合宿2日目で見えた新オプション「それしかない」 怪我の功名…森保Jの“ホットスポット”

日本代表の“5人のFW陣”の起用法を探る
日本代表はイギリス遠征でスコットランド、イングランドと対戦する。北中米W杯の本大会まで、あと3か月に迫ったところで欧州勢と戦えるメリットは大きいが、気になるのはFWの競争と起用法だ。昨年11月のガーナ戦とボリビア戦では常連の上田綺世(フェイエノールト)、小川航基(NECナイメヘン)、町野修斗(ボルシアMG)に20歳の後藤啓介(シント=トロイデン)が加わった。
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今回は森保一監督も決定力を高く評価する塩貝健人(ヴォルフスブルク)が初招集となり、FWとしてカウントされる選手だけで5人になった。前田大然(セルティック)に関しては「ほとんど今はもうFWをやってないので。FWではないなっていうのは僕自身も感じている」と語るように、もし前線での起用があるとしても、イレギュラーな状況と言っていいだろう。国内最後の強化試合となる5月31日のアイスランド戦を前に、最終メンバーより少し多めに招集される可能性もある。アジア最終予選を終えて、前線のオプションを増やそうとしていることは間違いないが、本大会のメンバー選考では枠が削られる可能性もあるポジションだ。
現在のエースストライカーと見られる上田はオランダリーグで22得点を記録しており、代表でも決勝ゴールとなったブラジル戦以来の得点が期待される。リーグ戦で10試合(出場は8試合)得点が無かった時期は怪我と向き合いながらのプレーだったことを明かしたが、現在のコンディションは良好だという。ただ、スコットランド戦から移動を挟む中2日でイングランド戦という日程もあり、どちらかの試合でスタメン、もう1試合は終盤の勝負どころで投入と言ったプランになるのではないか。
これまでの起用法から考えれば、上田がサブの試合では小川がスタメンである可能性が高い。所属クラブで、ここ数試合は途中出場やベンチ入りも出番が無い試合が多くなっているが、それでも招集されているのは森保監督の信頼の表れだろう。「いろんなタイプの選手がFWで今回入っていて、人それぞれ特徴がある。でも僕の特徴っていうのは、他にないものを持ってると思うので、自分の色を出しつつ、しっかりと結果を出してアピールしたい」と小川。後半を除きメディアに公開された2日目の練習では1トップで2シャドーで佐野航大(NECナイメヘン)、塩貝と組み、途中から三笘薫(ブライトン)とのコンビもテストされていた。
攻守のスローインとビルドアップの練習において、小川のチームは3-4-2-1、相手は”仮想スコットランド”と見られる4-3-3で、途中からシステムを入れ替える形式だったが、スコットランド戦でスタメン起用される場合はこれまで通り1トップで、2シャドーに佐野や三笘が入るケースと、塩貝のようなFWと組み合わせるケースを時間帯で使い分けることが想定される。小川の特徴というのは森保監督も認識している上で、スコットランド相手でも前からの守備やポストプレーで良い流れに導きながら、ボックス内で勝負強さを発揮できるかどうか。
「W杯と言うのは自分の最大の目標ですし、そのために日本から海外に渡ってきたっていうところがあるので。もう死に物狂いでその切符を掴みに行きたい」という言葉の通り、小川自身も正念場と捉えているようだ。このシリーズで結果を出せば代表での評価だけでなく、終盤のリーグ戦にも良い流れを生むことができるはず。同僚の佐野航や元同僚の塩貝と組むことになれば、連携面でのアドバンテージもあり、よりチャンスは広がるだろう。
ベルギーリーグで10得点5アシストと好調の後藤は本大会のメンバー選考を前に、戦力として定着する絶好のチャンスが来ている。ジュビロ磐田の先輩でもある伊藤洋輝がカタールW杯の予選後に初招集されて、そこから本大会のメンバー入りを果たしたことから「自分にとってラスト1年で。前回大会は洋輝くんが同じような形でポンポンと行って。自分もそれしかチャンスはないと思っていた」と語る。
11月シリーズでは短い時間ながら2試合に起用されて、ボリビア戦ではシャドーも経験した。形としては3-4-2-1でも、上田を前線に、後藤と町野が2シャドーで並ぶ“3タワー”は本大会での強力なオプションになる可能性もある。その後藤は上記の練習で、まずは4-3-3のセンターフォワード、途中から3-4-2-1の1トップを上田とシェアする形を取っていた。
一方で町野は右のウイングとシャドーを担当しており、このシリーズでは南野拓実や久保建英を怪我で欠くなど、手薄になっているシャドーで起用される可能性が高い。「僕は2列目寄りの選手というよりかは、ボックス内に入って存在感が出るような選手だと思っているので。そこで違いを出せればと思います」と町野。シャドーとして守備などのタスクはこなすが、本質的にはあくまでストライカーとしての仕事をするというのがイメージにあるようだ。
前回のカタール大会では中山雄太(現・FC町田ゼルビア)の負傷辞退により、サプライズで追加招集となったが、出番なく終わってしまった。その半年後に欧州移籍を決意した町野は「それが僕の前回大会の課題で、ポッと出の勢いのある若手の一人だったので。今ヨーロッパで戦いながら代表活動も参加しつつ、結果を残せるか残せないかというところであったり、パフォーマンスを見られていると思う」と成長への自信を語るが、まさにそこを証明していく2試合になる。
スコットランド戦は小川が1トップの有力候補で、そこに後藤、町野、塩貝がシャドーも含めて、どう絡んでいくかということになる。イングランド戦でのスタメン起用が予想される上田が小川と同時起用されることは考えにくいが、昨年9月のメキシコ戦では終盤に上田と町野の2トップが実現したように、新たなオプションとしてテストされてもおかしくない。それを踏まえても、26人が想定されるメンバー構成でFW5人は多いが、シャドーの一人をFWタイプにするプランがより強まれば、今回の5人がそのまま本大会に行く可能性も出てくる。
ただし、FWというのは結果でどうにでも評価が変わるポジション。今回選ばれていないメンバーからの滑り込みも当然ありうる中で、欧州の強豪を相手に誰が結果を残して、本番前の評価や序列を挙げられるかは楽しみな注目点だ。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。



















