日本だけじゃない…W杯優勝のダークホース4選 最注目は“北欧の雄”「一気に上位に躍進」

ワールドカップで活躍が期待される選手たち【写真:ロイター】
ワールドカップで活躍が期待される選手たち【写真:ロイター】

ノルウェーは列強に見劣りしない攻撃陣を揃える

 いよいよ2か月後に迫った北中米W杯。日本代表の森保一監督は優勝を目標に掲げるが「ウィリアムヒル」など大手ブックメーカーの優勝オッズは100倍前後となっている。つまり確率からすると1%になるが、夢物語でもなくなってきていることは確かだ。

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大会全体を見ると、スペインを筆頭にイングランド、フランス、ブラジル、アルゼンチンの6か国が一桁で、そこにポルトガルやドイツが続く構図になっている。そうした抽選会でポット1だった優勝候補の他に、大躍進が期待される国はどこなのか。ロシアW杯の準優勝国で、前回3位のクロアチアとカタール大会でベスト4に輝いたモロッコの2か国を除く形で、優勝のダークホースをピックアップしたい。

 最も注目されるのは“北欧の雄”ノルウェーだろう。日本が初出場した1998年のフランス大会以来、実に7大会ぶりとなる世界の舞台だが、ワールドクラスのアーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)を筆頭に、アレクサンデル・セルロート(アトレティコ・マドリード)、アントニオ・ヌサ(ライプツィヒ)など列強にも見劣りしない攻撃陣のタレント力を誇る。中盤を仕切るマルティン・ウーデゴール(アーセナル)はプレミアリーグの首位を走るクラブの頼れるキャプテンで、卓越した技術と戦術眼を持つだけでなく、個性的な選手たちをまとめる存在だ。

 就任6年目になるストーレ・ソルバッケン監督はフランス大会の代表メンバーであり、監督としては母国の名門コペンハーゲンを2010-11シーズンにチャンピオンズリーグベスト16に導いた名将だ。組織的なベースを植え付けながら、局面で選手の個性を発揮できるようにマネージメントしている。欧州予選ではイタリアを上回り、本大会へのストレートインを決めただけに、フランスやアフリカの強国セネガルと対戦するI組で勢いに乗れば、一気に上位に躍進してもおかしくはない。もちろんエースのハーランドが、長いシーズンの影響を受けずに、前線に君臨し続けることが大前提となる。

 そのセネガルも同じアフリカ勢のモロッコに負けず劣らずのタレント力があり、欧州育ちの選手を軸に、チームとして戦えるベースが備わっている。年明けに行われたAFCONことアフリカ・ネーションズカップは開催国だったモロッコとの延長戦を制して、一度は優勝トロフィーを手にしたが、試合中の判定をめぐる規律違反を理由にタイトルを剥奪されてしまった。もちろんセネガル側に問題があっての処分ではあるが、半年後の大舞台にかける思いは強まったと言える。

 前線は中央のニコラス・ジャクソン(バイエルン)を両翼から気鋭のイリマン・エンドイエ(エバートン)と百戦錬磨のサディオ・マネ(アル・ナスル)が並び、個性がうまく噛み合っている。中盤のイドリッサ・ゲイェ(エバートン)はチームの引き締め役であり、パペ・ティアウ監督の意向をピッチで伝えるオーガナイザーだ。パペ・ゲイェ(ビジャレアル)、ラミヌ・カマラ(モナコ)といった躍動的なタレントが持ち味を発揮できるのも、経験豊富なキャプテンの働きによるところが大きいだろう。

 セネガルは前回のカタール大会でベスト16に進出したが、総合的なタレント力は3年半前を凌駕する。ただし、上記の通り優勝候補のフランス、勢いのあるノルウェーと同じ組になったのはある種、不運でもあるかもしれない。ただ、48か国に拡大された今回は12グループによって争われるため、3位の成績上位でもラウンド32に勝ち進める。もちろんポテンシャルとしては十分に1、2位での突破も可能だ。初戦の相手となるフランスには2002年の日韓W杯の開幕戦で奇跡的な勝利を挙げている。当時のメンバーだったティアウ監督も本気で再現を狙ってくるだろう。

