22歳日本人の”同国ステップアップ”「完璧な判断」 5大リーグ噂も…代表OB太鼓判「理想的です」

日本代表の佐野航大【写真:徳原隆元】
日本代表の佐野航大【写真:徳原隆元】

【専門家の目|太田宏介】PSVへ移籍が決まった佐野航大

 オランダ1部NECナイメヘンのMF佐野航大は現地時間8月8日、同リーグの王者・PSVアイントホーフェンに完全移籍が決まった。かつてオランダでプレーした経験を持つ元日本代表DFの太田宏介氏が、この移籍の背景にある戦術的フィット感、指導者陣との親和性、そして将来のビッグクラブ移籍へつながるキャリア戦略を深く読み解いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

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 PSV は現在オランダリーグを3連覇中の強豪で、UEFAチャンピオンズリーグにも出場する。NECでの活躍を経て、ついにCL出場権を持つメガクラブへの仲間入りを果たした佐野は、5大リーグへの移籍も噂されたが、太田氏はオランダ国内のトップクラブへ渡るルートを「完璧な判断」と高く評価する。

「NECでオランダのサッカーや生活にしっかりと順応した上で、リーグ内で無双状態にあるPSVへ行く。下手に他の国のクラブへ行くよりも、キャリアの階段の登り方としてすごく理想的です。PSVは近年、主力を次々とビッグクラブへ送り出している移籍市場でもトップレベルのクラブ。冬の移籍市場での破談を経てもなお、クラブが熱望し続けて獲得に動いたという事実だけでも、彼への期待値の高さが窺えます」

 今回の移籍を後押しする最大の要素として太田氏が挙げるのが、PSVを率いるピーター・ボス監督と、その右腕であるロブ・マースコーチの存在だ。実は両者は、太田氏がフィテッセへ移籍した際の指揮官とコーチでもある。

「ピーター・ボスは元々Jリーグでもプレーしていて、日本人選手への評価やリスペクトが非常に高い監督です。さらにコーチのロブ・マースも、日本人を本当に大切に扱ってくれる人物。彼らは選手の能力だけでなく人間性も含めて理解してくれるので、佐野選手も変なプレッシャーを感じず、リラックスして自分の良さを出せるはずです。この指導者陣の存在はものすごく大きいですね」

 PSVはこれまで、ボールを保持して遅攻をするサッカーを展開している。ボール保持型のチームにおいて、佐野のプレースタイルは新たなアクセントをもたらすと太田氏は分析する。

「これまでのPSVは、体格を生かして間でボールを受けてタメを作るようなスローテンポの攻撃を得意とする選手が多くいました。しかし佐野選手は、自らボールを持って仕掛け、相手の隙間にぐんぐん潜り込んでいける推進力がある。周囲と連動して攻撃を活性化できるため、前線のフォワード陣もより生きるはずです。チームの戦術にも完璧にハマる姿が想像できます」

 オランダの強豪クラブは、若手を育成して結果を出し、高い移籍金でさらに上のビッグクラブへ売却するビジネスモデルが確立されている。22歳という若さでPSVの主力になれば、その先には世界のトップ・オブ・トップへの道が開ける。

「オランダのクラブでプレーする以上、ここがゴールだとは本人も思っていないはずです。明るい性格も含めてクラブのスタッフ陣との相性は抜群ですし、活躍は間違いないとみています。PSVで1〜2年、しっかりと実績とCLでの経験を積めば、23〜24歳でさらに上のビッグクラブへ飛躍する未来が見えてきます。本当に素晴らしいクラブ選びをしたなと感銘を受けました」

 飛躍の舞台を整えた22歳のオールラウンダー。世界最高峰の頂を目指す佐野航大の新たな挑戦が幕を開けた。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

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