久保建英のプレーは「全く理解できない」 現地記者が“焦り”を指摘も…チャンス到来か「先発復帰する」

レアル・ソシエダの久保建英【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】
レアル・ソシエダの久保建英【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

久保建英にとって自身4度目のELがスタート

「目標は優勝」。レアル・ソシエダにとって2シーズンぶりの大舞台となるUEFAヨーロッパリーグ(EL)を前に意気込みを語っていた久保建英だったが、初戦から苦境に立たされている。

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 久保がELへ参戦するのは今季が4度目となる。過去の成績を振り返ると、1度目はビジャレアル時代の2020-21シーズン。チームはウナイ・エメリ監督(現アストン・ビラ監督)指揮下で初優勝を飾ったが、シーズン後半戦にヘタフェへ移籍した久保は歓喜の瞬間には立ち会えていない。グループリーグ全5試合(※カラバフ戦は相手チームに新型コロナウイルス感染症の陽性者が多数出たことで不戦勝)で先発し、1得点3アシストの好成績を残した。

 2度目はレアル・ソシエダ初年度の2022-23シーズン。ラウンド16でローマに敗退するまで7試合(先発4試合)に出場し、2アシストを記録。3度目の2024-25シーズンは11試合(先発9試合)に出場し、2得点2アシスト。チームはマンチェスター・ユナイテッド戦での不満の残る判定によって、再びラウンド16での敗退を余儀なくされた。

 そして4度目の挑戦となる今季、ホームで行われた9月17日のELリーグフェーズ第1節ボーンマス戦は、公式戦3試合連続のベンチスタートとなった。

 この1年は3度の怪我に悩まされ、本来の姿をまだ取り戻せていない。ペッレグリーノ・マタラッツォ監督が今大会開幕直前、「できるだけ早く万全の状態に戻ってほしい」と述べたことからもその様子が推し量れる。

 2年ぶりにEL復帰を果たしたレアル・ソシエダの勇姿を見るべくスタジアムを訪れたフアン・ルイスさんもそう感じている1人。久保がベンチスタートだと知ると、「本来ならスタメン入りすべき選手だと思うが、ワールドカップでの怪我の影響もあり、まだ100%の状態ではないんだろうね。今季ここまでのパフォーマンスには物足りなさが残るが、不調のチームのためにも、早くかつての輝きを放ってほしい」と期待を寄せていた。

 EL初参加ながらも優勝候補の一角に挙げられ、2000人のサポーターの後押しを受けたプレミアリーグのチームを相手に、マタラッツォ監督は今季初の5バックで臨んだが、試合後に「あんなにも試合の入りが悪かったのは今季初めてだ」と悔しさを滲ませていたように戦術変更が失敗し、早い時間帯での2失点により窮地に追い込まれた。後半開始時のシステム変更やゴンサロ・ゲデスの投入でチーム状態を大幅に改善し、ボーンマスを圧倒した。しかし攻撃陣は決定力不足を露呈し、奪ったゴールはセルヒオ・ゴメスのインスイングのクロスがそのまま入った偶発的なものだけだった。

 1点を追う後半39分、久保は定位置の右サイドハーフに投入されると積極的に仕掛け、終始チャンスを作ろうという意欲を見せた。後半アディショナルタイムにはゴール前に入れたボールがオーリ・オスカルソンの決定機につながるも、最後まで同点ゴールを奪えず、惜しくも1-2で敗れてしまった。

 クラブの地元紙『ノティシアス・デ・ギプスコア』はこの日の久保について、終盤の決定機演出を評価しつつも、「何か物足りなさが感じられる」と本調子でないことを指摘。全国紙『ムンド・デポルティボ』は「大胆さを見せたが正確さに欠けていた」と評するにとどまった。

現地記者のマウリシオ・イディアケス氏【写真:高橋智行】
現地記者のマウリシオ・イディアケス氏【写真:高橋智行】

現地記者が指摘「久保には焦りがあった」

 スペインのラジオ局『カデナ・コペ』でレアル・ソシエダの番記者を30年以上務めるマウリシオ・イディアケス氏は試合後、レアレ・アレーナで中継した際に感じた久保のパフォーマンスについて言及してくれた。

「右サイドの起爆剤として投入されたが、彼には焦りがあったように思う。スペースがないところでドリブルを仕掛け、ボールを外に出してしまう場面もあり、本当に焦っていたようだ。久保の持つクオリティーを考えると、まったく理解できないプレーだった」

「それでも、内側に切り込んでいくプレーや、ゴールライン際からクロスを試みるなど奮闘していたが、チームとしては散々な試合だった。ラ・レアルは事実上、前半を捨てて相手に勝利をプレゼントしてしまったようなものだからね」

「0-2とリードされたうえ、さらに相手にはポストに当てたシュートもあった、対して前半のラ・レアルは枠内シュートがゼロ。オスカルソンが2度の決定的チャンスを逃したことだけを敗因に挙げるわけにはいかないが、あれを決めていれば結果は変わっていたかもしれない」

 さらに同記者は、久保のベンチスタートが続いている理由についての見解を述べた。

「監督は彼をスタメンで起用するほどには信頼していないのだと思う。いざ先発のチャンスが回ってきても、結果を残そうという気持ちが強く出てしまい、ポジションを勝ち取ろうとナーバスになっているように見える」

 途中出場が続いて焦りがあることを指摘しつつも、レアル・ソシエダ加入からずっとチームに貢献する姿を見届けてきた久保に対する期待は大きい。

「例えば2シーズン前(※公式戦52試合出場、7得点4アシストを記録)のように久保が好調であれば、右サイドのレギュラーは彼で間違いないと思っている。ゴンサロ・ゲデスとアンデル・バレネチェアは左サイドの方が適しているし、ジョブ・オチエングは驚異的なスピードと加速力を備えているが、久保には及ばない。エルチェ戦でゴールを決めて良いプレーを見せたが、技術的には限界がある選手だと思う。繰り返しになるが、久保が過去のシーズンで見せたようなベストコンディションにあれば、右サイドのスタメンの座は疑いようがない」

 同記者は最後に、次戦がレアル・ソシエダにとって序盤の山場となり、十分に休養を取っている久保に新たなチャンスが回る可能性を示唆した。

「マタラッツォ監督は今週日曜日のバレンシア戦を見据えて、今日はかなりローテーションしたと思う。バレンシア戦は極めて重要な試合になる。なぜならその後、国際Aマッチウィークで過去最多21日間の中断期間に入るからね。もしラ・レアルが負ければ、開幕7試合で勝ち点7しか獲得できない状況となり、監督や選手たちには激しい批判が浴びせられるはずだ。だから今日はバレンシア戦に向けて多くの選手を休ませたんだと思う。今日のメンバーから判断すると、次の重要な試合で久保は先発復帰することになるだろう」

 今季はリーグ戦でも、ELでもチームにとって厳しい状況が続いているが、久保は次節で今夏加入した佐藤龍之介を擁するバレンシアとの対戦を経て、日本代表に合流する。そこで心機一転し、本来の調子を取り戻すきっかけになることを期待したい。

(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)



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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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