識者が持論…次期監督を巡る是非 森保監督を「安易にこういう場で使うべきではない」

大岩監督が引き継ぐのなら、U-21の選手を中心にアジアカップに臨めば問題解決
次期日本代表監督を巡る報道が活発になってきた。そのなかで最も有力なのは、「2028年ロス五輪代表の大岩剛監督が次期監督候補だが、日程的な問題から2027年1月~2月に開催されるアジアカップを率いることはできないため、森保一監督がアジアカップまで監督を務める」というものだ。
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次回ロス五輪では男子サッカーの参加チームが16チームから12チームに減らされた関係で、アジアからの出場枠は2チームになった。この厳しい予選を勝ち抜くためには、U-21日本代表を率いて参加する9月14日から10月3日までの第20回アジア大会で経験を積み、2027年8月末までに終了する五輪予選で勝ち抜かなければならない。
確かに五輪出場のためには大岩監督に、U-21日本代表に集中してもらったほうがいいだろう。大岩監督は2018年、鹿島アントラーズを率いてAFCチャンピオンズリーグで初優勝する結果を残しており、また2024年パリ五輪ではオーバーエイジを使わずベスト8、さらにU-23アジアカップを2回制している。
自身も五輪代表チームを率いていた森保監督はかつて大岩監督との関係についてこう語っていた。
「大岩監督とのコミュニケーションについてですが、メンバーの候補等々についてはリストを共有していますので、そういうコミュニケーションを取っています。代表招集についても、山本ダイレクターも含めて私が直接大岩監督とコミュニケーションを取る、山本さんが間に入ってくださって、A代表、オリンピック代表の活動のなかでどうやって選手を動かしていくかという、情報共有の部分でも間に入って動いていただいてます」
そう考えると大岩監督に引き継ぐという選択肢も出てくるだろう。大岩監督が2大会連続で五輪代表を率いることを考えると、日本サッカー協会の期待値の高さもうかがえる。
仮に、これまで出回っている報道どおりだとして、森保監督が来年3月まで代表監督を続けるメリットはあるのだろうか。特に森保監督に関してはどうだろう。
日本は悲願だったコーチライセンスでUEFAと互換性を得ることになった。JFA Proライセンスを保持し、J1で3年以上、あるいは日本代表監督の経験を持つものなら、UEFAで新たに資格を取り直す必要がなくなったのだ。
2回のワールドカップでグループリーグを突破し、ドイツ、スペイン、ブラジル、イングランドなどを破った経験を持つ森保監督は、すぐにでもヨーロッパに送りだし、現地のノウハウを持ち帰ってもらったほうがいいのではないか。たとえ監督をしなくても、知名度を生かしていろいろなクラブとのコネクションを作ることでも大いに意義があるはずだ。
そして契約期間と噂されるアジアカップには問題点がある。2024年カタールアジアカップで明らかになったが、ヨーロッパのトップクラブでプレーしている選手にとってみれば、普段のリーグよりもレベルが落ちる相手との戦いを、シーズン途中で抜けてレギュラーの座を失うかもしれないという心理状態のなかで戦わなければならないのだ。
一方で、アジアカップは長期で合宿を組める唯一の大会でもある。それならば、若手発掘の場にしてはどうか。ヨーロッパにいても出番が少ない選手たちを集めて、どこまでプレーできるのか確かめてみるのだ。
ベストメンバーが揃えられない五輪にも、どこまで固執するのかという問題がある。いっそのことアジアカップはヨーロッパでプレーしている選手、五輪は日本でプレーしている選手の、世界に対するショーケースとして使い、ヨーロッパ移籍を促す場にしてはどうかと思う。
そういう現実的な考え方をすれば森保監督をわざわざここに使う必要はない。森保監督が五輪代表監督を兼任していたとき、横内昭展コーチが暫定監督としてトゥーロン国際大会やキリンチャレンジカップ、AFC U-23アジア選手権予選などを戦ったこともあるのだ。
過去を振り返ると、アルベルト・ザッケローニ監督がビザの問題で日本代表監督への就任が遅れたとき、原博実技術委員長が指揮を執ったこともあった。昔、「日本の切り札」とされていた森孝慈氏(故人)が就任する前、川淵三郎氏が日本代表監督として指揮して森氏にバトンを渡したこともある。
今の日本代表スタッフのなかでも名波浩コーチや斉藤俊秀コーチは監督経験もあり、現在の路線をつなぐのなら、彼らに一時的に指揮権を渡してもいいはずだ。
せっかくの森保監督という人材を、人がいいからと言って安易にこういう場で使うべきではない。大岩監督が引き継ぐのなら、U-21日本代表の選手を中心に2027年アジアカップに臨めば問題解決ではないだろうか。2019年UAEアジアカップに臨んだ日本代表には冨安健洋や堂安律が含まれていて、そこから主力に育っていったのだから。
(森雅史 / Masafumi Mori)

森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。





















