消極的な前半に…指揮官からカミナリ「名指しで刺激を」 J1初昇格を掴み取った舞台裏

水戸の森直樹監督「何人かちょっとゲームに入れていない選手がいました」
水戸ホーリーホックは11月29日、J2リーグ最終節で大分トリニータに2-0で勝利し、J2初優勝とJ1初昇格を決めた。クラブの歴史を変える一戦ということもあり、スコアレスで終えた前半からは少し不穏な雰囲気も漂った。森直樹監督は、「名指しで刺激を与えました」とハーフタイムに檄を飛ばしたと語った。
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クラブ史上ホーム最多入場者数を更新する1万743人が来場した一戦。のどかな雰囲気も魅力のケーズデンキスタジアム水戸は、明らかにいつもとは違う空気感だった。勝てば自力で昇格を決められる優位な立場ではあったが、スタジアムの観客は、ジェフユナイテッド千葉とFC今治の経過が気になるようだった。
そんな空気は、ピッチ上からも伝わってきた。前半は危ない場面こそなかったが、得点を奪うことができず。前半14分にはMF齋藤俊輔が左サイドからカットインし、右足でミドルシュートを放ったものの相手GKが好セーブ。ハーフタイムには森監督が、DF山本隼大とDF大森渚生を名指しで、カミナリを落とした。
「冷静に見ると前半の戦いは少し消極的で、守備に関してはそんなに穴はなかったんですけど、自分たちのゲーゲンプレスの反応だったり、出して追い越していくとか、パスのテンポだったりとか、そういうちょっと物足りない部分があったり、何人かちょっとゲームに入れていない選手がいました」
セレモニー後の優勝監督会見で、ロッカールームでの舞台裏を明かした森監督。「ハーフタイムでの修正で言うと、まずゲーゲンプレスの迫力がないということと、何人かまだ乗れていない選手がいたので、きょうは名指しで刺激を与えました」。すると後半開始早々の1分、いきなりの先制ゴールが生まれた。
前半から積極的に仕掛けていた齋藤が、右サイドを突破してクロスを上げると、FW多田圭佑が体ごと押し込むようなヘディング。森監督も「ゲーゲンプレスからボールを奪って、後半の早い入りから先制点を奪えたというのが、きょうの勝利、昇格、優勝に近づいた得点だったかなと思っています」と振り返る。
そして、後半30分には「名指しで刺激を受けた」山本が魅せる。DF鷹啄トラビスのスルーパスが、ペナルティーエリア内のMF塚川孝輝へ。落としを受けた山本は、ペナルティーエリア手前から豪快にズドン。右足のミドルシュートがゴール右に吸い込まれ、ベンチから飛び出した選手たちに揉みくちゃにされた。
前節のレッドカードで出場停止となったGK西川幸之介に代わり、GK春名竜聖が今季初先発。9月に右鎖骨骨折で手術したキャプテンのGK松原修平が「また折れてもいい」という気持ちでベンチ入りするなど、総力戦で掴み取ったJ1初昇格。この試合にかける思いの強さが、後半の2得点を生み出したに違いない。
(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)





















