プロから打診も、あえて選んだ大学進学 争奪戦必至…追い越したいJ名門DFの先輩「圧倒できる選手に」

早稲田大3年生CB尾崎凱琉
今月、いよいよ全国各地で開幕した大学サッカーリーグ戦。プロ内定選手、これからプロを目指す選手、そして大学という新たなステージに移行した選手たちが全国各地で激闘を繰り広げる。
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ここでは大学サッカーのステージで躍動する選手たちをピックアップしていく。今回は関東大学サッカーリーグ1部から。開幕戦で前年度王者の筑波大学を2-1で下したのは、昨年は2部で戦った早稲田大だった。4年ぶりに1部に戻ってきた名門の最終ラインに君臨する3年生CB尾崎凱琉は、見る度にCBとしてのスケールを増してきている。
186cmのサイズと高い運動能力を兼ね揃えたCBは、大学に入って鍛え上げたフィジカルと驚異的なスピードを生かした対人と守備範囲の広さを誇り、大阪桐蔭高時代に磨いた足元の技術とフィードを武器に、試合を重ねるごとにCBとしての引き出しが増えて行き、今や佇まいも雰囲気が出るようになった。
「中学生からCBを始めて、最初はシンプルに相手のFWを止めるのが好きだったのですが、徐々に駆け引きを覚えていくうちに、よりその魅力にハマって行きました。高校時代にはボランチやFWもチャレンジしたのですが、やっぱりCBだと思って(永野悦次郎)監督に『CBとしてやって行きたいです』と伝えて、ここが本職だとより意思は固まりました」
CBに魅了された尾崎は、チャレンジ&エラーを繰り返して力強く成長をして行った。高校1年生の時にU-16日本代表に選出されると、毎年のように年代別代表に選出された。スケールの大きなCBのもとには早い段階でJ1とJ2のクラブから練習参加の打診は来ていたが、尾崎は高校3年生の4月の段階で大学進学を決めた。
元々は高卒プロになるために大阪桐蔭高に入ってきた。愛知県豊橋市出身で、小学生の時から自分の将来のビジョンができていた。
「地元の豊橋デューミランジュニアユースに進んで、大阪桐蔭高に進んでプロになる。もともと高校は県外に出たいと思っていたので、プロになる道から逆算してこの道しかないと思っていました」
『FCデューミラン〜大阪桐蔭〜プロ』のルートはDF三浦弦太(ガンバ大阪)、白井康介(ファジアーノ岡山)、久保田和音(レイラック滋賀)と錚々たるメンバーが歩んできた道だ。彼も「三浦選手はずっと憧れの選手ですけど、追いつくではなく、追い越したい存在です」と野望を抱きながら、偉大な先輩たちと同じようなルートを着実に歩んで行った。しかし、高卒プロのチャンスがあったにも関わらず、尾崎は大学を選択した。
「最初は五分五分だったのですが、親や周りに相談していくうちに、高校の3年間でサッカーだけではなく人間性の部分でも大きく成長できましたし、大学に進んでよりサッカーと人間面の両方をしっかりと磨いてから即戦力としてプロに行った方が、いいのではないかと思うようになりました。CBで生きていくと決めた時でもあったので、CBは経験が大事だからこそ、大学でしっかりと試合経験を積んで行った方がいいと思ったことも決定打でした」
大学選びも妥協しなかった。小さい頃から勉強は得意で、大阪桐蔭でも5つのスポーツクラスの中で2番目に学力が高いクラスで学んでいた。
「大学でもしっかりと学びたかったし、早稲田のように他の賢い学生たちと一緒に勉強をすることで刺激を受けられるし、学力面でも成長できると思いました」と早稲田大進学を決めた。
大学1年目は怪我に苦しんだが、2年生になると不動のレギュラーとして早稲田の最終ラインを支えた。昨年はデンソーカップチャレンジ静岡大会にU-20全日本大学選抜として出場すると、U-22日本代表として7月のウズベキスタン遠征、9月のAFC U23アジア杯予選(ミャンマー)に参加。チームでも4年ぶりの1部昇格に貢献した。
だが、12月に左股関節を負傷し、予定されていたJ1の2クラブのキャンプ、1クラブの練習参加をすることはできず、デンチャレにも出場できなかった。
「プロの練習に参加をして現在地を知りたかったし、デンチャレは地元・愛知開催だったので、本当に出たかったし、落ち込みました。でも、悔しい思い力に変えて、兵藤慎剛監督ともしっかりと話して、開幕戦に照準を合わせてやってきたので、今日筑波大に勝てたことは本当に嬉しかったですし、ここからだと思っています」
ここから尾崎の争奪戦はより激しくなっていくだろう。大学サッカーを選んで、試合経験と大学生活、ア式蹴球部での活動を通じて、サッカー選手としても人間としても成長できている手応えがあるからこそ、尾崎の視界は開けている。
「武器であるスピードをさらに磨いて、競り合い、プレス、カバーリング、ビルドアップ、キックなど全てのスピードを磨いて、どの面でも圧倒できる選手になりたいと思っています」
万能型CBとして、高速CBとして。明確な武器を明確な意図で磨き続ける彼のスケールはこれからさらに増していくだろう。『デューミラン〜大阪桐蔭〜早稲田大〜プロ〜海外』という未来像を描いて、尾崎は自分の信じた道を突き進む。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』、新刊は『ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常』(ともに徳間書店)。講演家としても全国を回っている。





















