久保建英の「レギュラー獲りは非常に難しい」 キャリア最長の負傷期間→即アシストも…現地記者指摘

久保建英は11日のリーグ戦で復帰後即アシストを記録
レアル・ソシエダの久保建英が現地時間4月11日に行われたラ・リーガ第31節アラベス戦で約3か月ぶりに戦列復帰し、アシストを記録してMVPに輝いた。今回はかなりの長期離脱となったが、スペインでのキャリアにおける負傷遍歴はどうなっているのだろうか。
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久保は渡西後、長らく怪我と無縁の選手だった。スペイン初年度のマジョルカ時代(2019-20)は公式戦36試合、ビジャレアルとヘタフェ時代(2020-21)は公式戦37試合に出場するも、一度もけがをしていない。
初の負傷欠場はマジョルカに戻った2021-22シーズンだった。レンタル元のレアル・マドリードとベルナベウで対戦した際、右膝半月板を損傷し、約2か月間、公式戦8試合の戦線離脱を余儀なくされた。
レアル・ソシエダ加入後は、2022-23シーズンに左肩脱臼と大腿四頭筋負傷で計5試合、2023-24シーズンにハムストリングと背中の違和感で1試合欠場している。
一転して昨季は公式戦52試合、約3500分間出場したにもかかわらず、負傷欠場は一度もなく、フィジカル面の強さを誇示したが、今季は再び怪我に苦しめられるシーズンとなった。まず昨年9月のメキシコ戦で左足首を捻挫し、3試合欠場。今年1月のバルセロナ戦で左足ハムストリングを負傷したが、これは就任したばかりのペッレグリーノ・マタラッツォ監督に酷使されたことが原因との見方が強く、最終的にスペインでのキャリア最長の負傷期間となった。
4月11日のアラベス戦、久保にとって約3ヶ月ぶりとなる待望の瞬間が後半9分に訪れた。サポーターの大きな拍手に背中を押され、公式戦14試合ぶりにピッチに立った。
大雨で濡れたスリッピーなピッチの感触を確かめながら、慎重にチームメイトと右サイドで連携していく。そして後半15分、ゴンサロ・ゲデスのクロスを頭で折り返し、オーリ・オスカルソンの逆転弾をお膳立てした。さらにドリブル突破でスタンドを沸かせ、守備では今季のラ・リーガ初のイエローカードをもらうほどのハードワークを見せた。試合後に3度目のMVPを獲得したものの、チームは終了間際の3-3で引き分け、復帰戦を勝利で飾ることはできなかった。

スペインのラジオ局『カデナ・セル』でレアル・ソシエダの番記者を30年以上務め、アラベス戦を実況したマウリシオ・イディアケス氏は試合後、久々の出場となった久保のパフォーマンスに驚きを隠せなかった。
「今日は試合の流れを変える“起爆剤”としての役割を果たした。先週金曜日にマタラッツォ監督は久保の出場を明言し、そのための調整を行っていたとはいえ、長期離脱後の試合、さらに途中出場でペースを掴むのは想像以上に難しかったはずだ」
「明らかに厳しい状況下で投入されたが、すぐに素晴らしいプレーを見せてくれた。ピッチ外に出かかっていたボールに反応し、見事なヘディングでアシストを記録した。正直なところ、あれほどの閃きがあるとは思っていなかった。久保は非常に良い出来で復帰したよ」
シーズンも残り8試合となる中、気になるのは久保の先発復帰の可能性だ。マタラッツォ監督は久保が離脱した1月下旬からの公式戦13試合で、ゲデスを5回、パブロ・マリンを4回、アンデル・バレネチェアを3回、セルヒオ・ゴメスを1回、右サイドの攻撃的なポジションで先発起用してきた。そのうち、パブロ・マリンとセルヒオ・ゴメスはバレネチェア負傷時のオプションだったため、久保の実質的なポジション争いのライバルは、両サイドでプレーできるゲデスとバレネチェアとなる。
今季加入したゲデスはここまで、公式戦37試合9得点7アシストという好成績を残し、チームの攻撃に欠かせない不動のレギュラーとなっている。そのパフォーマンスが評価され、先月、約4年ぶりに代表復帰を果たした。
バレネチェアの公式戦成績は28試合3得点4アシスト。フィジカル面に問題を抱えるまで、ラ・リーガ上位に名を連ねるほどの突破力を発揮し、チームトップの選手と評価されていた。最近は怪我の影響もあって安定したパフォーマンスを発揮しているとは言えないが、マタラッツォ監督の信頼を得てここ6試合連続で先発し、先月、代表デビューを飾っていた。
今季2度の怪我に苦しめられてきた久保はここまで、公式戦21試合に出場し、2得点4アシストを記録。出場時間がゲデスより800分、バレネチェアより400分ほど短いことを考えると、決して悪い成績ではないだろう。
イディアケス記者はこの3人の現状を踏まえた上で、1週間後に控えた国王杯決勝アトレティコ・マドリード戦で、久保が先発復帰するのは時期尚早だと考えている。
「ゲデスが絶好調である以上、久保のスタメン入りは非常に難しいだろう。バレネチェアが今日ハーフタイムで交代したのは何らかの問題があったからかもしれないが、それでも彼がスタメンのもうひと枠を獲得する可能性が非常に高い。復帰したばかりの久保はまだ試合勘が足りておらず、先発起用できるほどの状態ではないと思う」
さらに、シーズン終了まで1か月しかないため、久保がラ・リーガの残り7試合で負傷前のような不動の地位を築くのも難しいと分析している。
「今のチームでレギュラー獲りは非常に難しいと言わざるを得ない。現状、右サイドを任されているのは主にゲデスで、左サイドはバレネチェアだ。特にゲデスの存在感は圧倒的で、オヤルサバルと並び、ラ・レアルで最高の選手だよ」
しかし、レアル・ソシエダがこれからタフな1か月を過ごすことになるため、完全なレギュラーではないものの、先発出場の可能性は十分にあると考えている。
「ラ・リーガの残り7試合は厳しいものばかりで、チームは国王杯決勝でかなり疲弊するはずだ。そのため久保はこの4日後のヘタフェ戦でスタメン復帰する可能性はあると思う」
「今日、ラ・レアルはとても重要な勝ち点を落としてしまった。勝利していれば、チャンピオンズリーグ出場圏内(※ラ・リーガが来季、出場権を再び5枠獲得した場合)のベティスに大きく迫れたので残念だ。それでも、まだ5位に入る可能性は十分に残されている。過酷な戦いが予想されるラ・リーガ残り7試合のうち、久保は少なくとも2、3試合は先発出場できると私は確信している」
イディアケス記者の見解を踏まえると、久保がレギュラーに返り咲くための条件として、ゲデスが左サイドでプレーすることが必須となる。そして右サイドでバレネチェアとのポジション争いに打ち勝たなければならない。
現地メディアの中には、ゲデスとバレネチェアは本来、左サイドの選手であるため、右サイドで負傷前の久保のような確固たる地位を築いていないとの意見がある。さらにバレネチェアが2月下旬の怪我明け後、パフォーマンスが不安定であることを考慮すると、久保にも十分にチャンスがあるのではないかと感じている。いずれにしても、マタラッツォ監督がどのような決断を下すかが鍵となる。
シーズン終了まであと1か月。2か月後に迫ったワールドカップに心身ともに万全の状態で臨めるように、国王杯優勝のトロフィーを掲げ、残りのシーズンでレギュラーに返り咲く姿を見られることを期待したい。
(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。





















