レアル組がまさかの落選「人材過多の犠牲」 プレミア15得点FWも…W杯で見れないスター選手

世界的なスター選手たちが選外に…【写真:ロイター&AP&アフロ&ムツ・カワモリ】
世界的なスター選手たちが選外に…【写真:ロイター&AP&アフロ&ムツ・カワモリ】

ジョアン・ペドロ、カマヴィンガらは選外に

 北中米W杯に臨む日本代表は前回のカタールW杯組で、CLベスト8も経験した守田英正(スポルティング)が外れて話題を集めたが、他の有力国にも怪我による欠場以外の理由で外れたスター選手たちがいる。その代表例をピックアップした。

【PR】ABEMA de DAZN、2/6開幕『明治安田Jリーグ百年構想リーグ』全試合生配信!毎節厳選6試合は無料!

 イングランド代表では、かつて“黄金世代の中心”と期待されたフィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)の選外が大きな議論を呼んだ。2023-24シーズンのプレミアリーグMVPに輝いたが、今シーズンは本来の輝きを発揮したと言えず、代表でもトーマス・トゥヘル監督の戦術にフィットできなかった。イングランドは前線からの守備強度や切り替えの速さを重視した構成で、ボール保持型のフォーデンは微妙に立ち位置を失った。

 さらに右サイドにはブカヨ・サカ(アーセナル)、中央にはジュード・ベリンガム(レアル・マドリード)などがおり、自由に動き回るフォーデンの最適解を作れなかったことも背景にある。トゥヘル監督は「10番(タイプ)を5人も呼べない」とコメントしており、ベリンガム、モーガン・ロジャーズ(アストン・ビラ)、エベレチ・エゼ(アーセナル)が優先された形だ。同型のコール・パーマー(チェルシー)も外れており、奇しくも3月の日本戦で“ダブル偽9番”のような役割を担った2人が揃って外れることとなった。

 ブラジル代表では、ジョアン・ペドロ(チェルシー)の選外が驚きをもって受け止められた。クラブでは前線の複数ポジションをこなしながら結果を残し、シーズン15得点5アシストという明確な結果に加えて、リンクマンとしても存在感を示していた。それでもカルロ・アンチェロッティ監督は長く怪我で代表から遠ざかっていたネイマール(サントス)の復帰を優先。ブラジル代表での経験不足は否めないが、プレミアリーグで22得点を記録し、空中戦やポストプレーにも強みを持つイゴーリ・チアゴの台頭も影響した。もともとブラジルはヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)、エンドリッキ(リヨン)らアタッカーが充実しており”狭き門”だったが、世界最高峰の評価が高いプレミアリーグで5位の得点数を誇るアタッカーの選外に疑問の声は少なくない。

 オランダ代表では、ジェレミー・フリンポン(リバプール)の選外が話題となった。レバークーゼンで躍動し、新天地のリバプールでも期待を集めたが、負傷やコンディション不良で継続的なアピールができなかった。ロナルド・クーマン監督は守備面の安定感を優先し、経験豊富なデンゼル・ダンフリース(インテル・ミラノ)や最終ラインのポリヴァレントであるユリエン・ティンバー(アーセナル)らを選択。フリンポンは攻撃性能では突出しているものの、4バックの純粋なサイドバックとしては経験不足もあり、5バックではダンフリースとの役割が重なる難しさがあった。爆発力は魅力だが、クーマン監督は“戦術の安定”を優先した形だ。

 フランス代表では、エドゥアルド・カマヴィンガ(レアル・マドリード)の選外が波紋を呼んだ。クラブでは中盤だけでなく左サイドバックもこなす万能型として重宝されてきたが、ディディエ・デシャン監督は今大会で役割の明確化を重視。カマヴィンガの同僚であるオーレリアン・チュアメニ(レアル・マドリード)、アドリアン・ラビオ(パリ・サンジェルマン)という前回経験者に加えて、成長著しいウォーレン・ザイール=エメリ(パリ・サンジェルマン)らとの兼ね合いもあり、器用さゆえに“絶対的なポジション”を確立できなかった。フランスは中盤の層が極めて厚く、守備強度や推進力に優れる選手が多い中で、カマヴィンガが埋もれた印象もある。試合の流れを変えられる能力は高く評価されながらも、デシャン監督はより役割が明確な選手を優先した。世界トップクラスのポテンシャルを持ちながら、フランスの“人材過多”の犠牲になった形だ。

 スペイン代表では、ディーン・ハイセン(レアル・マドリード)の選外が注目を集めた。55人の予備登録メンバーには入っていたものの、本登録では外れる結果となった。ルイス・デ・ラ・フエンテ監督は、戦術的な完成度と代表経験を重視。最終ラインではアイメリク・ラポルテ(アスレチック・ビルバオ)、ロバン・ル・ノルマン(アトレティコ・マドリード)などの実績組に加えて、19歳のパウ・クバルシ(バルセロナ)が選ばれた。さらに象徴的だったのは、長年スペイン代表を支えてきたダニ・カルバハル(レアル・マドリード)も選ばれず、結果的にバルサ勢が大量招集された一方で、レアル・マドリード所属選手が一人もメンバー入りしなかったことだ。現在の代表戦術への適応度を重視するデ・ラ・フエンテ監督の傾向が色濃く表れた選考と言える。ハイセンは将来的には“ラ・ロハ”の主軸候補と見られているが、今回は選出傾向もある中で、2度目の優勝を目指す戦力としてアピールしきれなかった。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



page 1/1

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

今、あなたにオススメ

トレンド