メッシを最大限に輝かせる「最高の衛星」 今さら聞けない…北中米W杯の“スター候補”

今さら聞けない、北中米W杯のキーマンとなる名手たち
北中米ワールドカップ(W杯)まで2か月。森保ジャパンの最終メンバー選考も気になるところだが、世界最大の祭典で、注目するべきタレントは誰なのか。リオネル・メッシ(アルゼンチン)やクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)、キリアン・エンバペ(フランス)、アーリング・ハーランド(ノルウェー)といったビッグスターの他に、大会のキーマンになりそうな名手たちを紹介したい。
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海外サッカーに詳しいファンであれば、誰でも知っている選手ばかりだが、彼らのどういったプレーがチームを勝利に導くのか、改めて注目してほしい。
○ヴィティーニャ(ポルトガル/パリ・サンジェルマン)
ドリブル突破やフィニッシュで注目を集めるタイプではないが、試合の流れを読みながら、長短のパスを振り分ける能力は世界最高水準にある。絶妙な立ち位置で相手ディフェンスの間合いを外す能力を駆使するが、いざプレッシャーを受けても柔軟な身のこなしで外し、チャンスの起点に変えてしまう。しかもオンだけでなく、オフで相手の守備を引き付けて、周りのパスコースを空ける動きにも優れている。
パリ・サンジェルマンでは4-3-3のアンカーとして、自陣の深い位置からもビルドアップに関わり、攻撃全体のテンポを司るが、2ボランチがベースのポルトガル代表ではルベン・ネベス(アル・ヒラル)らとエリアをシェアしながら、前目に絡んでブルーノ・フェルナンデス(マンチェスター・ユナイテッド)をサポートする。ただし、時間と空間を作り出す基本的な仕事に変わりはない。
目まぐるしく変動する流れのなかで、的確なポジションを取り続ける機敏性と活動量は見逃せない要素だが、いわゆるフィジカルエリートではないヴィティーニャのような選手の存在に注目することで、フットボールにおける本質を見直す機会になっていくことも期待したい。
○フリアン・アルバレス(アルゼンチン/アトレティコ・マドリード)
前回カタール大会の優勝メンバーであり、リオネル・メッシを擁するアルゼンチンで、今最も無くてはならない前線のピースだ。ゴール前での決定力はもちろん、精力的なプレス、状況に応じた的確なポジショニング、タイミングの良いスペースへの動き出し、周りとのコンビプレーなど、前線のリンクマンとして幅広い役割をこなす。チャンピオンズリーグで、アトレティコを躍進に導く活躍は記憶に新しい。
ブラジルと並ぶ“タレント輸出国”であるアルゼンチン代表は所属クラブで結果を残しているストライカーも数多いが、アルバレスほどリンクマンの仕事を質量ともにハイレベルでこなして、なおかつフィニッシュに絡める選手は皆無に等しい。特にメッシという恒星を最大限に輝かせる意味でも、最高の衛星であるアルバレスは欠かせない。消耗度の激しい役割でありながら、基本フルタイムやり切れる体力も長所だ。
デクラン・ライスがいてこそ真のイングランド代表
○ヨシュア・キミッヒ(ドイツ/バイエルン・ミュンヘン)
ドイツ代表の戦術そのものを体現する存在だ。ボランチと右サイドバックをハイレベルにこなすマルチロールとして知られるが、バイエルンの同僚でもあるレオン・ゴレツカら、中盤にハイレベルなタレントが揃うドイツ代表では右サイドバックが、ほぼ固定的なポジションとなっている。
正確なボールコントロールと長短のパスもさることながら、一番の持ち味は研ぎ澄まされたバランスワークだ。攻撃に厚みをかけながら、いわゆる「オーバーロード」(局地的な数的優位)が持続して、バランスを崩さないようにポジションを調整する。ドリブル、パスのひとつひとつにしても意図を持っており、個人でテンポの強弱をコントロールできる戦術マイスターだ。
代表ではキャプテンとしてピッチ内外を束ねる役割も大きい。カタール大会のグループリーグ敗退など、国際大会で苦戦が続くドイツだが、安定と変化の両方をもたらせる存在は不可欠だ。ジャマル・ムシアラ(バイエルン)やカイ・ハバーツ(アーセナル)、ニック・ヴォルテマーデ(ニューカッスル)といった攻撃的なタレントが存分に能力を発揮できるかはキミッヒのハンドリングにかかっている。
○デクラン・ライス(イングランド/アーセナル)
かつて「完璧なMF」と呼ばれたブライアン・ロブソンにも匹敵する超万能型のタレントで、中盤でボールを奪い取り、そのまま効果的な攻撃に繋げるパス能力、機を見て縦に運ぶキャリー能力にも優れている。中盤の底でバランスをとりながら長短のパスを振り分ける「6番」として広まった向きもあるが、システムや状況に応じて「8番」のプレーも難なくやってのける。
アーセナルではスペイン代表のマルティン・スビメンディと良質な関係を築くが、イングランド代表では中盤をオーガナイズしながら、攻撃のスイッチ役を担う。スター揃いの攻撃陣を陰で支える“勝利の土台”だ。3月の日本戦はエースのハリー・ケインとともに欠場したが、このライスが中盤に組み込まれてこそ、真のイングランド代表と言える。
○クリスチャン・プリシッチ(アメリカ/ミラン)
開催国アメリカの象徴的存在だ。切れ味鋭いドリブル、局面を打開する1対1の強さ、ゴールに直結するプレーが最大の武器であり、絶大な期待を背負う。「アメリカ建国の地」として知られるペンシルベニア州の出身であるプリシッチは、20歳からキャプテンマークを巻き、テクニカルなプレーもさることながら、ことあるごとに叱咤激励したり、若手を励ます。その存在感と振る舞いから「キャプテン・アメリカ」の異名を取る。
母国開催という特別な舞台。おそらくプレッシャーは大きいが、それを力に変えられる選手でもある。アメリカが過去最高成績である日韓大会のベスト8を超える躍進を狙う上で、プリシッチ自身の活躍は絶対条件。それに加えて、仲間たちをどれだけ鼓舞して、チームとしてのハイパフォーマンスが出せるか。大会の主役候補の一人だ。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。



















