J参入で鹿島が覆した「99.9999%不可能」 40歳ジーコの無双劇…伝説FK「神様は実在した」

開幕戦でハットトリックを記録した鹿島のジーコ氏【写真:スポーツ報知/アフロ】
開幕戦でハットトリックを記録した鹿島のジーコ氏【写真:スポーツ報知/アフロ】

1993年:鹿島アントラーズ 5-0 名古屋グランパスエイト

 今年8月7日、秋春制への移行によって新たなシーズンが開幕するJリーグ。その歴史を振り返ると、各年の「開幕戦」には数々のドラマや衝撃、あるいはハプニングが刻まれてきた。新シーズンの足音が近づくなか、ファンの記憶に強烈に焼き付いているシーンを振り返る企画「Jリーグ歴代開幕戦の衝撃」。第2回は、1993年、“サッカーの神様”が格の違いを見せつけた鹿島アントラーズ対名古屋グランパスエイトの一戦だ。

【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!

 歴史的な開幕戦(ヴェルディ川崎対横浜マリノス)の翌日。興奮冷めやらぬ1993年5月16日、全国のサッカーファンの視線は、茨城県立カシマサッカースタジアムに注がれていた。

 対戦カードは、鹿島アントラーズ対名古屋グランパスエイト。この試合が大きな注目を集めた最大の理由は、両チームが擁する「世界的スーパースター」の激突にあった。鹿島には元ブラジル代表の10番である“サッカーの神様”ことジーコが君臨。対する名古屋には元イングランド代表でW杯得点王にも輝いたゲーリー・リネカーがいた。

 世界の第一線で活躍してきたレジェンド同士の直接対決。スタジアムはキックオフ前から、最高潮の熱気と期待に包まれていた。

 しかし、試合は予想外のワンサイドゲームとなった。その中心で文字通り「神がかった」プレーを見せたのが、当時40歳のジーコだった。

 前半25分、ペナルティエリア手前でパスを受けたジーコが、鋭い出足から右足を一閃。強烈なシュートをゴール左隅に突き刺し、鮮やかに先制点を奪う。直後の同30分にはペナルティエリア手前の左中間、絶好の位置で得たフリーキック。短い助走から右足で放たれたボールは、壁の横を抜ける美しい放物線を描き、相手GKが一歩も動けないままゴール右隅へと吸い込まれた。

 そして後半、ジーコの独壇場となる。同8分、アルシンドが追加点を挙げ、主導権を完全に掌握。すると同18分、ペナルティエリア内でのこぼれ球にいち早く反応。DFに囲まれながらも、反転して右足で確実にゴールネットを揺らした。Jリーグ史に今も語り継がれる、芸術的なハットトリック達成だった。

 終わってみれば、鹿島が5-0という記録的な大勝。名古屋の絶対的エースであるリネカーに見せ場を作らせず、圧倒的な強さで初陣を飾った。

 年齢を感じさせない卓越した技術、試合を読む眼、そして勝負どころで確実に結果を出す決定力。「99.9999%不可能」と言われた鹿島のJリーグ参入を覆し、常勝軍団の礎を築いたジーコが、日本中に「世界トップレベル」の基準をまざまざと見せつけた瞬間だった。

 あの日のカシマスタジアムで繰り広げられた圧巻のパフォーマンスは、「神様は実在した」とファンに確信させるに十分すぎるほどの衝撃を、日本サッカー史に刻み込んでいる。

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング