カズの加入で「母の方が喜んでいた」 “3世代”でプレーの59歳「若い選手はうまいし、勉強になる」

長野戦でも出番なしとなった三浦知良【写真:徳原隆元】
長野戦でも出番なしとなった三浦知良【写真:徳原隆元】

福島の三浦知良は長野戦でベンチ入りも出番なし

 J3福島ユナイテッドは「昭和の日」の4月29日、百年構想リーグで同じJ3のAC長野パルセイロに3-1で快勝した。アウェーの長野Uスタに乗り込んだ福島は、バスをつないで中央突破する攻撃サッカーで長野を圧倒。今季3勝目で勝ち点を11に伸ばし、同9の長野を逆転して最下位を脱出した。カズことFW三浦知良は2試合連続で出番はなかった。

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 前節から先発7人を入れ替えた福島が、テンポよくパスを回す。開始直後こそ長野の勢いに押されたが、ボールを持てば福島ペース。選手間の距離を短くしてパスを通し、ボール保持率でも圧倒した。前半を2-0で折り返すと、後半ともに1得点で快勝。「福島のサッカーが表現できた」と寺田周平監督は満足そうに振り返った。

「昭和の日」に令和にプロになった若手が躍動した。前半7分に今季初ゴールで先制点を決めたDF當麻颯は甲南大から令和7年(2025年)にプロ入り。鮮やかなミドルで3点目を決めたMF上畑佑平士(うえはた・うへいじ)は産能大から平成3年(2021年)に福島でプロのキャリアをスタートさせた。

 初スタメン初ゴールで勝利に貢献したMF泉彩稀は令和8年、今年甲南大から福島入りしたルーキー。「他のチームでも同世代の選手が活躍しているし、結果を残したかった」。熾烈なポジション争いの末につかんだスタメンのチャンスを生かした。

 活躍する令和世代の中で、カズは唯一の「昭和世代」。J1からJ3まで1900人弱いるJリーガーでも昭和生まれは数少ないが、カズは昭和からプロでプレーしている希少な選手。この日活躍した令和世代の選手たちとは30歳以上年齢は離れている。

 泉は「カズさんの福島入りのニュースが出て、びっくりした。すごく経験のあるカズさんの話を聞けるだけでうれしい」と話す。「サブ組で一緒にプレーすることが多く『どんどんチャレンジしろ』『ミスしても前へ』と、いつも声をかけてくれる」と感謝した。

 もちろん、世代的には遠い存在。「母がカズさんを大好きで、ずっと追いかけていて」と泉。「ニュース見て『よかったわね。試合見に行くわ』と、母の方が喜んでいました」と笑った。

 チームメートの「親世代」からプレーを続けるカズ。59歳が、20代の選手たちとポジションを争う。「若い選手はうまいし、勉強になることも多い。リスペクトしています」。息子たちより年下の選手と競い合い、出場機会をつかむことを目指す。

 昭和42年(1967年)に静岡で生まれ、昭和61年(86年)にブラジルでプロになった。平成5年(93年)開幕のJリーグで初代MVPに輝き、平成17年(2005年)にJ1からJ2の横浜FCに移籍、令和4年(2022年)にはJFLの鈴鹿ポイントゲッターズにプレーの場を移した。昭和、平成、令和と変わらずサッカー一筋。それが、カズだ。

 チームの快勝で、今季3回目の「わらじ踊り」が行われた。カズも笑顔でサポーターの歓声に応えた。チームの勝利を喜びながらも、やはり出場機会がなかったことは残念がる。初めて訪れたUスタ。「いいスタジアムだね。出たかった」。昨季までのJFLやJ3では、未知のスタジアムも多い。「いろいろ行けて楽しい」と言うが、カズの目標は訪れることではなく、試合をすることだ。

 中2日、3日で連戦が続くハードな日程。それでも、令和世代と同じように出場を目指して競い合い、出ればピッチで結果を出すことを目指す。メンバー入りへの争いに、昭和世代も令和世代もない。だからこそ「次の試合のために、いい準備をするだけ」とカズ。「昭和の日だから、出たかったね」と笑ったその目は、早くも5月3日の大宮戦に向けられていた。

(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)



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荻島弘一

おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。

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