初のボール回しで衝撃「天才だなって」 4年後へ焦る想い…22歳が言語化する理由「もう遅い」

岡山の河野孝汰「ワールドカップには絶対に出たい」
2026年、レノファ山口FCのアカデミーで育ったFW河野孝汰がJ1ファジアーノ岡山へ移籍して新たなスタートを切った。高校1年生でJデビューを果たし、翌年の2020年7月に16歳11か月17日で初得点して当時のJ2最年少得点記録を更新。幼い頃から抱いてきた夢は、挫折を経験しても変わることはなかった。ファジレッドのユニフォームを着て初めてJ1の舞台に立ち、夢を追いかけ続ける。(取材・文=寺田弘幸/全3回の3回目)
【PR】ABEMA de DAZN、2/6開幕『明治安田Jリーグ百年構想リーグ』全試合生配信!毎節厳選6試合は無料!
◇ ◇ ◇
サッカー少年は誰もがそうであるように、河野孝汰もジャパンブルーのユニフォームに憧れた。
「一番心に残っているワールドカップは、本田選手と遠藤選手がFKを決めた南アフリカのワールドカップなんですけど、僕のヒーローはずっと大迫勇也選手。めちゃくちゃ好きですね」
南アフリカ・ワールドカップが行われた2010年、河野は小学校に通い始めたばかりだった。本田圭佑の無回転FKがゴールネットに突き刺さり、遠藤保仁のFKもゴールマウスに吸い込まれ、日本中が沸き上がった瞬間を心に留め、その後に2大会連続で日本代表のFWを担った大迫に憧れてボールを蹴ってきたFWは、あのときに抱いた夢を今も持ち続けている。
「いろんなケガをして、若い頃に自分がイメージしていた通りにはいかないことがいっぱいあった。それでも夢を叶えるために挫折も乗り越えてきました。サッカー選手である以上、やっぱり日本代表にまで昇り詰めたいし、海外にも挑戦して世界的なストライカーになりたい。そういう思いは何回ケガをしてもまったく揺るがなかったので、そこは絶対にあきらめられないです」
ワールドカップは4年に1回しかない大会で、海外では同世代の選手が当たり前のようにビッグクラブで活躍している。22歳という年齢はまだまだ若いが、自然と焦る気持ちも湧き起こってくる。
「ワールドカップには絶対に出たいですけど、狙えるとしたら今年にあるワールドカップの次のワールドカップになる。そしたら僕は26歳になっているんで、もう世界的に見たら遅いですよね。世界的に見たら、同年代でトップリーグでやっている選手はざらにいるし、焦る気持ちはすごくあります。けど、地に足をつけてやっていかないといけない気持ちもあるんですよ。
目標を考えたら、今の自分にギャップがあることは確かです。でも、そのギャップをどんどん埋めていけるようにやっていくしかない。僕は元々、あんまり先のことを考えず、目の前のことを1つひとつやっていくタイプなんですよ。もちろん大きな目標は常に持ちつつですけど、結局、日々をおろそかにしたら本末転倒なんで。ケガをする前は、確かに何歳のときにどこでプレーしていて、何歳になったらどこどこって自分の中で思い描いていた。でも、それから本当に思い通りにいかないこともいっぱいあったし、結局、毎日を100%でやっていくしかないかなと思っています」
岡山への移籍を決めてから取材を受ける機会が増え、自分の頭の中や心の中にあることを必然的に言語化するようになった。だから夢は大きくなり、目標は具体的になってきている。
「こうやってインタビューをしてもらって夢の話をすることも多いんで、どんどんワールドカップに出たくなっている(笑)。出たくても出られない選手がたくさんいることは分かっているし、運も必要だと思うけど、その運もつかんで絶対に出たいですし、海外でやることがゴールじゃない。海外でプレーして、もっともっと上を目指していきたいと思っているんで、そのためにもまず、今年にしっかりチャンスをつかんで結果を残していきたいです」
江坂任と一緒にボールを蹴って受けた衝撃
岡山でJ1に初めてチャレンジする今年は、河野にとって大きな大きなチャンスだ。夢を叶えるためには、このチャンスをつかまないといけない。そのためにはまず試合に出ていくことが必要になるが、当然ながらチーム内の競争のレベルは、これまで経験したことがないほど高いものになる。
岡山の全体練習が始動する前、河野は体を動かすために足を運んだ。そのときに初めて江坂任と一緒に蹴る機会に恵まれ、衝撃を受けた。
「任君が天才だなって、ボール回しを初めて一緒にやったときにすぐ分かりました。それから一緒に練習していくうちに、めちゃくちゃうまいだけじゃなく、いろんなことを考えながらプレーしていることにも気づいた。盗んでいこうと思って、任君にいろんなことを聞きながらやっていますけど、やっぱり自分の良さは絶対に忘れちゃいけない。自分はボックス付近でのゴールの嗅覚を大事にしていかないといけないと思っています」
江坂の巧さや賢さとは違った個性を持つ木村太哉からも、大きな刺激を受けている。
「太哉君は岡山の象徴的な選手。いつもチームのために献身的に体を張って戦える選手なので、このチームは絶対にハードワークがベースにあると思うし、僕は太哉君を一つの基準にして考えるようにしています。そのレベルを自分も引き上げながら、自分の特長を出せるようにやっていかないと」
最前線には体のサイズが違うルカオとウェリック・ポポもいて、攻守に戦術理解度が高く、フィニッシュも巧みな一美和成もいる。さまざまな特長を持つライバルと競争していくことになるが、河野もまた自分自身に自信を持って勝負に挑んでいる。
「自分はゴール前の一番怖いところに入っていきたい。自分をフィニッシャーの位置に持っていきたいですし、そこで勝負していきたいと思っています。岡山で、より僕のイメージしているFWに近づけそうな感覚があるんです。木山さんは『前から狩りをしに行く』っていう表現をされますけど、守備はもちろん、攻撃でも相手に襲いかかれるような怖い選手になっていきたいです」
岡山でどんなFWに成長を遂げ、世界へ飛び出していくのか。河野は自分自身でしっかりとイメージを持ち、岡山で百年構想リーグに挑んでいく。
(寺田弘幸 / Hiroyuki Terada)

寺田弘幸
てらだ・ひろゆき/1980年生まれ、広島県出身。サポーターを経て2007年よりライター活動を開始。サッカー専門新聞『EL GORAZO』でサンフレッチェ広島を追いかけ、3度のリーグ優勝に立ち会った。09年からファジアーノ岡山も担当。現在もフリーライターとして主にサンフレッチェ広島とファジアーノ岡山を取材している。





















