ゴール確信「もらった」…叩きつけられた地面 鹿島逸材から受けた衝撃「忘れられない」

帝京長岡の児山雅稀「きょうは本当に忘れられない試合になりました」
4月4日に開幕をした高円宮杯プレミアリーグと全国7地域のプリンスリーグ。ここではリーグ戦で躍動を見せた選手を紹介していきたい。今回はプレミアEAST第2節・帝京長岡vs鹿島アントラーズユースから。2-4の敗戦を喫した帝京長岡だが、2年生エースストライカー・児山雅稀は90分間を通して大きく成長をした。
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屈強なフィジカルを生かしたポストプレー、前への推進力を武器に1年生のときからエースとして最前線に君臨している児山は、鹿島ユースの屈強なDF陣を相手に得意の背負いながらボールを収めるプレーと、ワンタッチで落として周りのアタッカー陣の飛び出しを引き出すプレーで起点となった。
だが、徐々に相手の攻撃を前に後手に回るようになると、落ちてボールを受けて落とすまではできるが、そこから先はゴールに迫ることができなかった。だが、児山の心はむしろ燃え上がっていた。
「球際の激しさはこれまでの相手と全然違って、強いし、速いし、うまい。ただ、それを認めてしまうだけでは意味がないし、飲まれてしまう。絶対に自分は飲まれないようにと言い聞かせていました」
チャンスは必ず来る。そう信じていた前半アディショナルタイム。1-2のリードを許している状態でついにチャンスがきた。GK仲七璃のロングキックをセンターライン付近で相手を背負いながら胸でフォローに来たMF和食陽向に落とすと、そのままターンをして前線のスペースへ駆け上がった。
そこに和食からスルーパスが届くと、迷わず右足一閃。ライナーのシュートはわずか左外へ外れて行ったが、「この瞬間、『絶対に行ける』と手応えをつかみました」と、自分のリズムを掴み取ることができた。
後半、児山は前半以上に最前線でパワーとスキルを発揮した。チームは立ち上がり6分間で2失点を喫して点差が開いたが、目はまっすぐにゴールに向けられていた。後半16分、ドリブル突破からPKを誘発。これを自ら豪快に蹴り込んで1点を返すと、同28分にはポストプレーで決定期を演出。
同38分にはセンターライン付近でボールを受けると、鋭いターンから一気に2人を打ち抜くと、カバーにきた元砂晏翔仁ウデンバを鋭い切り返しで交わして一気にゴール前へ。ラストパスは4人目のDFにブロックされたが、「ポストプレーばかりではこじ開けられないと思ってドリブルを仕掛けたらうまく行った。もっと仕掛けてもいいと感じました」とここでも大きな手応えを掴んだ。
そして後半40分、再度のチャレンジが大きな経験を児山にもたらした。2分前と同じようにセンターライン付近で鋭い出足からのターンでDFを一枚交わすと、そのままドリブルを開始。そしてカバーに来たもう1枚のDFを交わすと、完全に視界は開けた。
GKとの1対1。児山は左足から得意の右足へと持ち替えてからシュートを打とうとした瞬間、左からスッと足が伸びてきた。ウデンバだった。
「(ウデンバは)見えてはいたんですけど、『あ、まだ遠いな』と思って、確実に決められるような体勢に持っていきました。『ここだ!』と思ってシュートモーションに入ったら、一気に足が伸びてきました。本当に悔しかった」
強烈なスライディングでボールを突かれると、そのままバランスを崩して空を見上げてからグラウンドに叩きつけられた。ゴールを確信した瞬間に伸びてきたウデンバの足。中学時代にフレスカ神戸ジュニアユースで1学年上の先輩だったウデンバに完全にシャットアウトされた。
「完全に『もらった!』と思ったらいきなり……。1年前の流経カップで対戦した以来だったのですが、ものすごく成長しているというか、予想外のプレーをしてくる。対応できなかった自分が本当に悔しいです」
このシーン、左足で打つタイミングもあり、そこで振り抜いていたらウデンバは届かなかった。さらに持ち替えてから切り返してスライディングを交わすという選択肢もあった。いずれもハイレベルな選択ではあるが、プロを目指す児山にとってはしっかりと反省をしないといけないシーンであった。
「一瞬ですが、相手を見て判断を変える、相手の特徴を考えて判断を変える。それができるようにならないといけないと痛感しました」
ただ、前述した通り、間違いなく児山は90分間を通して大きく成長した。ポストプレーに頼るのではなく、飲まれないという強い意志を持って自ら運んでいくチャレンジをしたからこそ、この課題に気づくことができた。
「きょうは本当に忘れられない試合になりました」
成功体験も打ちのめされた経験も全て血肉に変えて、ストライカーとして一皮剥けた児山はこれからも力強く前進をし続ける。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』、新刊は『ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常』(ともに徳間書店)。講演家としても全国を回っている。





















