GKとは思えない好判断「もの凄く生きている」 東京Vユースの大型守護神が求める「安定感」

東京Vの名和優太朗「もっと安定感が必要だと感じました
4月4日に開幕をした高円宮杯プレミアリーグと全国9地域のプリンスリーグ。ここではリーグ戦で躍動を見せた選手を紹介していきたい。今回はプレミアリーグEAST第7節の流通経済大柏vs東京ヴェルディユースの試合から。東京Vユースの守護神である188cmの大型GK名和優太朗は、10人になったチームの中でまるでフィールドプレーヤーのようなプレーを見せて、チームのハイラインを支え続けた。
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0-1で迎えた前半15分、東京VユースはCBの1人が退場をして早々に10人になった。厳しい展開となったが、ここから東京Vユースは「4-4-1」などの守備ブロックを敷くのではなく、逆によりハイラインを敷いてリスク覚悟で同点、逆転ゴールを狙いに来た。
それに対し、流経柏はロングボールや素早いスルーパスを駆使して、広大な背後のスペースを狙いに来たが、そこにGK名和が大きく立ちはだかった。タイミングよくペナルティーエリアを飛び出してボールをクリアしたり、積極的にポゼッションに加わったりと俊敏性と足元の技術を発揮した。
後半39分には1発のロングボールから流経柏FW熊木虎太郎が抜け出すが、大きくバウンドしたボールに対し、ペナルティーエリアから飛び出して空中戦で競り勝って、高い打点のヘッドで弾き返した。
試合は後半45分にゴール前の混戦からFW渡辺瞳也にこの試合2点目となるゴールを決められて0-2の敗戦となったが、名和の存在感は大きかった。
「途中から最終ラインが(CBの渡邉)春来くんを中心にハイラインでオフサイドを取りに行くようになったのを見て、必然的に自分が広範囲をカバーしないといけないと感じました。なので、いつもならDF にプレスを行かせて、周りが戻ってくるのを待ちながら、シュートストップへの準備をする形から、より自分のポジションを高めに設定して、裏へのボールは全部自分が行くつもりで同点、逆転を狙っていこうと意思を固めました」
試合の流れ、フィールドプレーヤーの意思を感じ取って、自らを「10人目のフィールドプレーヤーになったつもりでやりました」とプレースタイルを切り替えた。だからこそ、「普通の11人同士の戦いだったら行かないシーンでも行くと決めていたので、スムーズに体が動きました」と飛び出しに迷いがなく、一気に加速をしてボールにアタックしに行くことが出来た。
だが、いくら覚悟を決めたプレーとはいえ、ボールアプローチのスピードや角度、ヘディングの競り合いやクリアの質は、ずっとGKをやっている選手では出来ないプレーだった。実際にこれまでのポジション変遷を聞くと、やはり中学時代までGKとフィールドプレーヤーとしてもプレーしていた選手だった。
小学生時代に所属をした府中4BKサッカークラブではGKは持ち回り制で、GKとフィールドのあらゆるポジションをこなした。そして、FC府中U-15のセレクションにフィールドプレーヤーとして受けて合格。その際に「GKもできます」と口にしたことで、彼にはGK用とフィールド用のユニフォームが作られ、両方こなすことになった。
だが、中学生の時に身長が一気に伸び、GKがメインポジションになっていた。それでも練習試合ではCBやFWとしてプレーし、中学3年生の時はT2のAリーグでGK中心にプレーしながらも、第14節の府ロクジュニアユース戦ではFWとして出場をして1ゴールをマークした。
中3ですでに183cmあった彼は、東京VユースにGKとして評価されて加入をしたことで、ここからはGK一本となった。2年生になってプレミアEAST開幕からガッチリと守護神の座を掴み、これまで全試合フル出場を果たしている。
「フィールドの経験はもの凄く生きているなと実感することが出来ました。でも、結果として2失点をして負けているので、やっぱりもっと安定感が必要だと感じましたし、もっと成長しないといけないと思いました」
悔しい敗戦だったが、シュートストップや空中戦の強さを見ても、持っている能力が高く、伸び代は十分にあるGKであることは間違いない。伸び伸びとプレーをした小学、中学時代に培った身体能力とサッカーセンスをベースに、まだ身長が伸び続けている名和はここからさらに頭角を現していくだろう。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』、新刊は『ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常』(ともに徳間書店)。講演家としても全国を回っている。元・名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター(2022年〜2026年4月)、現・國學院大學体育連合会蹴球部コーチ。


















