15歳久保が2世代上のU-20W杯で輝く理由 バルサ下部組織で培ったプレーとは

南ア戦の決勝アシストを導いた質の高い動き

 だが、欲しいタイミングでボールが出てこないと、久保は自然と相手の中盤の前でボールを受けようと下がってきてしまっていたという。安間コーチは「そうなると、そこで前を向いても目の前には相手の守備陣が8人いる状態。これではなかなか崩せない」と、口にした。

 そのことを伝え聞いた久保は、少しのディスカッションで簡単に本来の動き方を取り戻していったという。その後は、J3の選手たちがルックアップする瞬間を見計らい、相手選手が届かない「フィジカル勝負をする必要がない」位置にポジションを移すようになっていった。それが、初めは体格の違いに戸惑っていたJ3の舞台で「攻撃の軸」になるまでに至ったきっかけだった。

 そのプレーは、U-20ワールドカップ(W杯)でも随所に見られている。初戦の南アフリカ戦では交代直後に、相手最終ラインから中盤に落ちて相手DFを引き出すと、そこで生まれたギャップにスルーパスを流した。さらに後半27分には、MF遠藤渓太(横浜F・マリノス)がルックアップした瞬間に相手最終ラインと中盤の間に素早く位置を移す。そのタイミングではパスが出てこなかったが、再び動き直してMF堂安律(ガンバ大阪)の決勝点をアシストした。どちらも、相手のプレッシャーをほとんど受けないなかでのプレーだった。

 続くウルグアイ戦はFW小川航基(ジュビロ磐田)の負傷退場により、急きょ前半20分から出番が回ってきた。だが、途中出場からタイトなマークに苦しみ、「前半は全然いい入りができなくて、疑問とか不安もあった。相手の速さに苦しんだ。一歩が速かった」と悔やんだ。だが、「ハーフタイムにこれじゃあ終われないと思っていた」。

 後半のピッチに飛び出した久保は、“あの動き”で見せ場を作る。同13分、ここでも相手DFラインと中盤のギャップでパスを受けると、迫り来るDF二人を個人技でかわして左足を鋭く振った。このシュートは相手GKが弾き、そのこぼれ球を堂安が頭で詰めた。だが、これも相手DFが水際でクリアして歓喜の同点ゴールを挙げることができず、久保は天を仰いだ。

 

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