J1残留の起爆剤となるか 欧州帰りMFは攻撃活性化に期待…下位チームに新加入のブースター候補5選

下位に苦しむクラブの起爆剤になり得る5選手をピックアップ
J1の2026-27シーズンは第8節までを終え、約3週間にわたるIMD(インターナショナルマッチデー)による中断期間に入っている。
開幕から好スタートを切ったチームがある一方、二桁順位には思うように勝点を伸ばせていないクラブも並ぶ。ただ、まだ8試合を終えた段階。ここから流れを変えられる時間は十分に残されている。
そのなかで注目したいのが、中断明けにチームへ新たな力をもたらす可能性を持つ選手たちだ。アジア大会で経験を積んだ選手、欧州から復帰した選手、夏に新天地を求めた選手、負傷から復調してきた選手と背景はさまざま。代表ウィーク明け、チーム浮上の「ブースター」になり得る5人をピックアップした。
●MF嶋本悠大(清水エスパルス)
12位の清水は、中断前にアビスパ福岡、ジェフユナイテッド千葉を相手に今季初の2連勝。いずれも現在は下位にいるチームとのホームゲームだったとはいえ、開幕から6試合で1勝にとどまっていた状況から勝点6を積み上げ、上位を追う態勢を整えつつある。
その清水にさらなる勢いをもたらす存在として注目したいのが、U-21日本代表としてアジア大会に参加している嶋本悠大だ。今季は開幕からスタメンでの出場を続け、代表活動前の最後の試合となった福岡戦ではインサイドハーフで先発し、決勝点を記録した。
ウォン・ドゥジェ、弓場将輝、松崎快、小塚和季、夏加入の平戸太貴らがいる中盤の競争に、アジア大会で国際経験を加えた嶋本が、どんなパワーをもたらすのか。持ち味である前への推進力に加え、大会ではFWも経験した。20歳の嶋本が、中断前の連勝をさらに伸ばし上位浮上へつなげる原動力となれるか注目だ。
●MF藤本寛也(東京ヴェルディ)
東京Vは第8節を終えて19位。いまだ勝利がなく、4得点はリーグ最少と、特に攻撃面で苦しい戦いが続いている。
その状況を変える存在として期待されるのが、欧州から帰ってきた藤本寛也だ。東京Vの育成組織で育ち、トップチームからポルトガルへ渡って、ジル・ヴィセンテで司令塔として活躍。イングランドのチャンピオンシップ(2部)での経験を経て、今夏にバーミンガムからの期限付き移籍という形で古巣へ復帰した。
ルヴァンカップのサガン鳥栖戦でチームは敗れたが、藤本は新井悠太のラストパスから見事なゴールを記録した。左足のキックはもちろん、相手を見ながら最適解を見い出していくビジョンこそが藤本の大きな武器だ。森田晃樹の長期離脱という厳しい状況のなか、8試合で4得点にとどまる東京Vにとって、ゲームメイクとチャンスメイクの両面での活躍に加え、セットプレーの左足キッカーとしても期待される。
●DF藤原奏哉(ガンバ大阪)
16位のガンバは開幕戦での1勝にとどまり、それ以降に勝利がない。8得点14失点と攻守両面で結果が出ておらず、ここからの巻き返しが求められる。
そのなかで新たな力として加わったのが、9月に加入した藤原奏哉だ。アルビレックス新潟から完全移籍で加入した31歳のサイドバックだが、年齢を感じさせないダイナミックな攻め上がりと、ビルドアップの柔軟性を持ち併せる。
加入からわずか5日後のヴィッセル神戸戦では先発して80分間プレーした。約3週間の中断は、チームメートとの連係を深めるうえでも貴重な時間になる。サイドから攻守にエネルギーをもたらす藤原が、ガンバの立て直しを後押しできるか。
●MFオリオール・ロメウ(アビスパ福岡)
福岡は1勝1分6敗の18位。第2節のセレッソ大阪戦を最後に白星から遠ざかり、中断前の広島戦も0-1で敗れた。
浮上への鍵を握る1人が、夏に加入したオリオール・ロメウだ。欧州のトップレベルで長くプレーしてきたMFだが、加入後はコンディションを整えながらの起用が続き、リーグ戦ではまだ十分なプレー時間を得ていない。
それでも、広島戦では後半37分から出場。限られた時間のなかでも、中盤から前線へボールをつなぎ、アタッカーを前向きな状態でプレーさせる場面を作った。
ここからコンディションを上げ、周囲との連係を深めていけるか。ボールを奪うだけでなく、前線へ質の高いボールを届けられるロメウの本格稼働は、福岡の攻撃を活性化させる材料になりそうだ。
●MFマテウス・ジェズス(V・ファーレン長崎)
15位の長崎からは、負傷から復調してきたマテウス・ジェズスを挙げたい。
J1昇格の原動力となり、百年構想リーグでも長崎の得点源として活躍したが、プレシーズン前の負傷によって出遅れた。第4節のFC東京戦で復帰した際には、再びピッチに立てたことを喜びながらも、さらにチームへ貢献するために努力していく必要があるという認識を示していた。
そこから徐々にプレー時間を伸ばし、第5節のG大阪戦で今季初ゴール。さらに名古屋グランパス戦、C大阪戦と2試合連続で得点を挙げ、復帰後5試合で3ゴールまで数字を伸ばした。長崎の得失点は8試合で10得点15失点の-5。守備の改善は必要だが、マテウス・ジェズスが得点源として継続的にゴールに絡めれば、勝点を伸ばしていくための大きな力になる。
今回は上記の5人をチョイスしたが、新加入や負傷から戻ってきた選手、代表帰りの選手、カップ戦でアピールに成功した選手などが、躍進へのブースターとなるか注目したい。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

















