日本と海外の”二極論”は「浅はかすぎる」 欧州3か国で実感…価値観が一変「世界観が違った」

神戸の権田修一【写真:徳原隆元】
神戸の権田修一【写真:徳原隆元】

権田修一はオーストリア、ポルトガル、ハンガリーでプレー

 昨季途中よりヴィッセル神戸に加入したGK権田修一は、欧州各国でプレーをしてきた。日本と欧州との違い、国の数だけ存在する文化、そして環境に対する独自の捉え方について、異文化の荒波に揉まれてきた権田が持論を展開する。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小西優介/全5回の3回目)

【PR】日本人選手の活躍を毎節無料で!ABEMAでブンデスリーガ放送中!

  ◇   ◇   ◇

「日本と海外」。サッカーを語る際、この二元論で捉えがちであるが、「日本と海外の二極で物事を考える人は多いですが、それは少し浅はかすぎると感じています」と権田はそう切り出した。

 同じ日本国内でも地域やクラブによってカラーが異なるように、一括りに「海外」「ヨーロッパ」とまとめるのは違うと指摘する。

「僕がプレーしたオーストリア、ポルトガル、ハンガリーは、すべてヨーロッパですが国ごとにまったく違いました。オーストリアは観客動員やファンサービスの意識が高く、2部リーグであってもスタジアムやロッカーが非常に美しく整えられている。一方でポルトガルに渡った時は、まるで世界観が違いました」

 ポルトガルの一部リーグで権田が目にしたのは、整った施設とは真逆の過酷な現実で、「スタジアムはボロボロで、客席もガラガラ。けれど、ピッチに立つ選手たちのレベルは恐ろしく高かった。ポルトガルはクラブ経営の基盤が選手の移籍金ビジネスで成り立っているため、環境を綺麗に保つことよりも、ピッチ上のクオリティにすべてが特化していたんです」と、環境に左右されないレベルの高さを体感した。

 設備や環境の良さがそのまま「良いクラブ」の証明になるわけではない。ポルトガルでの体験で、権田が持つ「欧州と日本の違い」という価値観が変わった。

「日本だと『練習場が綺麗=良いクラブ』という評価になりがちですが、ピッチ上で繰り広げられるサッカーはどこへ行っても11対11で戦うもの。いくら施設が悪かろうと、大事なのは中身であり質の高さなんだと痛感しました。エアコンが急に壊れるようなスタジアムでも『まあ、そういうこともあるよね』と受け流せるタフさが身につきましたね」

 さらに、税制優遇や10面の天然芝グラウンドなどの豪華な練習施設を誇っていたハンガリーでの経験も含め、各国のサッカー文化を体感したことで、権田の適応力は高められた。それは、アスリートとしての日常のルーティンに対する考え方にも影響した。

「僕には決まったルーティンはありません。特定の食べ物や習慣に固執してしまうと、アウェー遠征や時差、ホテルの食事内容といった環境変化に対応できなくなった時にネガティブな影響が出てしまうからです。昨季のACLEアウェーでは相手サポーターが夜中に花火を鳴らして妨害してくることだってありました。どんな状況におかれても、目の前の環境に自分を適応させることこそが、高いレベルでプレーし続けるための絶対条件なんです」

 世界各国で「普通の違い」を肌で知ったからこそ、権田の姿勢にはブレがない。日本の恵まれた環境に感謝しつつもそれに甘んじない神戸の守護神。フラットでタフな精神は、チームが窮地に立たされようとも最後方から揺るぎない安定感をもたらしている。

(FOOTBALL ZONE編集部・小西優介 / Yusuke Konishi)



page 1/1

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング