森保Jに求められる“脱・3枚看板” 突きつけられたボランチ再編…不可欠となる新コンビの「最適解」

新戦力と2026年W杯組をいかに融合させるか
9月22日からスタートした9・10月代表シリーズも活動の半分が終了。森保ジャパンは24日のウルグアイ戦(宮城)を3-1、28日のベネズエラ戦(広島)を2-1で2連勝。29日夜には首都圏に戻り、次戦に備えている。
10月1日と5日に挑むのは、キリンカップサッカー2026という国際大会。初戦で北中米ワールドカップ(W杯)32強進出国のエクアドルと横浜で対戦するなか、この相手が今回4試合の中で最強と目される。モイセス・カイセド(チェルシー)らを擁する個人能力の高い集団との激突ということで、森保一監督も現有戦力のベストメンバーを送り込むだろう。
となれば、ボランチは2026年W杯で“鉄板コンビ”と言われた鎌田大地(クリスタル・パレス)と佐野海舟(マインツ)がスタートから行くことになりそうだ。ただ、遠藤航(リバプール)が大会直前に負傷辞退し、重要なブラジル戦(ヒューストン)で鎌田も怪我をして、ボランチの人数が足りなくなったように、いつ同じような状況が起きるか分からない。
実際、今回もDF陣が負傷の連鎖に見舞われており、冨安健洋(クリスタル・パレス)、安藤智哉(ザンクトパウリ)に続き、ベネズエラ戦で渡辺剛(フェイエノールト)と鈴木淳之介(FCコペンハーゲン)が病院に直行する危機的事態に陥った。結果的に渡辺は離脱が決定。代わって望月へンリー海輝(FC町田ゼルビア)と荒木隼人(サンフレッチェ広島)が追加招集されることになった。幸いにして板倉滉(ボルシアMG)が29日から練習に復帰。エクアドル戦は何とかこなせそうな見通しだが、常にアクシデントには備えておかなければいけない。2026年W杯で手薄感を露呈したボランチもある程度の戦力を揃えておくべきだろう。
残念なことに熊坂光希(柏レイソル)がベネズエラ戦開始7分の左ひざ負傷で離脱してしまったが、ウルグアイ戦で先発した佐野航大(PSV)、ベネズエラ戦で緊急出場した田中聡(シャルケ)の2人はそれぞれ持ち味を発揮。好印象を残したのは朗報だ。
特に田中聡に関しては、久保建英(レアル・ソシエダ)が「急遽出場したのに、入りがメチャメチャよかった。後藤選手(啓介=フライブルク)に1点もののパスも出したし、こんなにいい入りができるんだと思いましたね」と感心するほど、アグレッシブさを出していた。
その田中聡が「自分のプレーモデル」と言い切る佐野海舟も「自分と何となく似ているとは思います」と前向きにコメント。「彼や航大が入ってきてシンプルに競争が激しくなっているんで、ボランチ陣としても必然的にどんどんよくなってくると思いますし、組み合わせによってプレーをしっかり判断してやらないといけないと感じます」とも語っていた。
佐野航大と田中聡をうまく融合させようと思うなら、彼らの個性や特徴を鎌田、田中碧(リーズ)、佐野海舟という2026年W杯組がしっかりと理解し、お互いの長所を引き出し合うような良好なコンビネーションを構築していくことが重要である。
そこで、まず佐野航大にフォーカスすると、彼は今回、ウルグアイ戦で佐野海舟と兄弟ボランチを結成。前半45分間プレーするにとどまっている。鎌田、田中碧という主力ボランチとはまだコンビを組んでいないため、彼らとはここからが関係性構築のスタートだ。
鎌田と組む場合はどちらも2列目をこなせるため、攻撃的な色合いが強くなる。2人がバランスを取りながら前後左右に動き、攻守両面に絡んでいけば、チームにもプラス効果をもたらしそうだ。
田中碧とのコンビを考えてみると、田中碧は鎌田よりつなぎや組み立ての比重が高いプレーヤー。佐野航大としては彼の周りを臨機応変に動きながらサポートに入り、自らも3列目から飛び出してフィニッシュを狙っていくような仕事が出せるのではないか。
実際、彼は9月13日のPSV対スパルタ・ロッテルダム戦で豪快なミドル弾を決めていて、シュートのパンチ力には定評がある。それを代表でも示してくれれば、新たな得点源になれそうだ。
一方の田中聡は、ベネズエラ戦で鎌田、田中碧の両方とそれぞれ共演。代表経験豊富な先輩にリードしてもらう格好になった。
「前半の方がボールに触れた。後半は個で打開できる選手が多くなったので、自分が触る回数は少なくなった。そういうなかでも自分が中心になってボールを配れたりするレベルまで行けたら理想ですね」
田中聡はこう話したが、前半は鎌田の的確なサポートがあり、さらには周囲を代表経験の少ないメンバーが取り巻いていたため、彼が中心となって組み立てに関与できたのだろう。田中碧とコンビを組んだ時間帯はそれがやや難しくなった。田中碧は「一緒にプレーするのが初めてで、あまり喋ってもいない」と話していたから、今後は田中聡の方からアクションを起こして意思疎通を重ね、自らがいい状態でプレーできるように仕向けていくべきだ。
そして、佐野海舟との共闘に関しても、準備を進めておくことが肝要だ。ボール奪取力を売りとする2人が並ぶ可能性はかなり低いが、1日のエクアドル戦、5日のニュージーランドかパナマとの対戦で日本が先行し、守備固めの必要性が生じた時などには、あり得る組み合わせだ。
「僕らが並べばボールを奪うところのよさは出せると思います。ただ、2人とも動いて取りたいタイプなので、スペースを守るとかそういうところを自分が気にしながらやればいいんじゃないかなと思っています」と佐野海舟は具体的なイメージを口にしていた。それを田中聡も共有し、最適解を見出す努力をすることが先決。“デュエルコンビ”のプレーはぜひ見てみたいところだ。
今回はテストマッチということで、できるだけ多くの組み合わせを試しておきたいところ。アジアカップ、今後の公式戦で使えそうなコンビを確立していくことができれば、日本代表にとってプラスだ。
大岩剛監督が指揮をとる2027年3月以降はパリ五輪世代の藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)、ロサンゼルス五輪世代の中島洋太朗(広島)らが加わってくるだろうが、その体制にシフトする前に佐野航大と田中聡を確固たる戦力にできればメリットは大きい。
森保監督がそこまで見通しているかは未知数だが、代表活動は限られている。今回の貴重な残り期間でより強固な中盤を形成しておくことは極めて重要だ。鎌田、田中碧、佐野海舟の“3枚看板”に依存しないボランチ陣のメドを残り2戦でつけておいてほしい。
(元川悦子 / Etsuko Motokawa)

元川悦子
もとかわ・えつこ/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。

















