敗戦後に号泣「自分が情けなくて」 J下部組織からオファーも…地元を飛び出して「もっと磨ける」

東福岡高の假屋明希【写真:安藤隆人】
東福岡高の假屋明希【写真:安藤隆人】

名門・東福岡の1年生・假屋明希「根っからの負けず嫌いなんです」

 4月の第一週から始まる高円宮杯プレミアリーグ、プリンスリーグ。開幕に向けて各チームは着々と準備を進めている。ここでは開幕に向けて気持ちを昂らせている選手たちを紹介していきたい。

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 今回は船橋招待U-18サッカー大会に出場した東福岡(福岡)の新1年生MF假屋明希について。宮崎のアリーバFCジュニアユースからやってきたルーキーは、前橋育英(群馬)との試合後、人目を憚らず大粒の涙を流した。その理由とは―。

 試合後に悔しくて泣いている選手は良くいる。だが、今回はそれがまだ入学前の新1年生ということに正直かなり驚いた。

 船橋招待の1日目、船橋市法典公園グラスポで行われた東福岡と前橋育英の一戦。この試合でボランチとしてスタメン出場をした假屋は、相手の素早いボール回しと個人技術、3人目の動きに翻弄され、中盤の底で少し混乱しているように見えた。

 それでも1対1では鋭い出足と、相手のターンに食らいついていく守備を見せ、新1年生ながら起用されている理由が十分にわかるプレーを披露。試合は0-4という結果に終わったが、そこまで悲観するようなプレー内容ではなかった。

 しかし、假屋は試合後に号泣をした。もともと話を聞こうと思っていたが、その姿を見てより假屋に興味が湧いた。涙が少し落ち着いてきた頃に話をすると、真っ先に「本当に悔しいです」という言葉を絞り出した。

「相手に自分のプレーが通用しなかったり、思い通りにいかなかったりして、本当に自分が情けなくて…」

 この言動で假屋の頭の中には「1年生だから」、「まだ高校サッカーが始まったばかりだから」という言葉が一切ないことに気づいた。

 假屋にとってこの船橋招待が高校初の大会だったが、すでに身も心も東福岡の一員であり、レギュラーの座を掴み取るための競争に全力で臨んでいる。ピッチに立つ以上、言い訳無用で戦うという強いハングリー精神がにじみ出ていた。

「僕はもうこのユニフォームを着ている時点で中学生ではないので。サッカーは年齢とか一切関係ないし、『相手を何がなんでも倒すんだ』という気持ちは年齢関係なく持ち続けないといけないと思っています。今日も目の前の相手に絶対に負けてはいけないと思ってやっていたのに、すべてで負けてしまっていたので悔しいんです」

 何度も出る悔しいという言葉。具体的にどのような点を感じたのかと聞くと、少し落ち着いた口調でこう答えた。

「中学ではある程度ボールを持って散らせたり、相手からボールを刈り取ったり、走ることができていたのですが、高校ではやっぱり思い通りいかなくて、スピードとか考える速さとか、フィジカルとか、追いつかなくて何もできなかった。前橋育英に限らず、技術はどのチームも高くて、ファーストタッチもうまいし、周りが見えているし、どのように相手が来ているのか、どうプレス回避をするのかとかが分かっていて、ポジション取りがうまかった。いろいろ隅々まで上手かったです」

 アリーバFCではボランチとして守備の要だった。予測力と球際の強さを武器に中盤を掃除しながら、正確なパスで攻撃の起点となるプレーで、ナショナルトレセンにも選ばれた。

 高校進学時には大分トリニータU-18などから声がかかり、高校も福岡県、佐賀県、そして地元の日章学園からもオファーが来た。

「ずっと高校サッカーをやりたいと思っていました。日章学園も本当に魅力的だったのですが、東福岡はハードワークが求められて、かつ攻撃力があるチームで、ここなら長所を生かしながら、課題である攻撃力をもっと磨ける、成長できると思って決めました」

 宮崎を飛び出して、すぐに伝統の「赤い彗星」のユニフォームに袖を通すことができた。だが、これで満足は一切していないし、「根っからの負けず嫌いなんです」という性格にさらに火がついた。

「これから1年生という気持ちはさらさらないです。この船橋招待からスタメンを取るつもりでいます。ただ、僕もすぐには成長できないと思うので、日々の練習で頑張っていきたいです」

 假屋にとってこの初陣は一生記憶に残るものになった。いや、假屋の負けず嫌いが記憶に残るものにしたというのが正しい表現だ。この気持ちを持っている1年生はなかなかいない。それだけでもこれから期待できるし、注目せざるを得ない選手だ。

 東福岡に現れた新星・假屋明希。競争と自己研鑽の日々の中でこの気持ちをいつまでも持ち続けてステップアップしていって欲しいと切に願う。

(安藤隆人 / Takahito Ando)



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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。

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