大久保嘉人氏「予想していなかった」 スペイン強さの根底…メッシでも「崩すのは難しい」

元日本代表の大久保嘉人氏【写真:SportsPressJP/アフロ】
元日本代表の大久保嘉人氏【写真:SportsPressJP/アフロ】

決勝カード顔合わせは大久保氏も「予想していなかった」

 現地時間7月19日に行われるFIFA北中米ワールドカップ(W杯)の決勝カードは、スペイン代表とアルゼンチン代表の対戦に決定した。大会前からの大本命と目されたチームが姿を消す中、今大会、「FOOTBALL ZONE」で特別解説を務める元日本代表FW大久保嘉人氏にとってもこの顔合わせは予想外だったという。なぜ圧倒的な「個」を誇るフランスは敗れ、スペインが勝ち上がったのか。世界中が熱視線を送る決勝戦の行方を展望した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・瀬谷 宏)

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「まったく予想していなかったですね。フランスが決勝に来ると思っていました。相手もアルゼンチンではなく、イングランドが優勢だと思っていたので……」

 準決勝でスペインはフランスに完勝を収めた。大久保氏は当初、「フランスが個の力で圧倒するんじゃないか」と予想していたという。しかし、ピッチ上で繰り広げられたのはスペインの洗練された組織サッカーだった。

「個だけでも勝てないんだなと。スペインは個の中に組織があり、より洗練されていました。今までずっと同じやり方をやってきて、フランスはそこにまんまとやられましたね」

 スペインの強さの根底には、幼少期から徹底された「決め事」があるという。

「全員が動いていますよね。パスをもらえるところに動いて、止まらずにもう1回動き直す。3人目の動きなど、そういうところが全然違いました。スペインってボランチなど中盤でボールをもらう時、小さい年代から『ここにいないといけない』という決め事があるんです。プレスをかけられてもそれを剥がせる立ち位置と、ボールのもらい方(体の向き)が非常に良い」

 その結果、フランスの最大の武器であるFWキリアン・エンバペら強烈なアタッカー陣は沈黙した。

「ボールを受けて時間を与えたらやられるので、ボールが入る前から準備して何もさせなかった。フランスは個が強すぎて、ボールを奪えずにイライラし、メンタル的にもやられていましたね。個が強すぎることが今回は弱点になったと感じました」

アルゼンチン代表のリオネル・メッシ【写真:徳原隆元】
アルゼンチン代表のリオネル・メッシ【写真:徳原隆元】

メッシを知り尽くすスペイン、決勝は「洗練された組織vs泥臭さ」

 頂点を懸けた決勝戦で対峙するのは、アルゼンチンだ。ここ2試合、劇的な勝ち上がりを見せて勢いに乗る南米の雄に対し、大久保氏は「アルゼンチンの泥臭さや激しさはめちゃくちゃある」と評価しつつも、対照的なスタイルのぶつかり合いになると見ている。

 注目は、やはり大エースのリオネル・メッシの存在だ。スペインで長年活躍したメッシにとって相手は勝手知ったる国だが、それは逆もまた然り。

「スペインはメッシを知っているし、フランス戦のように組織で封じるんじゃないかなと思います。スペインは誰が出ても同じような戦術でプレーができる。疲れが溜まったら他の選手を出すことができるんです。逆にアルゼンチンは選手層に少し差があるのと、準々決勝、準決勝と激闘続き。疲労はアルゼンチンの方が溜まっているはず」と、選手層と疲労度の差が勝負を分ける要因になると指摘する。

 今大会のスペインは守備の安定感も光る。

「準決勝の話に戻りますが、ディフェンスラインの個の力で言えば、絶対にフランスの方が強かったはずなんです。それでもスペインがあのメンバーで失点をゼロで抑えられたのは、絶対に組織のおかげ。やり方が決められているから、メッシという存在がいるとしてもアルゼンチンがスペインの守備を崩すのは難しいと思います」

 大一番のスコア予想はズバリ「2-1でスペイン」。1点差の緊迫した好ゲームの末、無敵艦隊がW杯の頂点に立つと予想した。

 圧倒的な個の力か、洗練された組織力か。大久保氏が「全てをぶつけられる」と語る最高峰の戦いは、いよいよ幕を開ける。

(瀬谷宏 / Hiroshi Seya)



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