J1騒然の神の手「当たったかもしれない」 王者の猛抗議も実らず…VARなき時代が生んだ論争劇

2005年:横浜F・マリノス 0-1 ジュビロ磐田
8月7日、秋春制への移行によって新たなシーズンが開幕するJリーグ。その歴史を振り返ると、各年の「開幕戦」には数々のドラマや衝撃、あるいはハプニングが刻まれてきた。新シーズンの足音が近づくなか、ファンの記憶に強烈に焼き付いているシーンを振り返る企画「Jリーグ歴代開幕戦の衝撃」。第7回は、2005年、ピッチが騒然となった大判定疑惑、ジュビロ磐田・福西崇史による「神の手ゴール」事件だ。
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2005年3月5日、日産スタジアム。当時のJリーグにおいて、横浜F・マリノスとジュビロ磐田の激突は特別な意味を持っていた。
前年にJ1連覇を成し遂げ、3連覇という偉業に挑む絶対王者・横浜FMと、長年タイトルを争ってきた宿敵・磐田。開幕戦から実現した黄金カードに、スタジアムには4万1000人を超える大観衆が詰めかけた。日本代表クラスがズラリと顔を揃える両雄の対決は、下馬評通り、互いに一歩も引かない緊迫した攻防が続く。
しかし、スコアレスのまま迎えた後半、誰も予想しなかった形で試合の均衡が破れることになる。
後半終了間際、磐田が敵陣右サイドでフリーキックを獲得する。ゴール前に送られた鋭いボールにタイミング良く飛び込んだのが、日本代表MF福西崇史だった。
横浜DF中澤佑二と競り合い、もつれるような体勢の福西の身体に当たったボールは、そのままゴールネットへと吸い込まれる。均衡を破る先制点――かに思われたが、その直後、ピッチは異様な空気に包まれた。
失点を喫した横浜FMの選手たちが、一斉に岡田正義主審を取り囲んで猛抗議。松田直樹らを筆頭に、顔を紅潮させて「手で入れた!」と激しくアピールする。確かに、リプレイ映像を確認すると、福西の右腕にボールが当たってネットを揺らしているように見えた。
しかし、主審の立ち位置からは複数の選手が重なってブラインド(死角)になっており、ハンドの反則は確認できなかった。横浜FM陣営の必死の抗議も実らず、判定は覆ることなく磐田のゴールが認められた。
結局、この疑惑の1点が決勝点となり、磐田が1-0で勝利。3連覇を狙う王者は開幕戦で思わぬ形で出鼻を挫かれることになった。
試合後、福西本人が「手? 当たったかもしれない」と苦笑交じりに振り返ったこともあり、メディアはこのゴールをディエゴ・マラドーナの伝説になぞらえて「神の手」と大々的に報道。判定の是非を巡って、サッカーファンの間で大論争が巻き起こった。
現在のJリーグであれば、間違いなくVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入によってハンドが宣告され、ノーゴールとなっていたシーンのはず。しかし、テクノロジーのなかった時代だからこそ生まれた、生々しい人間ドラマと物議を醸した判定だった。
(FOOTBALL ZONE編集部)






















