J3から参加した“唯一無二”「いい経験に」 福島→山梨→奈良…大舞台で示したメソッド

奈良クラブユースの浜名元希(7番)【写真:徳原隆元】
奈良クラブユースの浜名元希(7番)【写真:徳原隆元】

奈良クラブユースMF浜名元希はU-18 Jリーグ選抜の一員として参加

 高円宮杯プレミアリーグは鹿島アントラーズユースの優勝で、第104回全国高校サッカー選手権大会は神村学園の初優勝で幕を閉じた。

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 2025年シーズンを終え、各クラブユース、高体連のチームは新チームをスタートさせ、新たな戦いに向けて準備を進めている。4月のリーグ本格開幕を前に虎視眈々と上を目指すチーム、選手にスポットを当てていきたい。

 今回は2月11日にニッパツ三ツ沢球技場(神奈川)で行われた「NEXT GENERATION MATCH 2026」から。U-18 Jリーグ選抜のサイドアタッカーとして存在感を放ったMF浜名元希(奈良クラブユース)、J3クラブの下部組織から唯一の選出となり、後半から登場して切れ味鋭いドリブルを何度も見せた。

「0-2の状況で後半からの投入だったので、自分がいい流れを作ろうと思って、積極的に仕掛けようと思っていました」

 7番を背負い、後半頭から左サイドハーフとして出場。後半19分に左タッチラインギリギリでボールを受けて、一気にカットインを仕掛ける。股抜きで相手を交わして、5314人の観衆を沸かせた。

 これで勢いに乗ると、同27分にカットインから相手に倒されて直接フリーキックを獲得。同31分には左からドリブルを仕掛けて中央に切れ込むと、ゴール前のスペースに入り込んだFW佐々木亮(ベガルタ仙台ユース)の姿が見えた。

「練習中からFWの選手に縦パスを入れたら、スピードが落ちないようにスペースに落としてほしいと伝えていた。この時もDFが何枚か佐々木選手に食いついているのが見えたので、リターンパスを受けるつもりで強めに出しました」

 一瞬で状況を判断し、事前に伝えておいた意図を回収するように鋭く縦パスを打ち込むと、そのまま一気に加速してペナルティーエリア内に侵入。佐々木から狙い通りのダイレクトパスが届くと、「そのまま打ちたかったのですが、相手が近かったので、ワンタッチを挟んで相手を交わして、それでも2枚目がいたので股を狙った」と、頭をフル回転させながらテクニカルな股抜きシュートを放ったが、日本高校選抜GK岩瀬颯(大阪・興國高)のビッグセーブに阻まれた。

 さらに直後の後半32分にも左サイドを抜け出して中央の佐々木に正確なクロスを供給。シュートは相手に阻まれたが、後半のJリーグ選抜のチャンスのほとんどは浜名から生まれた。

「相手のマークを外してボールを受けたり、仕掛けたりする部分は持ち味を出せたのですが、低い位置でも無理に仕掛けてしまって引っかかるシーンもあった。その使い分けをもっとうまくやっていかないといけないと思いました」

 試合後のミックスゾーンで話を聞くと、冷静にプレーを解説しながら課題もはっきりと口にした。

小学4年の時に出会った“メソッド”

 この試合で見せた技術とインテリジェンスはどこから来るのか。ルーツを紐解くと、小学生時代に地元である福島県の中央ドリマジュニアSCでプレーしていた浜名は、小学4年の時にエコノメソッドキャンプ(奈良クラブユースの内野智章監督とスペイン発の育成メソッドである『エコノメソッド』が連携したサッカースクール主催の短期キャンプ)に応募。すると、見事にキャンプで総合MVPを獲得してスペイン遠征に招待された。

 そこでエコノメソッドを導入しているアメージングアカデミー(山梨県)の存在を知り、中学進学と共に親元を離れて山梨で3年間を過ごした。「アメージングで学んだエコノメソッドを高校でも無駄にしたくない、もっと伸ばしたいと思った」と、内野監督が率いる奈良ユースに入団した。

「アメージングではいかにどの局面でもフリーでボールを受けられるような動きをオーガナイズできるかを学びました。奈良クラブでは内野監督からドリブルをしている時のボールの持ち方や姿勢、スピードに乗った時でも相手や味方の状況によって判断を変えられるような場所にボールを常に置く意識を教えてもらって、徐々に良くなってきている手応えがあります」

 グループ戦術と個人戦術をうまく融合させながら、その中で最大の武器であるドリブルをより効果的に、相手の脅威となるように発揮する。アメージング、奈良クラブユースで成長過程を常にイメージしながら取り組んできたからこそ、着実に技術レベルと引き出しは増している。

 そしてNEXT GENERATION MATCHでその実力を証明した。守備から攻撃に切り替わった瞬間、浜名は首を振って状況を確認しながら、自分がボールを受けたいスペースをわざと開ける立ち位置を取り、スペースへ動き出していた。だからこそ、フリーでボールを持つ局面や、背後のスペースが空くなど、オフェンス優位の状況が多かった。

 ドリブルに頼りきらず、立ち位置の優位性、ボールを受けてからの判断の切り替えを駆使して、より迫力を出してゴールに迫っていく。大舞台で示した力を今度は奈良に戻ってチームのために、トップチームの戦力となるために発揮する。

 浜名は「2種登録をしてもらってトップの練習にも参加できています。今回はJ選抜として試合にも出させてもらって、本当にいい経験になっています。これを『良かったね』で終わらせることなく、これから常に高い意識を持って練習をして、トップで活躍できる選手になっていきたいです」と意気込んだ。

(安藤隆人 / Takahito Ando)

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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。

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