サッカー王国が“死んだ日”…ブラジル全土を絶望に突き落とした「魔の18分間」

2014年のW杯でドイツ相手に1-7敗戦したブラジル代表【写真:アフロ】
2014年のW杯でドイツ相手に1-7敗戦したブラジル代表【写真:アフロ】

自国開催のW杯で起きた、目を疑うような悪夢

 サッカーの歴史には、時に現実とは思えないほど残酷な瞬間が刻まれる。1930年に創設され、4年に一度の世界一を決めるFIFAワールドカップ(W杯)。これまで数々のドラマを生んできた同大会だが、2014年のブラジル大会で起きた事件は群を抜いてショッキングだった。自国開催での優勝を宿命づけられていた「サッカー王国」が、準決勝でドイツ相手に喫した1-7の歴史的惨敗。母国ファンが涙を枯らした悲劇、「Mineirazo(ミネイロンの惨劇)」の記憶を紐解く。

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 試合開始前、スタジアムのボルテージは最高潮に達していた。しかし、キックオフの笛が鳴ってしばらくすると、その熱狂は信じがたい沈黙と悲鳴に変わっていく。

 口火を切ったのは前半11分のMFトーマス・ミュラー。ドイツが先制点を奪うと、そこからブラジル守備陣は完全にパニックに陥った。同23分にFWミロスラフ・クローゼに押し込まれたのを皮切りに、24分、26分とMFトニ・クロースが連続弾。さらに29分にはMFサミ・ケディラが5点目を奪取した。

前半11分から29分までの間に5失点。そのうち4ゴールは「わずか6分間」の間に立て続けに叩き込まれたものだった。スコアボードの「0-5」という残酷な数字を前に、スタンドのカナリア色のサポーターたちは頭を抱え、ただ涙を流すしかなかった。

 迎えた後半も、無慈悲なドイツの猛攻は続く。後半24分と同34分に途中出場のFWアンドレ・シュールレにネットを揺らされ、失点は「7」にまで膨れ上がった。終了間際にMFオスカルが意地の1点を返したものの、時すでに遅しだった。

 確かにブラジルにはエクスキューズがあった。準々決勝で大黒柱のFWネイマールが激しいチャージを受けて負傷し、無念の欠場を強いられていたのだ。しかし、1-7というスコアは、エース不在を差し引いてもあまりに凄惨な結末だった。

 この敗戦は、単なる1敗では済まなかった。ブラジルが誇っていた「ホーム公式戦連続無敗記録」は62試合でストップ。さらにショックを引きずったチームは、続く3位決定戦でもオランダに0-3で完敗を喫し、実に約74年ぶりとなるホームでの連敗という屈辱まで味わうこととなった。

 王国を完膚なきまでに粉砕したドイツは、その勢いのまま決勝でアルゼンチンを1-0で下し、東西ドイツ統一後初となる頂点に立っている。

 地元メディアからは容赦ない酷評を浴び、1950年大会の「マラカナンの悲劇」になぞらえて「Mineirazo(ミネイロンの惨劇)」と名付けられたこの一戦。あの戦慄のゴールショーと、泣き崩れる人々の姿は、W杯史に残る「一番悲しい夜」として今も語り継がれている。

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