エクアドルは戦術理解に優れる

 南米勢では優勝候補のブラジルと前回王者アルゼンチンの他に、コロンビアやウルグアイといった伝統的な強豪国も出場するが、筆者はエクアドルを推したい。南米予選2位の実力もさることながら、攻撃と守備のバランスが取れた好チームだ。前回のカタールではオランダと同組で、セネガルとの激しい2位争いに敗れる形で、惜しくもグループリーグ突破を逃した。しかし、若手だった選手たちが大きく成長し、モイセス・カイセド(チェルシー)を筆頭に、個人のステータスを高めた選手は多い。

 エクアドルの特長はうまいだけでなく、戦術理解に優れる選手が揃っていることだ。三笘薫(ブライトン)の元同僚で、現在はセリエAで活躍する左サイドバックのベルビス・エストゥピニャン(ミラン)が象徴的だ。絶対的なセンターバックであるウィリアン・パチョ(パリ・サンジェルマン)、CBとSBもこなすピエロ・インカピエ(アーセナル)も人に強いだけでなく、攻守に確かなインテリジェンスを感じさせる。彼らを前線から引っ張るのは“千両役者”であるストライカーのエネル・バレンシア(パチューカ)だ。エクアドルはドイツと同じ組みから上位を目指していくことになるが、タレント力の高いコートジボワールとの初戦をものにできるかどうかが鍵になりそうだ。

 もう1つ特注国として挙げたいのがアメリカだ。開催国枠で抽選会のポット1に含まれたが、現在のFIFAランキングは16位であり、実績的にはポット2の国として対象に入れたい。昨年9月に日本が敗れた相手としても記憶されるが、第一に地の利が大きい。ライバルのメキシコもカナダとともに開催国の1つだが、準々決勝から先は全てアメリカが会場になる。かつては“サッカー不毛の地”とも呼ばれたが、アメリカサッカー連盟が育成から地道に普及・強化をつとめてきての今がある。

 アメリカの象徴的な選手がクリスチャン・プリシッチ(ミラン)で、頼れるキャプテンにして大事なところで決定的な仕事ができるエースでもある。そのほか、ティモシー・ウェア(マルセイユ)、リカルド・ペピ(PSV)といった魅力的なアタッカーが揃うが、このチームの基盤は中盤から後ろのバランスワークの良さにある。アルゼンチン出身ながら、欧州での指導経験が豊富なマウリシオ・ポチェッティーノ監督はシチュエーションに応じた立ち位置や動きのメカニズムを選手たちに伝授し、活動期間の限られた代表チームでも、秩序ある守備と多角的な攻撃を実現しているのだ。

 北中米が舞台になる今回は前回のカタールと比べものにならない移動の負担があり、1994年のアメリカ大会がそうであったように、夏場の暑さもパフォーマンスに影響してくるだろう。そうした環境に慣れているだけでなく、スタッフ周りのサポートもしっかりしたアメリカは南米勢パラグアイとの初戦が開幕2日目に行われる。移動もロサンゼルス→シアトル→ロサンゼルスとかなり短い。仮に1位で突破すれば、ラウンド32の会場はサンフランシスコとなり、さらにシアトルでラウンド16を戦うことになるのだ。そこで強豪のベルギーと対戦する可能性もあるが、スペイン、イングランド、フランスといった優勝オッズ一桁のチームとはかなり先まで当たらない。

 プリシッチや中盤の要であるタイラー・アダムス(ボーンマス)、ディフェンスリーダーのクリス・リチャーズ(クリスタル・パレス)と言った代えのきかない選手はいるが、誰が出てもそれなりのパフォーマンスを出せるベースは高い。チームとして成長しながら、消耗の激しい大会を勝ち上がって行けば、面白い存在になりそうだ。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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