火が付いた「どうせ帝京大可児でしょ」 7連覇を許して涙…ストライカーが変える勢力図
高円宮杯プレミアリーグは鹿島アントラーズユースの優勝で、第104回全国高校サッカー選手権大会は神村学園の初優勝で幕を閉じた。2025年シーズンを終え、各クラブユース、高体連のチームは新チームをスタートさせ、新たな戦いに向けて準備を進めている。4月のリーグ本格開幕を前に虎視眈々と上を目指すチーム、選手にスポットを当てていきたい。

美濃加茂高の長谷川結星「そこを倒して僕らが全国に出たらシンプルにかっこいい」
高円宮杯プレミアリーグは鹿島アントラーズユースの優勝で、第104回全国高校サッカー選手権大会は神村学園の初優勝で幕を閉じた。2025年シーズンを終え、各クラブユース、高体連のチームは新チームをスタートさせ、新たな戦いに向けて準備を進めている。4月のリーグ本格開幕を前に虎視眈々と上を目指すチーム、選手にスポットを当てていきたい。
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今回は岐阜県高校サッカー新人戦から。今年の新人戦を制したのは近年メキメキと力をつけてきた新興勢力である美濃加茂高のエースストライカー・長谷川結星は、1年生のときからエースとして君臨し、迎えた最高学年でチームに初の県内タイトルをもたらす決勝弾をマークした。
長良高との新人戦決勝。0-0で迎えた後半19分、右サイドを突破したMF南谷颯良の折り返しに対し、ニアに飛び込んだMF田代智久の姿を見て、少し待ってからゴール前のスペースに走り込んだ。すると、南谷のクロスを田代の寸前でGKが手に当てると、自分の元にボールが転がってきた。右足で丁寧に蹴り込むと、このゴールがチームに初の県内タイトルをもたらすゴールとなった。
「FWとして、『このチームで点を取るのは俺だ』とずっと思ってやっています」
話していても負けん気が強く、ゴールへの貪欲な姿勢がにじみ出る。FCV可児U-15から多くの先輩が美濃加茂に進学する姿を見て、「尊敬する先輩達がみんな『打倒・帝京大可児』を掲げていて、『僕も先輩達と一緒に成し遂げたい』と思った」と、先輩の後を追って2019年から本格強化に乗り出した新興勢力の門を叩いた。
フィジカルと高い空間認知能力をベースにした空中戦の強さとポストプレー、裏抜けのタイミングとスピードを武器に、1年からエースストライカーとしての地位を確立。岐阜県選抜として佐賀国体に出場し、1トップとして岐阜の攻撃を牽引した。
昨年も最前線で身体を張って起点を作り、ゴール前の飛び出しでゴールを決めるなど、大きな存在感を放った。だが、帝京大可児の分厚い壁を打ち破ることはできなかった。
昨年の選手権予選決勝の帝京大可児戦。0-1で迎えた前半16分に左CKからニアサイドにトップスピードで走り込んで、ドンピシャヘッドを叩き込み同点弾をマークしたが、その後チームは3失点。美濃加茂も長谷川のポストプレーからチャンスを何回も作り出したが決めきれず、1-4で相手に7連覇を許して涙を飲んだ。
「気合十分で臨んだのですが、同点に追いついた後に決めるべきチャンスで決めきれなくて、逆に相手はそこをしたたかに決めてきて、3点差というスコアになってしまった。差は縮まってきていると思うし、僕自身も十分に戦えると感じているけど、結局はチャンスをモノにできるかどうかが試合を決める。僕らがやるべきことは、この1年間ひたすら練習の強度を上げて、自分にベクトルを向けてやり続けることしかないと思っています。自分たちが気を緩めたらそこで終わりだと思います」
もっと信頼されて、もっとチャンスを決めきるストライカーになるために。長谷川はこれまでの自分への甘えを捨てる覚悟を下した。
「チャンスで決めきれないのは、僕のメンタリティーの問題だと思う。僕はどうしてもうまくいかなくなるとカッとなってしまう性格で、それが1対1のチャンスなどのときに冷静になりきれずに外してしまうことがこれまで多かった。だからこそ、今年はピッチ内でもピッチ外でも常に責任感と自覚を持って率先して取り組んでいかないと、一瞬のチャンスをモノにできないと思ったので、自分の精神的な成長を促すためにキャプテンに立候補しました」
この試合、長谷川の左腕にはキャプテンマークが巻かれていた。「俺が」というストライカーのエゴは持ち続けながらも、客観性を持ってチーム全体に目を配り、「苦しいときにこそ冷静にチームのためにゴールを狙えるストライカーになりたい」と、その自覚をキャプテンマークに込めていた。
「周りは『どうせ今年も帝京大可児でしょ』と思っている人が多いと思うからこそ、そこを倒して僕らが全国に出たらシンプルにかっこいいじゃないですか。その先頭に立って直向きにやるだけだと思っています。チームが沈んだときに声で盛り上げて、プレーで流れを変える。みんなが俺を見たら安心するようなキャプテンになりたいです」
熱量は十分。陸空両面で馬力を発揮できる長谷川は、パワーと冷静さを併せ持ったスナイパーとして美濃加茂の最前線に君臨し、悲願の全国大会出場に挑んでいく。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。





















