浪速の春に走った閃光 言葉失った規格外の一撃…日本代表GKも「気がついたら決まっていた」

1997年:ガンバ大阪 4-1 ベルマーレ平塚
8月7日、秋春制への移行によって新たなシーズンが開幕するJリーグ。その歴史を振り返ると、各年の「開幕戦」には数々のドラマや衝撃、あるいはハプニングが刻まれてきた。新シーズンの足音が近づくなか、ファンの記憶に強烈に焼き付いているシーンを振り返る企画「Jリーグ歴代開幕戦の衝撃」。第4回は、1997年、来日直後のストライカー、パトリック・エムボマが日本のファンを震撼させた“超絶”リフティングボレーだ。
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1997年4月12日、万博記念競技場。この日、フランスの名門パリ・サンジェルマンからガンバ大阪に加入したばかりの未知なるストライカーが、Jリーグのピッチに初めて足を踏み入れた。現役のカメルーン代表FWパトリック・エムボマである。
のちに「浪速の黒豹」の愛称でファンから深く愛されることになる男だが、当時はまだその真の実力を知る者は少なかった。しかし、キックオフの笛が鳴ってからわずか数十分後、スタジアムに詰めかけた観衆、そして日本中のサッカーファンは“規格外の衝撃波”に言葉を失うことになる。
1-1の同点で迎えた後半24分、その伝説の瞬間は訪れた。
ペナルティエリアのやや外側、相手ゴールに背を向けた状態でパスを受けたエムボマは、プレッシャーをかけにきた平塚のDFを背負いながら、なんと左足でボールをふわりと浮かせた。そのまま素早く反転して相手を置き去りにすると、落ちてきたボールに左足一閃。強烈な弾道を描いたボレーシュートが、一直線にゴールネットへ突き刺さった。当時の日本代表だったGK小島伸幸も反応できず、試合後も「気がついたら決まっていた」と驚きを隠さなかった。
ボールコントロールの柔らかさ、屈強なDFをものともしない圧倒的なフィジカル、そして強烈なシュートを枠に収める並外れたボディバランス。それらすべてが凝縮されたパーフェクトな一撃だった。
この開幕戦でいきなり1ゴール1アシストの大活躍を見せ、チームを4-1の快勝に導いたエムボマ。あの日のリフティングボレーは、単なる「スーパーゴール」という枠を超え、当時の日本人選手やファンに対して「世界との絶対的な身体能力と技術の差」を絶望的なまでに見せつけるものだった。
開幕戦での衝撃を皮切りに、エムボマはこの年、28試合で25ゴールという驚異的なペースで得点を量産。得点王に輝くとともに、Jリーグ年間最優秀選手賞(MVP)を獲得する大車輪の活躍を見せた。
日本のサッカー史において「最も衝撃的だったゴールは何か」という問いが出た際、今なお多くのファンが挙げるであろうエムボマの超絶ボレー。それは、1997年の開幕戦という舞台に突如として現れた、スーパースターによる美しくも残酷な名刺代わりの一撃だった。





















