鹿島の練習は「トレンドと逆行している」 鬼木監督が明かす…猛暑でも足をつらない理由

鹿島を率いる鬼木達監督【写真:徳原隆元】
鹿島を率いる鬼木達監督【写真:徳原隆元】

鬼木監督「『きょうは1時間で終わり!』って言ってみたいよ」

 鹿島アントラーズは8月7日に行われた2026-27シーズンのJ1リーグ開幕戦で横浜F・マリノスに4-3の逆転勝利を収めた。後半アディショナルタイム(AT)に入っても2-3と1点ビハインドだった鹿島だが、途中出場していたFWチャヴリッチが後半AT9分、同12分とゴールを決めて、大逆転劇を完成させた。

 試合の大きな分かれ目となったのは、鹿島が1-3と2点を追っていた後半の飲水タイム明けにあったと思う。鹿島が攻め込むなかで試合が止まった後半30分、横浜FMはDF角田涼太朗、DF諏訪間幸成、MF知念慶の3選手が足をつってピッチに倒れ混み、試合が中断した。

 鹿島ベンチは試合再開を促したが、ピッチ上の選手はチャンスがあると感じていた。FW鈴木優磨は「2-3にしちゃえば、行けるなと思った。相手4、5人が足をつっていたんで。かなり来てるなと。だから、たたみかけですね」と、弱みが見えたことで奮起した。

 鈴木の言葉通りに、2-3とした鹿島はATに逆転してみせた。試合後、2ゴールを挙げていた横浜FMのFW谷村海那は「つらずにもう1点取りたかったです」と、足をつって後半24分にベンチに退いたことを悔やみ、「本当につらなかったら、勝てたっていう……。そこが課題だと思う。一人ひとりがどう考え、どうつらないようにしていくのかは、これからやっていくしかないと思います」と天を仰いだ。

 高温多湿のなかで行われた開幕戦。前年王者の鹿島に勝つというモチベーション。横浜FMの選手達は強度の高いプレーをキックオフから出していたが、そのツケが回って来たと言える状況だった。

 FW宮市亮も「おっしゃるとおりで、そういった要因もあったと思います。モチベーション高くみんな臨んでいたと思うし、本当に良いゲームをしていただけに、勝ち点3を取りたかった部分はあると思います。でも、こういうことを越えて行くことが、タイトルを獲るうえで大事だと思うので、きょうは本当にみんなにとって良い経験になったと思う。この経験を次に生かせるかどうかは僕ら次第。シーズンのなかでどんどん成長すると思うし、シーズンが終わる頃にはみんな足なんてつらずに、『もっとどんどん走れるぞ』ってなっているのかなと思います」と、成長を誓った。

 それにしても、同じ環境のなかで戦った鹿島の選手たちは、なぜ最後まで走り切れたのか。試合を振り返って、3失点に苦言を呈した鬼木達監督だが、「焦れることなく、我慢強く、最後の最後まであきらめることなく、鹿島のメンタルを最後は見せられたゲームだった」と、「最後は」の部分を強調して言った。

 複数の相手の足がつったことに関しては、「相手のことなので、自分たちがコントロールできることではない」と前置きをした鬼木監督だが、「ゲームの展開を考えれば、自分たちがしっかりボールを動かせれば、そういうことにはなってくるとは思っていました。ただ、それ(相手の疲労)に期待してサッカーをするわけではない。それも一つの要素としては、持っていますが、やっぱりゴールに向かうこと、ゴールを取ることでダメージを与えられると思ってずっとやっています。結果的に押し込むことでああいうふうになったと思いますけど、ああいうふうになるためのサッカーはやっているつもりなので。(一時1-3まで)点差は開きましたけれど、選手たちが我慢強くやってくれたかなと思います」と、90分を通してのチームの戦いぶりに胸を張った。

 そして、フィジカル面における鹿島の強さについては、「普段の、日頃のトレーニングだと思います」と言い、「自分のトレーニングは、最近の傾向とは少し違って、練習も長いですし、強度も必要なときは、その長いなかでも出してもらっています。こっちほど蒸し暑くない鹿島の気候というのもありますが、やれるときはとにかくガンガンやるという形で自分が就任してからやってきているのは、一つ大きなことかと思います。ただ、向こう(鹿島)と違う気候で試合をすることは、実際にはきつかったと思いますが、最後まで足が止まらないとか、特に足が止まるか、止まらないかは頭の方だと思うので。そこが切れなかったのは、良い方向に進んでいるのだと思います」と、結んだ。

 その後、ミックスゾーンでも立ち話的に鹿島の走力について問われた指揮官は、「トレンドと逆行しているからね。練習の時間は長いし」と繰り返して、「『きょうは1時間で終わり!』って言ってみたいよ」と笑った。勝利に向けて細部にこだわり、高い要求を続けてきた指揮官。鹿島の監督に就任してから約1年8か月、積み重ねた日常の成果が、新時代を迎えたJリーグのスタートの一戦で出た。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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