久保建英のレギュラーは「難しい」 初タイトルも…立ちはだかる”強力なライバル”

キャリア初タイトルを獲得したレアル・ソシエダの久保建英【写真:AP/アフロ】
キャリア初タイトルを獲得したレアル・ソシエダの久保建英【写真:AP/アフロ】

スペイン7年目にして初のタイトルを獲得した

 プロキャリア初タイトルを獲得した2026年4月18日は、久保建英にとって忘れられない最高の日となった。

【PR】ABEMA de DAZN、2/6開幕『明治安田Jリーグ百年構想リーグ』全試合生配信!毎節厳選6試合は無料!

 例年通りセビージャのエスタディオ・ラ・カルトゥーハで開催された国王杯決勝は、レアル・ソシエダとアトレティコ・マドリードの対戦となった。前日会見でレアル・ソシエダのペッレグリーノ・マタラッツォ監督は、1週間前のアラベス戦で約3か月ぶりに実戦復帰した久保がスタメン入りの条件を満たしていることを明言したものの、再びベンチスタートとなった。その大きな理由はゴンサロ・ゲデスとアンデル・バレネチェアの活躍ぶりにあるだろう。

 事実、この両ウイングはアトレティコ・マドリード相手にいきなり素晴らしいパフォーマンスを披露する。バレネチェアはゲデスのクロスから国王杯決勝史上最速となる開始14秒で得点を記録した。チームはその後、アデモラ・ルックマンに得点を許したものの、前半終了間際にゲデスが獲得したPKをミケル・オヤルサバルが決め、再びリードを奪った。

 マタラッツォ監督は終盤、オヤルサバルとゲデスをベンチに下げて守備固めをするが、今季たびたび問題となっている逃げ切りにまたもや失敗する。フリアン・アルバレスに2−2の同点弾を許したことでプラン変更を強いられ、出番がないと思われた久保が5人目の交代枠で後半43分に投入された。

 延長戦に突入し、久保はルカ・スチッチの決定機を演出するなどの見せ場を作るが、勝ち越し点を奪うには至らない。120分の激闘の末、PK戦を制したレアル・ソシエダが6季ぶり4度目の優勝を成し遂げた。久保にとってプロキャリア初となり、さらにスペインでの日本人選手初タイトルとなった。

 久保はPK戦でキッカーを務めなかった理由について、スペインのラジオ局『ラジオ・マルカ』のインタビューで「7番目の予定だった」と説明しつつ、5番目のパブロ・マリンが決めてくれることを「祈っていた」と明かしていた。

 スペイン7年目にして初タイトルを獲得した久保の昨シーズンまでの成績を振り返ると、ラ・リーガは4位(2022-23)、チャンピオンズリーグはラウンド16(2023-24)、ヨーロッパリーグはラウンド16(2022-23、2024-25)、国王杯は準決勝(2023-24、2024-25)が最高で、タイトルに届かない悔しい思いを何度もしてきた(※この成績はすべてレアル・ソシエダでのもの)。

 レアル・マドリードからの期限付き移籍でビジャレアルに所属した2020-21シーズンの前半戦、ヨーロッパリーグのグループリーグ5試合に出場し、1得点3アシストの好成績で優勝の一翼を担ったものの、冬にヘタフェへ移籍していたため、シーズンを通じてのタイトル獲得は今回が初となった。

記者のロレンソ・エルナンデス(左)、マンセボ・サントス(右)【写真:高橋智行】
記者のロレンソ・エルナンデス(左)、マンセボ・サントス(右)【写真:高橋智行】

『エルパイス』のエルナンデス記者「大きな補強に」

 国王杯決勝の取材に訪れていたスペイン紙『マルカ』のマンセボ・サントス記者は、戦列復帰2試合目が自身初のファイナルとなった久保のパフォーマンスについて、ポジティブな感想を語ってくれた。

「レアル・ソシエダは後半に入り、アトレティコ・マドリードの守備を崩すほどの攻撃はあまりできなかったものの、久保が右サイドから仕掛けた突破のすべてが、マッテオ・ルッジェーリと交代した守備のスペシャリストではないニコ・ゴンサレスが入ったことを活かしたものだった。ラ・レアルが延長戦で作り出した決定機はタケの足元から生まれたものであり、あと一歩で決勝点につながるところだった」

 久保の投入が後半終了間際と非常に遅かった理由については次のような見解を示した。

「動きは良かったとはいえ、まだ復帰2戦目だ。今日のような試合展開では攻撃よりも守備的な選手が必要になったので、同点にされるまで出番が回ってこなかったのだろう。皆がチームの一員として自分の役割を果たしていた。彼も心からこの勝利を喜んで祝っているはずだよ」

 一方、スペインで発行部数が一番多い一般紙『エル・パイス』のロレンソ・エルナンデス記者は久保に大きな期待を寄せていた。

「アシストを決めた復帰戦は終盤に追い上げられる展開で過酷だったし、今日はまだ調整段階の2戦目だったけど、タケのパフォーマンスは私たちの予想をはるかに上回っていた。この試合の起爆剤となり、あまり長くない出場時間でチームに新鮮な風を吹き込んでくれた。攻撃の主軸がすでに下がっている状況の中、チームが牽引役を必要としていた多くの場面で、彼はその役割を果たしてくれた。シーズンが佳境に入る今、タケはラ・レアルにとって大きな補強になってくれるはずだ」

 しかし、久保がシーズンの終わりまでにレギュラーに返り咲くにあたり、強力なライバルがいることを示唆した。

「タケは優れた選手なので、負傷前の調子を取り戻せればその可能性はあるとはいえ、残り7試合しかない状況を考えると難しいだろう。バレネチェアがどれだけ素晴らしいプレーをしていたか見てほしい。彼は今、ゲデスと共にラ・レアルの両翼を支えている選手だよ」

 今回の成功により、レアル・ソシエダには来季、4大会(ラ・リーガ、国王杯、ヨーロッパリーグ、スペイン・スーパーカップ)に挑戦するという大きな希望がある。しかしチームはこれに飽き足らず、チャンピオンズリーグの出場権獲得(※スペインが来季も5枠獲得した場合)を目標に、ラ・リーガ残り7試合で5位入りを目指して戦い続けることになる。

page1 page2

高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング