W杯ベスト8は“ほぼ欧州選手権”に 本命は危なげないフランスと“自作自演”気味のアルゼンチンか

ベスト8は6カ国が欧州という内訳に
北中米ワールドカップ(W杯)のベスト8が決まった。優勝の本命は依然としてフランス、アルゼンチンだと思う。どちらもこれまでの5試合にすべて勝利。ただ、その道のりは違っている。
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フランスはセネガル、イラク、ノルウェーを下し、ノックアウトステージでスウェーデン、パラグアイを破ってのベスト8。セネガル、ノルウェー、パラグアイは難敵だったが、さほど危なげなく勝っている。
アルゼンチンもグループステージ3戦全勝。ただ、相手はオーストリア、アルジェリア、ヨルダンとかなり格下の相手だった。ラウンド32のカーボベルデも問題にならないかと思われたが延長にもつれこんでの3-2。ラウンド16のエジプト戦は2点をリードされてからの逆転(3-2)。ドラマチックな勝利にリオネル・メッシは涙を流し、チームメートは彼らの英雄を胴上げする喜びようだったが、本来そこまで苦戦する相手ではなかったはずだ。
アルゼンチンの次の相手はコロンビアとのPK戦を制したスイス。これに勝てば準決勝はイングランドかノルウェーとの対戦となり、ベスト4にしてようやく強力なチームと対峙することになるわけだが、そこまでの組み合わせが異常なくらい恵まれている。
フランスが準々決勝で当たるモロッコはグループステージ初戦でブラジルと引き分け、ラウンド32でオランダ、ラウンド16で開催国カナダを打ち破って来た。スーパースターはいないが流動的な攻め込みと鋭いカウンターアタックで完成度は高く、フランスを倒せば一気に優勝も現実味を帯びてくるだろう。
スペインはラウンド16でポルトガルとの接戦を制した。ベルギーはセネガル、米国と強敵を撃破してスペインに挑む。ノルウェーはブラジルを打倒し、イングランドも完全アウェイのメキシコ戦に競り勝った。
アルゼンチン以外は、どこもそれなりの強敵を乗り越えてベスト8にたどりついているわけだ。スイスはこれまでで一番の強敵である。ただ、自作自演気味とはいえ苦労して勝ち上がるのはアルゼンチンらしくもあり、何だかんだありながら決勝まで進むのかもしれない。
米国、カナダ、メキシコの開催3カ国はすべてラウンド16で敗退した。
かつて開催国は有利とされていた。開催国優勝は6回あり、ベスト4以上は13回。開催国がベスト4に入れなかったのは8回。1994年以降に欧州南米以外の開催が増えたことが関係している。米国、日韓、南アフリカ、カタールの4大会で開催国のベスト4入りは02年の韓国(4位)だけだ。
2006年以降にスタジアム環境が良くなり、バラつきがなくなった。以前はアルゼンチンの芝生が例外的に深い、高地のメキシコといった、開催国以外が不慣れな状況もあったものだが、ファンの声援は別として、環境がプレーに及ぼす影響が少なくなっている。
今回の3カ国は開催国としてポット1に入れられているのでグループステージで強豪と当たらず、ラウンド32も突破したがそこから先に進める力はなかった。
開催3カ国を除くポット1でベスト8に残れなかったのはブラジル、ポルトガル、ドイツ、オランダの4カ国。残りの5カ国(フランス、アルゼンチン、スペイン、イングランド、ベルギー)は順当に勝ち残った。ポット2からはモロッコとスイスが8強入り。ポット3ではノルウェーが唯一のベスト8入りを果たした。
8強のうち欧州が6チーム。南米、アフリカが1チームずつ。ほとんど欧州選手権化している。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)

西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。





















