“涙の帰国”から2週間「悔しい思い」 地元で「J1の試合を」…17歳が起こした奇跡

デビュー戦で同点弾を決めた千葉の姫野誠「やってやろうという思いは強かった」
ジェフユナイテッドは市原・千葉は12月7日、J1昇格プレーオフ準決勝でRB大宮アルディージャを4-3で破った。17歳のMF姫野誠は、0-3という絶望的な状況でトップチームデビュー。しかし、積極的なプレーで流れを変えると、後半39分に同点弾となるプロ初ゴール。大逆転劇を導くシンデレラボーイとなった。
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10月にプロ契約を結んだばかりの高校2年生が、大仕事をやってのけた。前半20分、前半32分、後半3分に失点を許し、意気消沈という雰囲気に包まれていたフクダ電子アリーナ。そんな展開で最初の交代カードとして投入されたのは、なんとレギュラーシーズンでもベンチ入りすらしたことのない17歳だった。
後半15分に投入されると、いきなりペナルティーエリア内に侵入してシュートを放つなど空気を変える。すると、後半26分にFWカルリーニョス・ジュニオ、後半32分にMFエドゥアルドのゴールで1点差。MF米倉恒貴の投入で左サイドから右に移った姫野のカットインからのミドルシュートは、枠をわずかに外れた。
その直後の後半39分。相手ゴールキックを跳ね返したカウンターから、米倉の浮き球パスを姫野が胸トラップ。ボールを収めて相手ディフェンス2人に挟まれながらペナルティーエリア内に侵入すると、最後は倒れながらのループシュートがゴール左隅に吸い込まれ、スタジアムは怒号のような歓声に包まれた。
「めっちゃ嬉しいです。もちろん狙ったシュートではなかったですけど、入ったのでよかったなと思っています。米倉さんが自分のことを見てくれていたので、それをゴールという形でしっかり返せてよかったなと思っています」
試合後、このように振り返った姫野。「思いっきりやってこい」という指示で投入されたと話し、「自分のいつも通りのプレーをしようと思ってピッチに入りました。ゴールを取るというやるべきことが明確だったので、そういう意味ではプレーしやすかったです」と、失うものがない状況もうまく噛み合った。
これまでベンチ入りすらしたことのない選手が、この大舞台で起用されるのは異例だが、驚きはなかったと言う。「このチームは本当に練習からめちゃくちゃ激しくやります。そのなかで練習でいいパフォーマンスを見せられたので、きょうの試合は自信を持って臨みました」。実力で掴み取ったチャンスだった。
「練習中からずっと意識して、出たいと思って練習をやっていたので、メンバーに入ると知ったときに、やってやろうという思いは強かったです。めっちゃ緊張したので、普段通りではなかったですけど。でも、その緊張がいい方向にいったかなと思っています」
11月にカタールで開催されたU-17ワールドカップでは、準々決勝のオーストリア戦にフル出場したが、0-1での敗戦に涙。「カタールで悔しい経験をして、でもそれを意味のある大会にしようと、その悔しい思いをいい方向に持って行こうと思って練習していたのでよかったと思います」とリベンジを果たした。
準優勝となったオーストリア相手にも好機を演出するなど、世界相手にも通用する自信を掴んだが、「でも、チームを勝たせられなかった」と心残りがあった。帰国の翌々日にはトップの練習に合流してアピールに成功し、「きょうそういう意味ではチームの勝利に貢献できたかなと思います」と笑顔を見せた。
地元の千葉出身で、「フクアリの奇跡」でJ1残留を果たした2008年に生まれた。小学生の頃から千葉のアカデミーで育ったが、J1で戦う千葉をまだ知らない。「アカデミーのときからずっとジェフだったので、試合をずっとスタンドで見ていて、J1の試合をやってほしいと思う気持ちは強かった」と力を込める。
これまではファン目線で見てきた先輩たちに「よくやった」「すげえよ」と声をかけられ、夢のような時間を過ごした。試合後の「ジェフ三唱」も、「すごかったです。ずっとスタンドでやる側だったので、ピッチの上でやれてよかったです」と感無量。初々しい17歳が千葉を16年ぶりのJ1へ導こうとしている。




















