から目が離せない。

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太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

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