日立台に通った少年が叶えた夢 大学”注目株”が貫いた柏への愛「もう夢じゃなくなった」

柏内定を勝ち取った古谷柊介「レイソルは僕にとって大切なクラブ」
柏レイソルが3月6日、東京国際大学のMF古谷柊介(新4年)が2027年から加入および、2026年JFA・Jリーグ特別指定選手に承認されたことを発表した。
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「僕にとってレイソルは『大きな夢をもらったチーム』。だからこそ、この黄色のユニフォームを着ることができて本当に嬉しいです」
古谷は千葉県出身で柏レイソルは地元のクラブ。小さい頃から父と三協フロンテア柏スタジアム(以下・日立台)や、練習場に通うことが楽しみで仕方がなかった。
「小さい頃からお父さんに日立台に連れて行ってもらって、本当にサポーターの熱量や選手の技術が凄くて、ファンになって、よく公開練習の時にサインをもらいに練習場に通っていました。サッカーを始めてからは頻繁に日立台の柏熱地帯(ホームゴール裏)に行って、飛び跳ねながらチャントを歌っていました」
だが、サポーターとして日に日に増していくレイソル愛とは裏腹に、サッカー選手としては厳しい現実を何度も突きつけられた。
古谷は柏の選手になるために、中学時代に柏レイソルA.A.TOR’82でプレーしたが、柏U-18には昇格できず。それでも、柏レイソルと相互支援契約(指導者の派遣、柏U-18に入る選手の進学先、サッカー部と柏U-18の相互練習参加・転籍などが可能)をしている日体大柏高校に進学し、夢を追いかけたが、1学年下のDF関富貫太(横浜F・マリノス)のようなアカデミー転入は果たせず。さらに1学年上のMF土屋巧(2022年に日体大柏から柏に加入)のように高卒でのプロ入りも果たせなかった。
古谷にとって柏は「物理的には近いが、現実的にはとてつもなく遠い場所」であり続けた。だが、同時に「常に自分の心に火をつける存在」でもあったという。
「もちろん黄色いユニフォームを着てプレーできない悔しさはずっとありました。でも、それ以上にサッカーで伸び悩んでいる時にこそ、僕は日立台に行くんです。中学、高校、大学と柏熱地帯に行って、飛び跳ねてチャントを歌いながら、『やっぱり俺はここに立ちたい』と思うことで、『こんなところで悩んでいても仕方がない。やるしかない』と奮い立ちました。そのおかげで今があると思っています」
弛まぬ努力の結果、日体大柏では高校3年時に10番として選手権初出場でベスト8の立役者となり、進学先の東京国際大でも1年から出番を掴んで、昨年からU-22日本代表に抜擢。1月のU-23アジア杯では3試合連続ゴールをマークして優勝に貢献した。
大学サッカーでチャンスを掴み、複数のJクラブが獲得に動き出し、柏の練習にも参加。入りの現実味が増していく中で、心の中にある”レイソル愛”がより強まっていった。
実は練習参加をしていた昨年も日立台に足を運び、柏熱地帯で試合を見つめた。J1リーグ戦だけではなく、天皇杯の東洋大学戦(0-2の敗戦)も現地で観戦。マイクラブとしての強い愛があったからこそ、柏から正式オファーが届いた時、決断に迷いはなかった。
「レイソルは僕にとって大切なクラブであり、感謝の気持ちしかないクラブです。だからこそ、絶対にあの黄色いユニフォームを着て日立台に立ちたい気持ちは、止められないほど日に日に大きくなっていきました。もう夢じゃなくなったからこそ、これからは自分の強みをJ1という大舞台で発揮するために自分の実力をひたすら磨いていくのみです。
それが出来たら、日立台のピッチに立つことができるし、スタメン獲得、タイトルへの貢献ができるし、その先にある『柏から世界へ』が実現できる。今すぐにでもあのチャントを選手として間近で聞きたいからこそ、ここからはさらに自覚と覚悟を持ってサッカーに打ち込んでいきたいです」
『柏の戦士たち』。これまではスタンドからこのフレーズを口にしていたが、今度からはその戦士の仲間入りをし、スタンドからこのフレーズを浴びる立場になる。その未来に心を震わせるだけでなく、自分を律しながら、自覚と決意を持ち、憧れであり、感謝の場所でもある日立台のピッチに立つために。古谷は大きな一歩を力強く踏み出した。
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。



















