W杯サプライズ候補はワンダー“オールド”ボーイ 識者が推薦…メッシを彷彿の28歳が「驚きを与える」

川崎MF伊藤達哉は昨季13ゴールを挙げた
ワールドカップが近づくと、それまでほとんどメンバーに入っていなかった選手が急に台頭してくることがある。10代の若手が1年で急激に成長してメンバーに滑り込むというケースは意外と各国でみられるものだ。
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今年の北中米大会に臨む日本代表にもサプライズ招集はあるのだろうか。鈴木淳之介はもはやサプライズではない。守備の強さだけでなく、両足を使える、相手のハイプレスを独力で外すキープ力という、現代サッカーにおいてカギになる能力を持っている。代表経験は浅いが最終メンバーに入る可能性はかなり高いだろう。
佐野航大はサプライズに近いかもしれない。日本代表での出場はわずか1試合。だが、オランダリーグのNECナイメヘンでは中心選手として活躍している。森保一監督の「1対1の強さ」という選考基準に合った、攻守に渡るデュエルの強さと運動量も兼ね備えている。
U-23アジアカップの得点王、MVPのFC東京MF佐藤龍之介は19歳。選出されればまさにワンダーボーイだ。正確な技術と的確なアイデア、俊敏性は香川真司を思わせる。
スーパーサブ枠で考えると、攻撃面で他にない特徴を持った選手が選ばれやすい。得点がほしいときの切り札なので、90分間トータルのパフォーマンスより短い時間で何かを起こせる能力が求められる。意外性のある何かを持っている選手だ。
伊藤達哉は候補の1人になるのではないか。川崎フロンターレでは昨季13ゴール、得点ランキング4位。日本人ではトップだった。28歳なのでワンダー“ボーイ”ではないが、対戦相手に驚きを与えるプレーヤーだと思う。
167センチと小柄。体の小ささが武器になっている点でリオネル・メッシを思わせるプレースタイル。ほんの少しだけボールを動かしてシュートコースを作るのが上手い。DFがシュートブロックする前に足のすぐ横を通るシュートを打つ。足を出してくれば、足の間を通す股抜きシュートを蹴る。このずれを作る際のボールを動かす幅が小さくて速いので、大柄な選手が多いDFにとってはタイミングが合わないのだ。
相手を抜き切るのではなく、ずらして打つシュートは久保建英が上手いが、伊藤の手際はそれ以上だろう。W杯での対戦相手にはあまりいないタイプなので、意外性が効果を発揮するのではないか。
柏レイソルのアカデミーからハンブルガーSVに移籍。シントトロイデン、1FCマクデブルクを経て、2025年1月に川崎に加入した逆輸入選手。非常に俊敏で高い技術があり、相手のプレスを外してボールを前進させる能力がある。マンツーマンのハイプレスは近年の流行で、日本代表もこれを得意としているわけだが、攻撃側にとって決め手になるのが1対1でマークを外せるかどうか。マンマークなだけに、1人外すことで一気に局面が開けてくるのだ。
伊藤はプレスされても小さく外せる。歩幅が小さいからだ。小さく外すことで2人目に引っかかりにくい。この点でもサイズの小ささがメリットになっている。左のシャドーで起用してみたら面白いのではないか。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)

西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。





















