北中米W杯を席巻する10代スター15人 “未来”ではなく“即戦力”の時代へ「単なる世代交代ではない」

北中米W杯で注目の10代スターたち【写真:ロイター】
北中米W杯で注目の10代スターたち【写真:ロイター】

北中米W杯のブレイク候補を紹介

 北中米ワールドカップは、これまで以上に「世代交代の加速」が色濃く反映される大会になりそうだ。その象徴とも言えるのがスペイン代表のラミン・ヤマル(バルセロナ)であることは間違いないが、そのほかにも綺羅星のごときヤングプレーヤーが集結しそうだ。 “未来枠”ではなく、すでにクラブや代表で役割を担い、予選から主力級の働きを見せる選手も多い。開幕時点で20歳の誕生日を迎えていないことを条件に、北中米W杯のブレイク候補を紹介する。

【PR】ABEMA de DAZN、2/6開幕『明治安田Jリーグ百年構想リーグ』全試合生配信!毎節厳選6試合は無料!

 真っ先にあげたいのがドイツのレナート・カール(バイエルン)。現代的なアタッカー像を体現する存在だ。攻撃的MFやウイングを主戦場とし、狭い局面でも前進できるボールコントロールと判断の速さが際立つ。ブンデスリーガの絶対王者で、CLのセミファイナルにも進出しているバイエルンの競争環境でローテーションに食い込んでいることが、適応力の高さを示す材料になる。ドイツ代表の局面打開を担うピースであり、守備強度も兼ね備えることで、単なる“技巧派の若手”にとどまらない存在感を放つ。

 コートジボワールのヤン・ディオマンデ(ライプツィヒ)は攻撃へのトランジションで違いを生み出すアタッカーだ。前線からの守備、ボール奪取後の一気の加速、そしてフィニッシュまでを一連の流れとして完結できる。フィジカルとスピードをベースにしながらもプレー選択が整理されており、チームの攻撃を単純なカウンターに終わらせない。まさしく「エレファンツ」(コートジボワールの愛称)の推進力を担うキープレーヤーだ。

 ブラジルのエンドリッキ(リヨン)は、ゴール前での完結力という明確な武器を持つストライカーだ。シュートの振りの速さと両足の精度、コンタクトを受けながらでも打ち切る強さは、すでにトップレベルに近い。プレーの安定性には伸びしろを残すが、短時間で試合の流れを変えられる点で、先発・途中出場のいずれでも価値を発揮する。現在レアル・マドリーからリーグアンの名門にレンタル中だが、アタッカーにタレントの多い「セレソン」(ブラジル代表の愛称)でも”決める選手”としての存在価値が高い。

 ベルギーのナタン・デ・キャット(アンデルレヒト)は、中盤の構築を担うタイプである。サイズを生かした対人守備はもちろん、広い視野と確かな技術でポゼッションのテンポを整える能力に長ける。過去3大会を支えてきた”黄金世代”のピークアウトを経て再構築が進むベルギー代表にあって、中盤からの組み立てやコントロールの役割を若くして担いつつある点は特筆に値する。さらにフィジカル的な強さが増してくれば、文字通りのビッグプレーヤーに成長しそうだ。

 アルゼンチンのフランコ・マスタントゥオーノ(レアル・マドリー)は、創造性という側面で抜きん出る。右サイドからのカットインを軸に、シュートとラストパスの両面で違いを生み出す左利きのアタッカーであり、プレーの間合いを理解した冷静な判断が光る。組織として完成度の高いアルゼンチンにおいて、個のひらめきを加える存在として、試合の質を一段引き上げる可能性を秘めている。

 ほかにも才能あふれるアタッカー目白押しだ。ポルトガルのロドリゴ・モラ(ポルト)は小柄なテクニシャンであり、圧縮されたエリアでの打開力は膠着した状況で、崩しのアクセントになりうる。セネガルのイブラヒム・エンバイェ(パリ・サンジェルマン)はフランス育ちの快速ウインガーで、スピードを生かした突破力でゴールに迫る。ブラジルのラヤン(ボーンマス)は推進力で流れを変える役割を担う、エンドリッキとも違ったタイプの新星だ。

 パナマのFWカディル・バリア(ボタフォゴ)は持ち前の身体能力をベースに、ブラジルの名門でスキルを磨き、早くもエースとして期待されるタレントだ。チュニジアのルーイ・ベン・ファルハト(カールスルーエ)は、前線での機動力とフィニッシュへの関与によってゴールに直結する役割を担う。ボスニア・ヘルツェゴビナのケリム・アライベゴヴィッチ(ザルツブルク)は左サイドからの仕掛けを得意とするウインガーで、セットプレーのキッカーとしても優秀。欧州プレーオフの準決勝ウェールズ戦で、エディン・ジェコの劇的な同点ゴールをアシストした。

 中盤ではエクアドルのケンドリー・パエス(リーベルプレート)が創造性豊かなトップ下として攻撃のリズムを変え、ニュージーランドのルーカス・ヘリントン(コロラド・ラピッズ)は広い守備範囲で中盤の安定に寄与する。最終ラインでは、クロアチアのルカ・ヴシュコビッチ(ハンブルガーSV)が対人守備と空中戦の強さで存在感を示すセンターバックとして台頭し、ウズベキスタンのベフルズ・カリモフ(スルホン)は右サイドから上下動を繰り返しながら、攻守両面に関与する。マンチェスター・シティで活躍するアブドゥコディル・フサノフに続く、スター候補生の一人だ。

 ティーンエージャーの台頭は、単なる世代交代ではなく、サッカーの進化速度そのものを映し出している。育成環境の高度化によって10代でトップレベルに適応する選手は確実に増え、代表チームも年齢ではなく機能性を基準に選手を選ぶ傾向を強めている。北中米ワールドカップは、その潮流がより鮮明に表れる大会となるだろう。若さはもはや未知数ではなく、計算可能な戦力へと変わりつつある。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



page 1/1

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング