三浦知良、59歳初出場「嬉しかった」 震災から15年…今季初勝利「みなで喜び合えたら」

福島の三浦知良「僕たちは全力でプレーすることしかできないけれど」
J3福島ユナイテッドFCのFW三浦知良(カズ)が、59歳初のリーグ戦出場を果たした。カズは8日、とうほう・みんなのスタジアムで行われたJ2・J3百年構想リーグ第5節のAC長野パルセイロ戦で、後半アディショナルタイムに交代出場。Jリーグ公式戦の最年長出場記録を59歳10日に更新した。チームはホーム開幕戦で4-2と逆転勝ち、今季初勝利で最下位から脱出した。
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背番号11がピッチに飛び出した瞬間、スタンドはこの日一番の大歓声に包まれた。「もう1点取ってほしい」という寺田周平監督の指示を受けて最前線に立つと、いきなり守備で魅せた。相手ボールにスライディングを仕掛け、パスミスを誘発。ホーム開幕戦最多5232人のファンを喜ばせた。
リーグ開幕のヴァンフォーレ甲府戦に「スターター」としてスタメン出場した後、体調を崩して戦列を離れた。前節のジュビロ磐田戦は3試合ぶりにメンバー入りしたが、出番はなし。「試合に出られるように努力していきたい」と話していた。
2試合連続でメンバー入りしたこの日、ピッチに立ったのはアディショナルタイムの1分15秒だけ。ボールに触れることもなかったが「少しだけでもピッチに立つことができて、嬉しかった」と振り返った。福島移籍後初の勝利に「その瞬間を味わうことができた」と感慨深げに言った。
開幕からJ2勢とのアウェー4連戦。「格上」相手にチームは苦しんだ。甲府、いわきFC、RB大宮アルディージャと13失点で3連敗。磐田戦は守備が踏ん張ったものの0-0からPK戦で敗れていた。降雪の影響などを考慮して5試合目で初のホーム戦。チームが標榜する「攻撃サッカー」を爆発させての快勝に「自分たちらしいサッカーで勝てたことが、チームの自信につながる」と話した。
チームにとって、カズにとって、特別な試合だった。2011年3月11日の東日本大震災から15年、試合前には犠牲者への黙とうが捧げられた。4日には当時からクラブに携わる鈴木勇人社長に存続の危機を乗り越えた歴史を聞いた。福島・双葉町の原子力災害伝承館にもチームで出向いた。
「災害を乗り越えてきたクラブの歴史を改めて聞いて、みんなが積み重ねてきたものの大切さを知った。僕たちは全力でプレーすることしかできないけれど」とカズ。「みなで喜び合えたら、そういう幸せを感じられる瞬間があれば」と、復興へ携わる決意を口にした。
試合後、カズは選手たちと、サポーターたちと喜びを爆発させた。ホーム戦勝利時恒例の「わらじおどり」。毎年8月の「わらじまつり」で披露されるもので、両手に持った「わらのわ」を交互に上げて踊る。常に「準備」を口にするカズだが、さすがにこれは初体験。「まったく分からなくて、隣の(FW)清水一雅に全部教えてもらって助かりました(笑)」。チームメートと肩を組み、勝利の喜びに酔いしれた。
59歳初出場を「意識していないし、考えたこともない」といつも通りに話したカズ。ただ次の試合(15日、対FC岐阜)に向けて「いい準備をして、メンバーに入れるように」と話し「もっと長い時間出場できるように努力を」と言った。ホームでの今季初勝利が、カズの情熱をさらに燃えがらせる。
(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。





















