“勝ち点2”が優勝に大きく影響? 決定的な分岐点に…過去から紐解く特別リーグの戦い方

百年構想リーグではドローの場合PK戦を実施【写真:徳原隆元】
百年構想リーグではドローの場合PK戦を実施【写真:徳原隆元】

百年構想リーグはPK勝利が勝ち点2、負けが1に

 いよいよ百年構想リーグがスタートした。すでにPK戦までもつれ込んだ試合が生まれている。PK戦で勝っても次のステージに上がるわけではないというのは、今のサッカーファンには不思議な感覚だろう。また、PK戦で負けても勝点が積み上がるというルールにも、すぐには慣れないかもしれない。

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 だが実は、かつてのJリーグはさまざまな勝点計算方法で開催されていた。1993年の開幕から1994年までは、90分で決着がつかなければ、得点が入った時点で試合が終了する「Vゴール方式」の延長戦を行い、それでも決着がつかなければPK戦で勝敗を決した。この2年間、順位は勝点ではなく「勝利数」で決まっていた。

 続く1995年から1996年は、勝利すればPK勝ちも含めて一律で勝点3、PK負けは勝点1、負けは勝点0となった。さらに1997年と1998年は、90分勝利が勝点3、Vゴール勝ちが勝点2、PK戦勝ちは勝点1、敗戦は勝点0と細分化される。

 さらに1999年、PK戦が廃止されて引き分けが導入されると、90分勝利は勝点3、Vゴール勝ちは勝点2、引き分けは勝点1、敗戦は勝点0となる。この形が2002年まで続き、2003年にVゴール自体が廃止されたことで、ようやく現在の「勝利が勝点3、引き分けが勝点1、敗戦は勝点0」という形に統一された。

 なお、1889年にイングランドで勝点制度が始まったとき、勝利は勝点2だった。そのため1978年アルゼンチンワールドカップまでは勝利が勝点2として計算されている。同大会の2次リーグでオーストリアが記録した1勝2敗は、西ドイツの2分1敗と同じ勝点2とされ、得失点差でオーストリアがグループ最下位となった。もし当時が現在の勝点制(勝利3)であれば、1974年大会の王者である西ドイツにとって、より厳しい結末になるところだった。

 その後、より勝利を目指す姿勢を促すべく、1981年にイングランドで勝利時の勝点が3へと変更された。1982年スペインワールドカップでもこの考え方が普及し始めるが、旧来の方法と比べてもグループリーグの順位に変動はなかったため、大きな混乱は生じなかった。つまり各国とも戦い方を新しい勝点制度に合わせてきていたと言える。

 さて、ではもしJリーグで開幕当初から現在の勝点制度が導入されていたら、順位はどうなっていたか。延長に入った時点で「引き分け」として扱い、さらに全シーズンを1ステージ制として計算し直した場合の歴代最多勝点チーム(実質的な優勝チーム)は以下のようになる。括弧内は、両ステージの優勝チームで争われたチャンピオンシップのカードとその勝者だ。

・1993年 1位 ヴェルディ川崎 2位 鹿島アントラーズ(鹿島アントラーズvsヴェルディ川崎→ヴェルディ川崎)
・1994年 1位 ヴェルディ川崎 2位 サンフレッチェ広島(サンフレッチェ広島vsヴェルディ川崎→ヴェルディ川崎)
・1995年 1位 ヴェルディ川崎 2位 横浜マリノス(横浜マリノスvsヴェルディ川崎→横浜マリノス)
・1996年 1位 鹿島アントラーズ※1
・1997年 1位 鹿島アントラーズ 2位 ジュビロ磐田(ジュビロ磐田vs鹿島アントラーズ→ジュビロ磐田)
・1998年 1位 ジュビロ磐田 2位 鹿島アントラーズ(ジュビロ磐田vs鹿島アントラーズ→鹿島アントラーズ)
・1999年 1位 清水エスパルス 2位 柏レイソル(ジュビロ磐田vs清水エスパルス→ジュビロ磐田)
・2000年 1位 ジュビロ磐田 2位 横浜F・マリノス(横浜F・マリノスvs鹿島アントラーズ→鹿島アントラーズ)
・2001年 1位 ジュビロ磐田 2位 鹿島アントラーズ(ジュビロ磐田vs鹿島アントラーズ→鹿島アントラーズ)
・2002年 1位 ジュビロ磐田※2
※1:1996年は1ステージ制で開催され勝点の計算を変えても優勝チームは変更なし
※2:磐田が両ステージ優勝のためチャンピオンシップ開催なし

 こうしてみると、勝点の計算方法やステージ制の有無がタイトルに大きな影響を与えた例もあるのが分かる。磐田は1999年、現在に換算すると7位だったところから王者に輝いたと思えば、2000年は優勝だったはずがチャンピオンシップにも出られなかったのだ。

 それにしても、一度は鹿島のタイトルをさらったとはいえ、逆に3回も鹿島に年間王者の座を譲る格好となった磐田には、何とも言えない感慨を覚える。同時にそれこそが、勝負どころを逃さない鹿島の粘り強さがしっかりと表れた証左とも言えるだろう。

 こういう過去のデータを振り返ってみると今年の勝点とリーグ方式も大きな影響があるに違いない。特にPK戦までもつれ込んで勝点1を失うことは、賞金面はもちろんのこと、最終的な順位を左右する決定的な分岐点となりそうだ。

(森雅史 / Masafumi Mori)



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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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