ド派手演出の開幕に「日本のサッカーが変わる」 歴史的初ゴール…敗将ラモスが示した「真剣勝負」

Jリーグ初の開幕戦はV川崎と横浜Mが激突【写真:岡沢克郎/アフロ】
Jリーグ初の開幕戦はV川崎と横浜Mが激突【写真:岡沢克郎/アフロ】

1993年:ヴェルディ川崎 1-2 横浜マリノス

 8月7日、秋春制への移行によって新たなシーズンが開幕するJリーグ。その歴史を振り返ると、各年の「開幕戦」には数々のドラマや衝撃、あるいはハプニングが刻まれてきた。新シーズンの足音が近づくなか、ファンの記憶に強烈に焼き付いているシーンを振り返る企画「Jリーグ歴代開幕戦の衝撃」。第1回は、すべての原点である1993年、日本サッカーの歴史が動いた、ヴェルディ川崎対横浜マリノスの一戦だ。

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 1993年5月15日、東京・国立競技場。5万9626人の大観衆で埋め尽くされたスタジアムは、試合前から異様な熱気に包まれていた。

 暗転したスタジアムに色鮮やかなレーザー光線が飛び交い、Jリーグのテーマソング「J’S THEME」が鳴り響く。巨大なバルーンがピッチを覆うド派手な演出は、当時の日本のスポーツ界においてかつてないエンターテインメントの始まりを予感させた。

 そして、スポットライトを浴びた川淵三郎チェアマン(当時)がマイクの前に立つ。「スポーツを愛する多くのファンの皆様に支えられまして、Jリーグは今日ここに大きな夢の実現に向かって、その第一歩を踏み出します」。高らかな開会宣言が響き渡った瞬間、スタジアムのボルテージは最高潮に達した。「日本のサッカーが変わる」ーー誰もがそう確信した歴史的瞬間だった。

 華々しいセレモニーを経てキックオフされた開幕戦は、日本リーグ時代からサッカー界を牽引していたタレント軍団・ヴェルディ川崎と、名門・横浜マリノスの激突。試合がいきなり動いたのは、前半19分だった。

 ペナルティエリア外の左斜め45度。V川崎のオランダ人FWヘニー・マイヤーが、右足でボールを切り返して相手DFをかわすと、豪快に右足を振り抜く。矢のような強烈なミドルシュートが、横浜MのGK松永成立の手を弾いてゴール右隅に突き刺さった。

 これが、記念すべきJリーグ史上初ゴール。スタジアムの熱狂を切り裂くような圧巻の弾道は、日本がプロサッカーの時代に突入したことを象徴するにふさわしい、ワールドクラスの一撃だった。

 しかし、試合はこれで終わらなかった。後半に入ると横浜Mが猛反撃を見せ、同3分にエバートンが同点ゴール。さらに同14分には、ディアスが逆転ゴールを叩き込み、初代王者の大本命と目されていたV川崎を2-1で撃破した。

 タイムアップの笛が鳴り響いた直後、ピッチにはある強烈な光景が広がっていた。敗れたV川崎の精神的支柱・ラモス瑠偉が、ピッチに座り込み、悔しさのあまり拳で力強く地面を叩きつけていた。

 華やかなエンターテインメントとして幕を開けたJリーグだが、ピッチ上で繰り広げられているのは命懸けの「真剣勝負」である。ラモスのその姿は、プロフェッショナルとしての執念とプライドを日本のファンに強烈に焼き付けた。あの日、国立競技場で放たれた熱量こそが、その後のJリーグ30年以上の歴史を支える礎となっている。

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