22歳日本人へ「お前がやってくれ」 漂う本格覚醒の気配…“エース”として「15点は取りたい」

新監督の下、福田師王に攻守で寄せられる期待
カールスルーエでプレーする福田師王は、これまでとは違う立ち位置で今季を迎えている。主力としての期待を「責任」として受け止めながらピッチで奮闘中だ。
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「そうですね。責任感は大きいですね」
神村学園(鹿児島)で全国高校選手権、インターハイの得点王に輝いた福田は、Jリーグを経由せず2023年1月にドイツへ渡り、ボルシアMGに加入。U-19、セカンドチームを経てトップチームに昇格し、25年1月のヴォルフスブルク戦ではブンデスリーガ初ゴールを記録した。ただその後出場機会はなかなか増えなかったこともあり、25年夏にカールスルーエへ期限付きで加入。シーズン終盤に5得点を挙げる活躍を見せ、翌26年夏に完全移籍へと移行した。
クラブが完全移籍での獲得に動いたのは、将来的な戦力としてではない。新監督マキシミリアン・ゼンフトの下、FWの主軸として前線を託し、得点という目に見える結果を残すことを期待されていたからだ。
1、2節は負傷で欠場したものの、3節から復帰すると3、4節で連続ゴールを記録し、持ち味である得点力を発揮した。
取材に訪れた第5節コットブス戦では0-3と敗れた。それでも福田は前半からいくつものチャンスに絡み、相手守備陣にとって危険な存在であり続けた。試合後に話を聞くと、そこには昨季とは異なる自覚があった。
「今年からはもう、チームから信頼されていると思いますし、自分的にも主力としてやっていかないといけない。勝てないとなったら、本当に自分のせいみたいな感じになる。もっとチームのために戦っていけたらなというふうに思います」
昨季、福田はドイツ2部の難しさを感じながら、さまざまなトライをしていた。思うようにボールを引き出せない時間も少なくなかった。シーズン途中には、2部の難しさについてこう語っている。
「自分は前で張る選手じゃないから、トップ下やボランチにボールを出してくれる選手がいないと、自分の良さは引き出されにくい。やっぱり難しいリーグだなって改めて思います」
その経験を経て迎えた今季は、相手とのフィジカルコンタクトでも変化を見せる。
コットブス戦では、屈強なセンターバックを相手に競り合う場面が何度もあった。以前なら苦しめられていたような局面でも、身体をぶつけながらボールを収め、前を向こうとする。駆け引きやヘディングでも存在感を見せていることについて問うと、即答した。
「はい、全然できると思っています。当たり合いも楽しい。とりあえず楽しいです」
言葉の端々から伝わってくるのは、自分の力に対する確かな手応えだ。フィジカルコンタクトに強くなり、持ち味の、パスを引き出す動きやゴール前に飛び込むタイミングもさらに磨かれている。だからこそ、今季掲げる目標も明確になっている。
「15点は取りたいです。もちろん。ブンデスに戻るというのが自分の目標なので。まずはここでしっかり、目に見える結果を残して、きっかけを作っていけたらなと思っています」
新しいクラブで居場所を作り出し、2部でのプレーに順応し、そこで自分の良さを引き出せるようになってきた。今季はそこから一歩進み、「得点という結果を残してチームを勝たせる」ことが求められている。
攻撃だけではない。監督から福田に託されているのは前線からの守備もだ。ゼンフト監督は前線からの積極的なプレスからダイナミックなサッカーを志向しており、FWのプレッシング方法にも変化がある。
「そうですね。プレスの行き方が変わって、去年よりハードで、大変ですけど(笑)。もうプレスでも、カウンタープレスというのを本当に練習からずっとやっていますし、攻守の切り替えを早くしろと言われています。そういうところが成長できているのかなとは思います。
監督からの信頼は大きいと感じています。『お前がやってくれよ』みたいな感じで言ってくれます。攻撃もそうですし、守備でも、『お前がプレスに行って、前から取って、前で仕留めろ』というふうに言われています。何度も2度追い、3度追いをしてほしいって。攻撃より守備で求められることが多いかも」
コットブス戦で印象的だったプレーがあった。前半、福田が放ったシュートが相手DFにブロックされたのだが、大きく跳ね返ったボールに対してダッシュで戻り、相手にプレッシャーをかけ、ボールを奪い返したのだ。結果としてこのプレーはファールとなったのだが、足を止めることなく、素早く相手に圧力をかけ続けることの実践力が身につきつつあることの表れだ。
そうしたプレーへの手応えと喜びを福田も感じている。
「いや、嬉しいですよ。前線から、チーム助けるために守備ができたらもっといいかなと思っていますから」
コットブス戦では、0-3という試合展開もあって、ゼンフト監督は次々に交代カードを切っていったが、福田は最後までピッチに立っていた。プレーが切れると福田を呼んで、動きのアドバイスを熱っぽくしているシーンもあった。福田がいたら何かをしてくれるという期待と信頼を強く感じさせる。
「そうですね。僕も最後の最後まで諦めてなかったですし、ワンチャンあるかなと思ったんですけど」
若返りが進むチームにおいて22歳ながら1部でのプレー歴がある福田は、すでに経験豊富な選手の1人でもある。そうしたチームで出場時間を延ばし続け、2桁ゴール、あるいは本人が言うように15ゴールに届けば、選手としてさらなる飛躍のきっかけとなるシーズンになる。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)取得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなクラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国で精力的に取材。著書に『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。























