味方に対して「点を取らないで」 元日本代表が持論…特別大会は「非常にありがたい」

トークショーを行った松永成立氏【写真:河合拓】
トークショーを行った松永成立氏【写真:河合拓】

松永成立氏「シュートを外すと後ろで小さくガッツポーズしていましたから」

 春秋制から秋春制へ移行するJリーグは現在、百年構想リーグという半年間の異例のシーズンを送っている。引き分けのときにはPK戦も行う特殊なレギュレーションだが、現在「社団法人F・マリノススポーツクラブ、ホームタウン/ふれあい部」に所属する元日本代表GK松永成立氏は「GK目線で言うと、非常にありがたい」と、自身の考えを語った。

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 百年構想リーグが開幕してから、PK戦で決着を付ける試合がすでに多く出ており、PK決着は必要かという議論も出ている。そうしたなか松永氏は、現役時代にPK戦を楽しみにしていたと明かした。

「GK目線で言うと非常にありがたいですね」と言い、「シンプルにそこでGKだけフォーカスされるので。川口(能活)選手、川島(永嗣)選手とか、今で言うと鈴木彩艶選手とか、脚光を浴びていますが、昔のGKは11人のなかで一番、脚光を浴びづらいポジションでした。だから、天皇杯とかカップ戦のトーナメントになると、90分で勝っても『ああ……』という感じなんですよね。0-0とか、1-1で試合が進むと、内心『頼むからここから点を取らないでくれ』と。PKになってくれれば、俺が目立つから『頼むから点を取らないで』と。シュートを外すと後ろで小さくガッツポーズしていましたから」と、東京ヴェルディ戦を前にしたトークショーで明かした。

 ストイックなイメージが強かった松永氏だが、意外と目立ちたい気持ちは強かったようで、司会に「PKに行かなくても、シゲさんは目立っていたじゃないですか」と言われても、「いや、PK戦の方がもっと大きく画面に顔が映るので、そっちのほうが良かったですね」と言っていたずらっぽく笑った。

 現役時代にGKとして活躍し、引退後もGKコーチを長く務めていた松永氏は「僕にとっては、『サッカー=GK』ですから」と言い、横浜FMのGKコーチとして印象に残っているPK戦の逸話を明かした。

 それは2024年のACL準決勝の蔚山(韓国)戦のときのこと。試合は2試合合計3-3でPK戦になったが、このPK戦を横浜FMが5-4で制して、決勝進出を決めた。このとき、横浜FMはGKポープ・ウィリアムがゴールを守り、PK戦では1本のシュートを止めて勝利に貢献していたが、試合中にはPKを1本、決められていた。

 松永氏は「試合中にPKが1本あって、その後に本格的にPK合戦があったのですが、僕らコーチは統計を全部集めているんです。蔚山の10何人分、PKのデータを全部集めていました。試合中のPKも、そのなかのデータからポープに『こっちに蹴るよ』と伝えていたら、逆になったんです。それでPK戦になったときには、ポープが寄ってきて『シゲさん、もうデータいらないです。いいですか?』と言われて、『いいですよ』と伝えました」と、データが必要とされなかったと説明した。

 全選手のPK戦のデータを集めるのは簡単なことではない。苦心して準備したデータが無駄になり、さぞショックな出来事だったかと思われたが、松永氏は「僕も現役時代にデータ通りにやると、全部逆で点を取られていたんですよね」と言い、自身もデータに頼るタイプではなかったと明かした。

 そして、「コーチだから、コーチらしく『一応、(データを)集めていますよ』と示していましたが、基本的にはデータは嫌いです」と、きっぱりと言い「試合中のPKを入れられたときは、『あとからポープに怒られるかな』と思っていましたが、その後、PK戦で勝ったので、ポープも試合中のPKのことは忘れてくれたと思います」と、勝利に安堵していたと振り返った。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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