カズにとって正念場の「大型連休」 片道5時間のバス移動も…59歳で挑む過密日程「気を付けないと」

甲府戦で出番なしに終わった三浦知良【写真:徳原隆元】
甲府戦で出番なしに終わった三浦知良【写真:徳原隆元】

ゴールデンウィークの連戦を迎えた

 J3の福島ユナイテッドは4月25日、明治安田J2・J3百年構想リーグ第12節でヴァンフォーレ甲府と対戦。8試合ぶりにノーゴールに終わり、0-1と敗れた。大型連休で日程がハードになる5連戦を黒星スタート。前節スタメンで出場したカズことFW三浦知良はベンチ入りしたものの出番はなかった。

 1点差で敗れた試合を振り返って、カズは悔しそうに言った。「うちは攻撃的なチームだから、やっぱりゴールが欲しい。先に点を取らないとね」。負傷離脱していた主将のMF針谷岳晃が途中出場した終盤は猛攻を仕掛けて甲府ゴールに迫った。それだけに、詰めが甘く決定機を生かせなかったことを悔しがった。

 59歳にとって「正念場」ともいえる大型連休になる。この日の甲府戦に始まって29日にアウェーAC長野パルセイロ、5月3日にホームでRB大宮アルディージャ、6日にアウェーで藤枝MYFC、10日にホームでジュビロ磐田と対戦する。中2、3日で試合が続いていく。JFL(日本フットボールリーグ)でもポルトガルでもなかった連戦に、「週2の試合は久しぶり。慎重に調整していかないと」と話した。

 横浜FC時代には連戦もあったが、今回は長野戦で片道5時間のバス移動を強いられるなど移動面でも負担がかかる。「長い時間の移動の後、すぐにトレーニングがある。気を付けないといけないね」。身体にかかる負担を気にしながら言った。

 もちろん、これまでの長いキャリアで、さらに過酷な経験もしている。ブラジルでは24時間のバス移動もあったし、Jリーグも発足当初は週2回の試合が当たり前だった。もっとも、それは30年も40年も前の話。年齢を重ね、還暦間近になって同じことをやるのは難しい。いわゆる「無理が効かない」年齢なのだ。ケガをしたり体調を崩したりすれば、長期間ピッチに戻れない可能性や、選手生命にも関わってくる。

 試合に向けてトレーニングし、体調を整えて万全の状態を作るのがカズのルーティン。試合が終わると休養し、心身をリフレッシュさせ、次の試合から逆算してコンディションを上げる。アトレチコ鈴鹿でもポルトガルでも週単位で行ってきたし、それが身体に染みついている。いきなり中2日や3日でやることが簡単でないのは当然だろう。

 カズは 「すべての試合に出る準備はするつもり」というが、近年経験していない連戦だけに不安は隠せない。アウェー戦をスキップするという選択肢もあるが「試合に出ていないのに、それはないかな」ときっぱり。それでも試合後には寺田周平監督と長い時間話し合うなど、久しぶりの過密スケジュールに慎重になる。

 この日、スタンドには福島移籍後初めてりさ子夫人や、長男で俳優の獠太の姿があった。家族の前でプレーすることはなかったが、試合出場、そしてゴールへの意欲は衰えない。「また、次に向けて準備をするだけ」。59歳にとっては「未知」の連戦に向けても、カズはいつもの言葉を繰り返した。

(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)



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荻島弘一

おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。

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