家族救うため「全用具を売却」 パラグアイ守護神の壮絶な過去…W杯優勝国撃破で無名から「英雄」へ

数年前までは家族の医療費捻出に奔走していた苦労人
パラグアイ代表の守護神としてFIFA北中米ワールドカップ(W杯)で躍動したGKオーランド・ヒルが、ピッチ外で経験した壮絶な過去と家族への深い愛情で世界的な注目を集めている。英公共放送「BBC」スペイン語版は現地時間7月4日、無名の存在から一躍母国の英雄となった26歳の軌跡を報じた。
身長198センチの大型GKであるヒルは、決勝トーナメント1回戦のドイツ戦で1-1から突入したPK戦で2本ストップする大活躍を見せ、チームを劇的な勝利に導いた。さらに、同2回戦のフランス代表戦でも決定機で好セーブを連発。0-1で敗れたものの、、国際サッカー連盟(FIFA)が選出するプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された。
今大会屈指のパフォーマンスで脚光を浴びているが、記事によると同選手は2025年に入るまでアルゼンチン1部リーグでわずか数試合しかトップチームでの出場経験がない、ほぼ無名の選手だったという。
さらに同メディアは、ヒルが数年前に直面した家族の危機について触れている。2022年末、妻が合併症により緊急手術を受け、生まれたばかりの長男は集中治療室(ICU)へ運ばれる事態となった。当時の一家は経済的な余裕がなく、医療費を支払うため、ヒルは自身のスパイクやクラブのウェア、さらにはU-20代表時代のユニフォームに至るまで、手元にあるサッカー用具のすべてを売却して家族の命を救う資金に充てた過去があるという。
苦難を乗り越えたヒルに転機が訪れたのは2025年。サン・ロレンソのトップチームで定位置を掴むと、パラグアイ代表のグスタボ・アルファロ監督の目に留まり、同年9月にA代表デビューを飾った。そこから一気にW杯の正GKにまで上り詰め、今大会では初戦のアメリカ戦こそ4失点を喫したものの、その後の3試合では延長戦を含めて1失点に抑え、被枠内シュート17本中16本をセーブするという驚異的な数値を記録している。
ドイツ戦に続き、フランス戦でもプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたヒル。愛する家族のためにすべてをなげうった過去を持つ苦労人は、今度は母国のゴールマウスを守る頼もしい英雄として、W杯の歴史に名を刻んだ。


















