識者が選ぶ「J1EASTベスト11」 鹿島6人&FC東京4人…MVPは31歳「屈強な壁として君臨」

識者がJ1百年構想リーグEASTのベストイレブンを選出した【写真:徳原隆元】
識者がJ1百年構想リーグEASTのベストイレブンを選出した【写真:徳原隆元】

百年構想リーグEASTのベストイレブンを選出した

 2026年夏のシーズン移行を前に行われた特別大会・J1百年構想リーグも地域リーグラウンドが終了。全順位が出揃った。

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 そこでまずEASTに目を向けると、2025年J1王者・鹿島アントラーズが13勝3敗(うちPK勝ち2・PK負け2)という破竹の勢いを見せ、勝ち点45を獲得して首位通過。彼らを終盤まで追い上げていたFC東京が勝ち点37で2位を死守。2025-26シーズン・AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)ファイナリストのFC町田ゼルビアも同じ勝ち点37ながら得失点差で下回って3位となった。

 前評判の高かった柏レイソルは終盤に巻き返して8位まで順位を上げたが、想定外の結果だったのは間違いない。2025年J1で中位だった川崎フロンターレが4位、浦和レッズが6位と彼らもギアを上げ切ることができなかった印象が色濃かった。そして昨季J2降格危機に瀕した横浜F・マリノスも7位。5月24日の最終節は東京ヴェルディ相手に6-0で圧勝し、名門のプライドを示したものの、苦戦を強いられたのは確かだろう。

 J1昇格組の水戸ホーリーホックが9位、ジェフユナイテッド千葉は最下位というのは、ある程度、やむを得ないところ。彼らはこの半年間でJ1のレベルを体感。それを新シーズンに生かすチャンスを得た。そういう意味ではポジティブな18試合だったと言えるのではないか。

 こうした戦いぶりを踏まえながら、百年構想リーグEASTのベストイレブンを選出してみたい。

 まずGKだが、昨季MVPの早川友基(鹿島)で文句なしだろう。今季の鹿島は18試合を戦って通算9失点。2試合に1失点という驚異的なペースで地域リーグラウンドを戦い抜いた。その立役者の1人が早川なのは紛れもない事実。今季のセーブ率は82%を記録。順位的には田中颯(FC東京)に続くEAST2位だが、試合出場時間を考えると、早川の存在価値の大きさは疑う余地がない。

「日本代表からJリーグに戻ってくると、シュートスピードが遅くなるので、その調整が難しい」とも早川はコメントしていたが、すでに実力がJ基準を越えているということになる。2026年北中米ワールドカップ(W杯)の後も鹿島にとどまるのか否かは未知数だが、世界と真っ向勝負できる人材なのは確かだ。

 続いて、最終ラインだが、濃野公人、植田直通の両鹿島勢と室屋成、稲村隼翔の両FC東京勢を選んだ。

 濃野と室屋は同じ右SBで出場していたが、室屋は左SBもできるため、布陣上では左に回ってもらった。そういった事情はあるが、今季の室屋と濃野の存在感は非常に大きく、どちらも攻守両面で際立った働きを見せていた。とりわけ室屋のドイツ仕込みパフォーマンスはチーム全体に好影響を与え、FC東京の総失点数が16に減少。守備が安定したからこそ、FC東京は百年構想リーグで2位というポジションを確保できたのだ。

 CBの稲村もセルティック挑戦から半年で帰国し、アルビレックス新潟時代の恩師・松橋力蔵監督の下で再出発。高い意欲をもってピッチに立っていることが色濃く伺えた。左足のキックの精度、ビルドアップのうまさに加え、守備強度もアップ。2026年W杯後には日本代表入りしそうな雰囲気も感じさせた。

 鹿島の大黒柱・植田の奮闘ぶりも大いに光った。鹿島のなかで全18試合に出場したのは植田とレオ・セアラ、鈴木優磨の3人だが、植田は1620分のフル出場を達成。紛れもなく首位通過最大の功労者だと言っていい。どんなときも高値安定のこの男がいるからこそ、総失点9という数字を叩き出すことができた。鬼木達監督も絶対的な信頼を寄せているはずだ。

 続いてボランチだが、鹿島の主軸を担った三竿健斗とFC東京2年目にして全18試合に出場した常盤亨太を選出した。

 三竿に関しては、2月7日の開幕・FC東京戦と4月29日の東京ヴェルディ戦で2度の退場があり、そこが引っかかったのは事実だが、鬼木達監督の求めるビルドアップやつなぎの部分で大きくレベルアップしたのは確か。そこを評価してベストイレブンに選んだ。

 一方の常盤の方は橋本拳人、小泉慶、高宇洋といった年長者がいるにもかかわらず、コンスタントに出場機会を得て、縦横無尽にピッチを駆け回る姿が印象的だった。もともとFC東京のアカデミー出身で、明治大学を経て古巣に戻って大きな飛躍を遂げた格好だが、こういう選手が数多く出てくるのが最近のFC東京。稲村、大森理生もそうだが、彼らがチームにタイトルをもたらせるようになってくれれば理想的だ。

 攻撃陣は、2列目右に佐藤恵允(FC東京)、トップ下にエリキ(町田)、左に鈴木優磨を配置、トップにレオ・セアラという陣容にした。

 18試合全てに出場した佐藤恵允はFC東京のアタッカー陣で最多出場時間の1441分プレー。得点数の5ゴールは佐藤龍之介、マルセロ・ヒアンと同じだが、活躍度が高かった。本人は2026年W杯メンバーに入れなかったことを受けて本気で悔しがっており、2030年W杯には絶対に出たいと鼻息を荒くしている。そういう野心溢れるところも好印象。ここから一気にブレイクしてほしいものだ。

 エリキは3位・町田で最多ゴール数の7を記録。直近22日の浦和レッズ戦でも決勝点を叩き出しており、その活躍ぶりが目に付いた。シーズン終盤は相馬勇紀が負傷離脱し、ナ・サンホとともにシャドーを形成。黒田剛監督の求めるハードワークも厭わず、重要な働きを見せていた。そこは評価していい点だ。

 鈴木優磨とレオ・セアラの選出は誰も文句のつけようがないだろう。鈴木優磨は6点、レオ・セアラが10点と鹿島の2大得点源になっていて、この2人がいたからこそ、EAST首位を独走できた。特に鈴木優磨は最前線のみならず、左右のサイドでもプレー。30歳になっても成長し続けているところが前向きに映った。

 この11人のなかでMVPを選ぶのは非常に難しいが、早川よりも試合出場数の多い植田直通を選びたい。植田は昨季もMVP候補だったし、鹿島の屈強な壁として君臨しているのは事実。「自分はそういうタイトルは取れない選手」と本人はいつも謙遜しているが、植田がいるから安心して試合を見ることができるというサポーターも多いはず。このハーフシーズンを糧に、来季はJ1とACLEの両獲りを狙ってほしいものである。

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元川悦子

もとかわ・えつこ/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。

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