1年前まで作業服店でレジ打ち…J1主力に急成長「実感ない」 25歳を変えた「1mの差」

川崎戦に出場した水戸のフォファナ・マリック【写真:徳原隆元】
川崎戦に出場した水戸のフォファナ・マリック【写真:徳原隆元】

水戸のフォファナ・マリック「店員をやっていました。レジ打ちも接客もできます僕」

 水戸ホーリーホックは3月1日、J1百年構想リーグ第4節で川崎フロンターレとアウェーで対戦した。試合は2点リードから後半アディショナルタイムに土壇場で追いつかれ、2-2からPK戦負け。それでも、守備を牽引したDFフォファナ・マリックは「本当に幸せな舞台に立っているなと感じています」と語った。

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「きょうは本当に勝てた試合だったので、もったいない試合をしたなというのが印象です」

 このように試合を振り返ったフォファナ。「本当に川崎さんは上手なチームで、後半のラスト20分くらいでちょっと守りに入ってしまったのが敗因だったと思います。もう本当に一瞬の隙というか、そういうのをやられるのがJ1なので、それを本当に味わったのかなと」。勝ち点3がすり抜けたのを悔しがった。

 とはいえ、川崎相手に互角以上に戦えたのは事実。「守備は板倉(健太)とも常にコミュニケーションを取っているので、そこは自信を持っています」としながら、「まだまだ細かいところを見れば足りないですし、修正するところが多い。もっともっとしっかり貢献しないといけないなと思います」と話した。

 東京都町田市出身のフォファナは、尚志高校時代に高校サッカー選手権で準決勝進出。山梨学院大学を経て、2023年にJFLのFCティアモ枚方に加入した。2024年はJ3のFC大阪に期限付き移籍したが、4試合の出場。昨年6月に水戸に完全移籍して2試合の出場だったが、いきなりJ1で主力の座を掴もうとしている。

「あまり自分でも今なんか実感なくて。だけど自分がいたJFLとは比べものにならないくらいの雰囲気だし。自分自身も毎試合毎試合、かける思いというのは、たぶん誰よりもあると思っているし。今、本当に幸せな舞台に立っているなと感じています」

 この状況を1年前の自分なら「信じない」と笑う25歳。森直樹前監督(現フットボールダイレクター)には感謝が尽きない。「自分には本当に厳しく練習から指摘されて。コーチ陣からも要求されているので、しっかり自分がそれに応えないと試合にも出られない。毎日の練習が勝負だと思ってます」と明かす。

「森さんは本当に1メートルのポジションのズレも許さない人なので、そういうスライドの遅れだったりというのは指摘されてきました。そこは自分もまだまだ足りないところだし、そういうところですね」

 JFL時代はサッカーだけでなく、「店員をやっていました。レジ打ちも接客もできます僕」と明かすフォファナ。作業服などを販売する「TAMAYURA(たまゆら)」で働き、「練習が午前中で、そこから午後2時から8時半まで仕事。自分の時間もなかったんですけど、でも本当に充実した日々でした」と振り返る。

 当時のたまゆらの同僚たちも「応援してくれています。毎日LINEもらっていますし、本当にその人たちが力になっています」と、今でも心の支えになっているという。「その人たちのためにも毎試合毎試合、自分は本当に勝負なので。勝利を届けたいですね」。フォファナの飛躍は彼一人だけの物語ではないのだ。

 前節のジェフユナイテッド千葉戦では、日本代表の森保一監督が視察。印象に残った選手として、フォファナの名前を挙げた。これには「最初、冗談だと思っていました」とたじたじだったが、「そうやってJ1は注目される数も違いますし、そういう意味で自分自身は毎試合毎試合勝負なので」と笑顔を見せた。

 日本代表という目標については、「1ミリもないです。もう考えたこともないです」と苦笑いで答えたフォファナ。「自分が届く世界線じゃないので、まずはしっかり水戸で結果出せるように頑張りたいです」と現実を見つめる。それでも、J1でアピールを続けていけば、そんな話も夢物語ではなくなるはずだ。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)



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