超逸材の影に隠れ「同じチームにいなければ」 鹿島16歳の本音…ライバルからの“自立”

鹿島ユースの髙木瑛人「でも、逆に湊海の存在がなかったら今の自分もいない」
4月4日に開幕をした高円宮杯プレミアリーグと全国7地域のプリンスリーグ。ここではリーグ戦で躍動を見せた選手を紹介していきたい。今回はプレミアEAST第3節・鹿島アントラーズユースvs流通経済大柏から。2連勝中の好調・流通経済大柏に対し、鹿島ユースは前半で3ゴールと圧倒。後半は苦戦したが、3-1の勝利を手にした。
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2年生ストライカーとして40番に次ぐダブルエースナンバーの13番を背負うFW髙木瑛人は1学年上のライバルであり、「お手本となる存在」と語るFW吉田湊海からいろいろなものを吸収しながら、独り立ちを誓っている。
スピード、ゴール前での勝負強さ、シュートセンスに加え、負けん気の強さは“これぞストライカー”だ。
千葉県出身で鹿島にはジュニア時代から在籍。昨年は1年生ながら13番を託されて、プレミアEASTで14試合に出場して2ゴールをマーク。夏の日本クラブユース選手権ではベガルタ仙台ユースとの決勝戦で1ゴールをマークするなど優勝に貢献した。
2年生となった今年、すでにプロ契約をしている吉田と2トップを組んでチームを牽引する立場となった。
第2節のアウェイ・帝京長岡戦で今季プレミア初ゴールを含めた2ゴールをマークし、初勝利に貢献。第3節の流通経済大柏とのホームゲームでは、前半10分に先制点となったMF大貫琉偉のロングシュートを見事なポストプレーでアシスト。守備面でも吉田とともに前線からの果敢なプレスを仕掛けてスイッチを入れた。
後半に入っても鋭い動き出しで2本の決定機に絡むが、シュートは相手GKのビッグセーブに阻まれるなど、ゴールという結果は生まれなかったが、吉田とともに相手にとって脅威の存在であり続けた。
「何本か決定機があったなかで、自分の決定力不足でものにできなかったことは本当に悔しいです。もっと貢献できたと思います」
滲み出る悔しさ。「シュート以外でも2度追いとか、攻守のスプリントはこのチームにとって重要なことなので、きょうの僕はそこまで走りきれなかったと感じています」とベクトルを自分に向ける。
そこには今年に懸ける熱い想いがあった。髙木はこの1年を“自立の年”と位置づけており、そう強く思う理由の1つは吉田にある。
「湊海は一人で打開できて、ドリブルもターンもシュートも本当に完璧だと自分的には思っていて、攻守において本当に素晴らしい選手。ずっと学ばせてもらっている存在です」
鹿島ジュニアユース出身の髙木にとって、FC多摩ジュニアユースからやってきた1学年上の先輩ストライカーの存在は脅威だった。さらに同じポジションの1つ上の選手がトップに昇格するということは、その次はトップのストライカーの需要はよっぽどな存在ではない限りないと考えるのが普通だ。髙木はそれをよく理解している。
「正直、『湊海が同世代、同じチームにいなければ』と思った部分はあった」と素直は気持ちを吐露する一方で、「でも、逆に湊海の存在がなかったら今の自分もいないと思っています。それくらい学ぶことが多いし、『絶対に負けたくない』と常に自分を奮起させてくれるんです」と重要かつかけがえのない存在でもあるとはっきりと言い切る。
「自分も心からトップに行きたいと思っているので、もっと成長しないといけないし、自分の武器を磨いていかないといけない。でも、やっぱり湊海から学ぶことは今もたくさんある。例えばボールをもらってターンしたときに、湊海は必ず最初にゴールを見ている。
その上でゴールを狙うのか、仲間を使って前に行くのかをしっかりと判断して、タイミングよく周りと連携もとりながら、爆発的なスプリントでゴール前に入って行くし、守備に切り替わったら全速力でプレスに行く。それは僕が絶対に身につけていかないといけない力なので、そばでプレーすることを自分にとって大きなチャンスだと思ってやっていますし、それだけではなく、1人で打開できる選手になるためにもっと自分を磨かないといけないと思っています」
ライバルから学びながら、超えることを本気で願う。そして、吉田がトップでの出番を掴んでユースからいなくなったときには、絶対的エースストライカーとしてチームを勝利に導く存在にならないといけない。まさに髙木は“吉田からの自立”を決意としている。
そして、髙木には“兄からの自立”という決意もある。髙木のサッカー人生は2学年上の兄・輝人の背中を追いかけている。鹿島アントラーズジュニア、ジュニアユース、ユースと進み、昨年はライバル関係となってポジション争いを演じた。
「兄は本当に誰よりも一番頼れる存在で、ずっと一緒にいていろいろ助けてもらった。そういう意味では卒業して寂しい気持ちはありますが、これからは自分一人で私生活面でも自立をして、選手としても人間としても成長していきたいです」
飛躍の一年に向けて宿す自立の心。モチベーションに満ち溢れながら、髙木は今このときを全力で過ごす。
「どれだけサッカーに熱中できるかが重要。チームで結果を残すために、年代別日本代表の活動も始まるので、そこでもメンバーに選ばれて、かつ結果を残すために、貪欲にゴールと勝利を狙っていきたいです」
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』、新刊は『ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常』(ともに徳間書店)。講演家としても全国を回っている。





















