高卒プロの道蹴り→大学進学「間違いはなかった」 J2加入の逸材MF…主将として誓う「初志貫徹」

徳永涼「筑波大に来て間違いはなかった」
9月22日、筑波大学4年のMF徳永涼が、2027シーズンから大分トリニータに加入することが発表された。
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即戦力として期待がかかる大学サッカー界屈指の頭脳派ボランチとして、新天地での挑戦を心待ちにする彼には、すでに大きな刺激を受けている2人の選手がいる。
その1人が、元日本代表の清武弘嗣だ。
「経験値がもの凄いですし、シンプルに上手いのはもちろんですが、ピッチの中で見ている空間、景色が他の選手と違うんです。紅白戦で相手になった時はまず自分がいてほしくない嫌なポジションに常にいて、そこにスライドしに行くと、簡単に自分の開けたスペースを使われてしまう。一緒のチームでプレーをした時は、目が合いやすいというか、『ここにいてほしいんでしょ』と言わんばかりに、スッとタイミングよくスペースに顔を出してくれる。清武さんから学ぶべきものは多いなと思いました」
そしてもう1人は、柏レイソルのアカデミー出身のMF中川寛斗だ。
「僕もレイソルアカデミー育ちで、レイソルジュニアの時から日立台でプレーする姿を見て憧れていました。個人チャントをめちゃくちゃ歌っていたのも覚えていて、その人と一緒にプレーできることも嬉しかった。寛斗さんにもその思いは伝えましたし、プレーも状況判断が的確で、試合前の準備もプロフェッショナル。見習うべきところが多いと感じました」
2人のベテランと同じピッチに立つ未来を思い描く一方で、徳永にはその前に成し遂げたいことがある。それは筑波大学での日本一だ。
「プロは決まりましたが、まだ僕は筑波大生であることに変わりはありません。僕にとって筑波大は特別な場所だし、キャプテンとして、4年間選手としても人間としても育ててくれた場所に恩返しがまだできていない。関東1部2連覇とインカレ2連覇は絶対に成し遂げないといけない僕の義務なので、筑波大のために全身全霊を尽くさないといけないと思っています」
プロが決まれば、当然次はすぐにでも試合に出たいという気持ちが芽生えるのは当然だ。しかし、彼は義理を大事にし、責任感が強い人間性ゆえに、お世話になった場所でやりきることを信条としている。
「高卒プロではなく、筑波大に来て間違いはなかったとずっと思っています。この4年間でサッカーだけでなく、人間的な部分も大きく成長できました。大学にはさまざまな立場の仲間がいる。試合に出る選手もいれば、出場機会を得られない選手もいる。筑波大蹴球部はそれぞれが異なる思いや目標を抱えながら、何度も思いをぶつけ合って、ともに考えながら同じ方向を向いて1つの組織を作り上げている。そうした仲間たちと向き合うなかで、自分だけではなく、誰かのためにプレーすることの重要性や、それがもたらすエネルギーの大きさを知ることができたんです」
自分が下した決断が正解だったのかどうかは、その時点では分からない。選んだその場所で何を学び、何を積み重ね、どのような人間になっていくのか。全ては自分自身の行動によって、選択の意味と価値を作り上げていく。
徳永にとって筑波大での4年間は、1日1日を無駄にせずに自分を積み上げていく時間になったからこそ、プロ入りへの決断には時間をかけて自分と向き合い、決断後は自分が何をしていくべきかに集中していく。その中で彼の心には筑波大での有限の時間を最後までやり抜きたいという意思があった。
「僕の中でトリニータのファン・サポーターの皆さんの前でプレーする時が来たら、今以上に選手としても、人としても成長をしている姿を見せたいんです。吉岡さん(吉岡宗重スポーツダイレクター)の話を聞いた時に、かつて西川周作さん、梅崎司さん、森重真人さん、清武さん、金崎夢生さんたちがトリニータの黄金期を作り上げて、2008年には(ルヴァンカップの前身である)ナビスコカップを制するなど、地域とクラブが一体となって大きな力を生み出した歴史を知り、大きなポテンシャルを感じたし、その再現に自分も関わってみたいと思ったんです。
そのためには今の僕のままじゃいけない。筑波大で初志貫徹を果たして、胸を張って大分に行って、未来を期待してもらえるような選手になりたいと思っています」
信念は揺るがない。トリニータの一員としてその期待に応えられる選手になり、かつ大分の街で愛される人間になる。そして、自らの力でこの選択を正解にしていく。まずは大学サッカーをやり遂げ、胸を張ってプロのステージに立つために。筑波大のキャプテンとして、信頼する仲間たちとともに最後まで戦い抜く――。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』、新刊は『ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常』(ともに徳間書店)。講演家としても全国を回っている。元・名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター(2022年〜2026年4月)、現・國學院大學体育連合会蹴球部コーチ。






















